都心から約1時間半で訪れることができる埼玉県秩父市。豊かな自然と歴史ある街並みが魅力のこのエリアは、ゆったりとした自転車散策、いわゆる「ポタリング」を楽しむのに最適の場所です。クルマよりも自由に、徒歩よりも効率よく観光できるポタリングは、秩父の魅力を存分に味わう絶好の方法です。秩父エリアには平坦な道からゆるやかな坂道まで、初心者からベテランまで楽しめる多彩なルートが揃っています。季節ごとに変わる風景を楽しみながら、札所巡りや地元グルメを堪能する小旅行は、日常を忘れさせてくれる特別な体験となるでしょう。
川のせせらぎや山々の緑、古い街並みや温かい人々との触れ合い—秩父でのポタリングは、そんな豊かな体験を提供してくれます。電車で気軽に訪れ、レンタサイクルを借りてすぐに出発できる手軽さも魅力です。自転車だからこそ見つけられる秩父の隠れた名所や、立ち寄りたくなる小さなお店など、この記事では秩父ポタリングの魅力を徹底的にご紹介します。都会の喧騒から離れて、風を感じながら自分のペースで進む旅—そんな素敵な体験があなたを待っています。

秩父でポタリングする魅力とは?初心者でも楽しめるポイント
秩父エリアでポタリングを楽しむ最大の魅力は、クルマでは入れない狭い道も自由に進め、徒歩では巡りきれない広範囲を効率よく観光できる点にあります。特に秩父の街中は一方通行や狭い道が多く、自転車の機動力が存分に発揮される環境です。折りたたみ自転車なら電車で秩父まで「ワープ」し、現地では自転車を展開してスマートに移動するという効率的な旅が可能になります。
初心者にも嬉しいポイントとして、秩父市街地は比較的平坦で走りやすい道が多いことが挙げられます。特に西武秩父駅から秩父鉄道の秩父駅周辺は、歴史的建造物や飲食店が集まっており、短い距離でも充実した時間を過ごせます。また、秩父市観光課が作成した「レンタサイクルでちちぶ旅」などの公式ガイドマップも充実しており、初めての方でも安心して巡ることができます。
秩父の自然を感じられるのもポタリングの魅力です。街中から少し足を延ばせば、荒川沿いの清流や武甲山の雄大な姿を望む絶景ポイントにもアクセス可能。四季折々の風景も秩父ポタリングの大きな魅力で、春の芝桜や桜、夏の緑濃い山々、秋の紅葉、冬の澄んだ空気と雪景色まで、訪れる季節によって全く異なる表情を見せてくれます。
さらに、秩父には「秩父札所サイクル巡礼」という、34ヶ所の札所を自転車で巡るデジタルスタンプラリーもあります。各札所に設置されたQRコードを読み込んでデジタルスタンプを集め、全34ヶ所を制覇すると「秩父札所公認サイクリスト」として認定される仕組みです。目的を持ってポタリングできるのも楽しみのひとつでしょう。
秩父エリアのおすすめポタリングコースは?人気スポットを巡るルート紹介
秩父には多彩なポタリングコースがありますが、初心者におすすめなのは「街なか札所巡り」コースです。西武秩父駅をスタートし、秩父鉄道の秩父駅をゴールとする約6kmのルート。秩父市観光課監修のこのコースでは、11番常楽寺、12番野坂寺、13番慈眼寺、14番今宮坊、15番少林寺という5つの札所を中心に巡ります。ハードな登りはなく、体力に自信のない方でも秩父の歴史と文化を感じながらゆっくり回れるコースです。
より自然を感じたいなら、横瀬エリアのポタリングルートがおすすめです。芦ヶ久保駅でレンタサイクルを借り、国道299号線を走って大慈寺や寺坂棚田を訪れるコースは、美しい田園風景と山々の眺めが魅力です。道中には羊山公園も立ち寄れば、春には芝桜の絶景も楽しめます。
もう少し足を伸ばしたい方には、長瀞渓谷コースもおすすめです。秩父鉄道のサイクルトレインを利用すれば、自転車をそのまま電車に載せて長瀞駅まで移動できます。荒川の清流と国の特別天然記念物である岩畳の景観は圧巻で、特に新緑や紅葉の季節は息をのむ美しさです。
また、秩父の豊かな自然を堪能したいなら、荒川沿いを巡る「清流とそばの里」コースも外せません。のどかな田舎道を走りながら、清流のせせらぎを聞き、日本の原風景のような美しい景色を楽しめます。道中には秩父そばの名店が点在し、グルメも満喫できるのが嬉しいポイントです。
どのコースも、立ち寄りスポットやグルメ店を組み込むことで、自分だけのオリジナルポタリングコースを作れるのも魅力です。初めての方は市街地コースから始め、徐々に範囲を広げていくのがおすすめです。
秩父ポタリングでの交通アクセスと自転車レンタル情報まとめ
秩父へのアクセスは、電車での輪行(自転車を持ち込むこと)が便利です。都内からは西武鉄道の特急「ラビュー」で西武秩父駅まで約78分。自転車を持っていない方は、秩父エリアのレンタサイクルサービスを利用するのがおすすめです。主なレンタサイクル拠点は以下の通りです:
- 秩父観光情報館(西武秩父駅前)
- 小径車や電動アシスト車が揃い、初心者でも安心
- 料金は2時間以内300円、4時間以内500円、8時間以内1,000円(電動自転車は各2倍)
- 予約不可のため、特に休日は早めの利用がおすすめ
- あしがくぼサイクルステーション(芦ヶ久保駅前)
- 横瀬エリア観光の拠点として最適
- 料金は秩父観光情報館と同じ
- 事前予約可能で安心
上記以外にも複数のレンタサイクルスポットがあり、借りた場所以外の提携ステーションでも返却できるシステムになっています(追加料金500円)。
自転車を持ち込む場合は、西武鉄道のサイクルトレインや秩父鉄道のちちてつサイクルトレインが便利です。西武鉄道のサイクルトレインは主に土休日の下り1本・上り1本が対象で、事前にウェブサイトで運行カレンダーを確認しておく必要があります。一方、秩父鉄道のサイクルトレインは、自転車を折りたたんだり分解したりすることなく、そのまま車両に持ち込めるサービスで、普通乗車券のみで利用可能です。
秩父市内では一部の札所にバイクラックが設置されており、安心して駐輪できます。また市街地には有料・無料の駐輪場もあるので、観光スポットを訪れる際に活用しましょう。レンタサイクル情報や駐輪場の場所は、秩父観光情報館や各駅の観光案内所で詳しく教えてもらえます。
秩父ポタリングで立ち寄りたいグルメスポットと名物は?
秩父ポタリングの醍醐味のひとつは、サイクリングの合間に立ち寄る地元グルメです。特におすすめなのが、「ニューみとや」の「巡礼笠」。1925年創業の秩父で最も伝統ある洋菓子店で、外側はカリカリ、内側はふっくらとしたバタークリームと杏純ジャムをサンドした秩父のソウルスイーツです。サイクリングで消費したカロリーを美味しく補給できる一品です。
昭和レトロな雰囲気を味わいたいなら、創業55年の「パーラーコイズミ」へ。秩父に最初にオープンしたパーラーで、懐かしい洋食メニューが人気です。特にナポリタンは地元の方にも愛される味わいです。
秩父といえば、やはり蕎麦も外せません。荒川地区を中心に点在する蕎麦処では、地元の環境で育った蕎麦を使った風味豊かな一杯が楽しめます。「蕎麦処 紡(つむぎ)」では、コシの強いうどんと十割そばの会い盛りセットが人気。天ぷらとのセットは疲れた体に染み渡ります。
暑い季節には、「サン・ドルチェ」のジェラートがおすすめです。秩父神社のお隣にあるこのお店では、定番のピスタチオや秩父の地酒を使った「秩父錦」など、さまざまなフレーバーが楽しめます。甘さ控えめでさっぱりとしたジェラートは、サイクリングの休憩にぴったりです。
秩父の名物グルメとしては、みそポテトやわらじカツも人気。特に「安田屋」のわらじカツ丼は、大きなカツが二枚重なったボリューム満点の一品で、サイクリストのエネルギー補給に最適です。また道の駅やじばさん商店では、地元の新鮮野菜や秩父の地酒などのお土産も充実しています。
一日のポタリングを締めくくるなら、西武秩父駅前の「祭の湯」がおすすめです。露天風呂や内湯で汗を流し、畳張りの「寝ころび処」でくつろげば、サイクリングの疲れも癒されます。
秩父の札所巡りをポタリングで楽しむコツとは?
秩父には34ヶ所の札所が点在しており、これらを巡る「秩父札所巡り」は古くから親しまれてきました。ポタリングでこの札所巡りを楽しむコツは、最初から全ての札所を回ろうとせず、エリアごとに分けて計画することです。34ヶ所全てを1日で回るのは自転車でも難しいため、まずは市街地周辺の札所から始めるのがおすすめです。
秩父市観光課が推奨する「街なか札所巡り」コースでは、11番から15番までの5つの札所を効率よく巡れます。各札所は徒歩だと距離がありますが、自転車なら30分〜1時間程度で回ることができ、札所間の移動も苦になりません。
札所巡りをより充実させたいなら、「秩父札所サイクル巡礼」のデジタルスタンプラリーに参加するのがおすすめです。各札所に設置されたQRコードを読み込むと、デジタルスタンプが獲得できます。34ヶ所全てのスタンプを集めると、「秩父札所公認サイクリスト」として認定される制度があり、目標を持って巡れるのも楽しみのひとつです。
ポタリングで札所巡りをする際の注意点としては、札所はお寺なので、服装や態度に気を配ることが大切です。また、御朱印を集めたい方は御朱印帳を持参しましょう。秩父札所の御朱印は、歴史と文化を感じられる素晴らしい記念になります。
札所によっては駐輪スペースが限られている場合もありますが、近年は自転車で訪れる方も増えているため、バイクラックが設置されている札所も増えています。特に15番母巣山少林寺は自転車に優しい雰囲気で、バイクラックも完備されています。
季節によって札所周辺の景色も変わるため、何度訪れても新たな発見があります。最初は5〜6ヶ所程度の札所巡りから始め、徐々に範囲を広げていくのがおすすめです。「サイクリングがきっかけとなり、何度でも訪れたくなる場所として、秩父の街や自然を好きになっていただけたら幸い」という地元の声にもあるように、ポタリングと札所巡りを組み合わせることで、秩父の魅力をより深く感じることができるでしょう。
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