とびしま海道でポタリングを楽しみたい初心者の方には、下蒲刈島から大崎下島の御手洗地区を目指す往復約25kmのコースが最もおすすめです。このコースは平坦な海岸線が続き、電動アシスト自転車を利用すれば体力に自信がない方でも無理なく走破できます。とびしま海道は広島県呉市から愛媛県今治市の岡村島まで7つの島を7つの橋で結ぶサイクリングロードで、しまなみ海道と比較して交通量が少なく、初心者が安心して走れる環境が整っています。瀬戸内海の穏やかな多島美を眺めながら、江戸時代から続く歴史的な町並みや地元グルメを堪能できるこのルートは、ポタリングの醍醐味を存分に味わえる理想的なフィールドといえます。とびしま海道のポタリングでは、速度や距離を競うのではなく、気ままに景色を楽しみながら自転車を漕ぐスタイルが推奨されており、信号がほとんどなく車の往来も少ないため、初めてのサイクリングでも安心して楽しむことができます。

とびしま海道とは何か
とびしま海道は、正式名称を安芸灘とびしま海道といい、広島県呉市の本土側から瀬戸内海に浮かぶ7つの島々を橋で結んだルートです。西から順に下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、平羅島、中ノ島、そして愛媛県今治市に属する岡村島という構成になっています。全長は約30kmほどで、7つの橋がそれぞれ異なる構造形式を持ち、まるで橋梁の博物館のような様相を呈しています。
とびしま海道が初心者のポタリングに適している最大の理由は、その地理的特性にあります。東端の岡村島は愛媛県に属しているものの、四国本土とは橋で繋がっていないため、自動車にとっては行き止まりのルートとなっています。この構造により通り抜けの交通量が極めて少なく、大型トラックの往来もほとんどないため、道路がサイクリストと島民のための空間として保たれています。初心者が車道を走る際に感じる背後からの車のプレッシャーが少ないのは、この地理的特性による大きな恩恵です。
しまなみ海道が世界的な知名度を誇るサイクリストの聖地として注目される一方で、とびしま海道は裏しまなみとも呼ばれ、観光地化された喧騒から離れた静かな環境が魅力となっています。江戸時代から続く潮待ちの港の歴史に浸ることができ、島本来の生活を感じながらゆったりと走れる点が、ポタリングを楽しみたい方に支持されている理由です。
ポタリングという自転車の楽しみ方
ポタリングとは、自転車を使って気ままに散策するスタイルを指す言葉です。速度や距離を競うスポーツとしてのサイクリングとは異なり、途中で気になる場所があれば立ち止まり、景色を眺めたり写真を撮ったり、地元のカフェで休憩したりしながら、のんびりと自転車を楽しむことを目的としています。
とびしま海道がポタリングに最適なフィールドである理由は複数あります。まず、信号が極端に少ないため、頻繁に止まる必要がありません。次に、海岸線に沿ったフラットな道が続くため、初心者でも体力的な負担が少なく走ることができます。さらに、適度な距離感で島ごとの個性に出会えるため、飽きることなく変化に富んだ景色を楽しめます。
初心者がとびしま海道でポタリングを楽しむ際には、電動アシスト自転車(E-バイク)の活用を強くおすすめします。平坦な海岸線では軽快に走れますが、橋へのアプローチには上り坂があるため、電動アシストがあると体力の消耗を最小限に抑えることができます。多島美が織りなす絶景と歴史的な町並みを、汗だくになることなく優雅に巡ることが可能になります。
とびしま海道へのアクセス方法
とびしま海道への入り口は大きく分けて2つあります。広島県呉市からの陸路と、愛媛県今治市からの海路です。それぞれのアプローチ方法について詳しく説明します。
呉方面からの陸路アクセス
広島市内や呉市内からアクセスする場合は、安芸灘大橋を経由して下蒲刈島へ入るのが一般的です。自家用車で自転車を持ち込む場合、安芸灘大橋は有料道路ですが、自転車や歩行者は無料で通行できます。公共交通機関を利用する場合は、JR呉駅やJR広駅からバスに乗車し、下蒲刈島の見戸代バス停などで下車します。バス停から近くのレンタサイクルターミナルへ向かい、そこから旅をスタートさせるのが定石となっています。
広島市内からの場合、JR広島駅から呉線でJR呉駅まで約30分、そこからバスで下蒲刈島まで約40分程度かかります。車の場合は広島呉道路や国道31号線を利用し、呉市内から安芸灘大橋まで約30分で到着できます。
今治方面からの海路アクセス
しまなみ海道側からアプローチする場合は、今治港や大三島の宗方港からフェリーまたは高速船を利用して岡村港へ渡るルートがあります。このルートはアイランドホッピングの情緒に溢れており、船旅と自転車旅を組み合わせた贅沢な体験が可能です。今治港から岡村港への航路は、瀬戸内海の多島美を海上から眺めるプロローグとして人気が高く、約1時間の船旅を楽しむことができます。
大三島の宗方港からは岡村港までより短い時間でアクセスできるため、しまなみ海道を走った後にとびしま海道へ渡る場合に便利なルートとなっています。フェリーには自転車をそのまま載せることができるため、両方の海道を楽しむアイランドホッピングの旅も実現可能です。
レンタサイクルの利用方法と注意点
初心者がとびしま海道でポタリングを楽しむ際に最も重要な情報の一つが、レンタサイクルのシステムです。とびしま海道のレンタサイクルは、しまなみ海道で展開されている「しまなみレンタサイクル」とは運営母体が異なり、原則として相互乗り入れができない点に注意が必要です。
主要なレンタサイクル拠点
とびしま海道側の主要拠点は、下蒲刈島のコテージ梶ヶ浜です。ここではクロスバイクやシティサイクルに加え、初心者には必須ともいえる電動アシスト自転車の貸し出しを行っています。電動アシスト自転車は、平坦な海岸線では軽快に、橋へのアプローチの坂道では強力なアシストを発揮し、体力の消耗を最小限に抑えてくれます。
レンタル料金は車種によって異なりますが、電動アシスト自転車の場合は1日あたり2,000円から3,000円程度が目安となります。利用時間や車種の在庫状況は季節や曜日によって変動するため、事前に電話やウェブサイトで確認し、予約しておくことをおすすめします。
乗り捨てサービスについて
かつては借りた場所に返すのが原則でしたが、近年では利便性向上のため、特定の拠点間での乗り捨てサービスが拡充されています。たとえば、コテージ梶ヶ浜で借りた自転車を岡村港などの指定場所で返却することが可能となっています。ただし、これには配車料金や乗り捨て料金として1台あたり1,000円程度の手数料が必要となる場合が多く、また事前予約が必須条件となることが一般的です。
初心者は予約時に「どこで借りて、どこで返すか」を明確にし、特に岡村港での乗り捨てを希望する場合は、フェリーの時間との接続を入念に確認することが重要です。フェリーの本数は限られているため、返却時間とフェリーの出航時間に余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
7つの橋の特徴と走行のポイント
とびしま海道のハイライトは、島々を結ぶ7つの橋です。これらは単なる交通インフラではなく、それぞれが異なる構造形式と建設年代を持ち、走りながら橋梁建築の多様性を体感できる点が大きな魅力となっています。初心者がポタリングで通過する際に知っておくべき、それぞれの橋の特徴を紹介します。
安芸灘大橋
本土と下蒲刈島を結ぶ全長1,175メートルの吊り橋で、2000年に開通しました。とびしま海道最大の規模を誇り、鮮やかなライトブルーの主塔が空と海に溶け込む美しい姿が印象的です。初心者にとって最初の試練となるのが、この橋へのアプローチです。海面からの高さがあるため、橋桁に至るまでのループ状の進入路は長い上り坂となっています。電動アシスト自転車であれば強モードを使用して軽々と登ることができますが、通常の自転車の場合はギアを軽くしてゆっくりと進むことが大切です。橋の上からは、これから向かう島々の連なりが一望でき、旅の始まりを告げる絶景ポイントとなっています。
蒲刈大橋
下蒲刈島と上蒲刈島を結ぶ全長480メートルのトラス橋で、1979年に開通しました。三角形を組み合わせた骨組み構造が特徴で、無骨ながらも力強い印象を与えます。トラス橋特有の鉄骨に囲まれた空間を走る感覚は独特で、視界が鉄骨によって切り取られ、まるでタイムトンネルを抜けていくような錯覚を覚えるかもしれません。距離は短いためあっという間に通過しますが、橋の下を流れる潮流の速さにも注目してみてください。
豊島大橋
上蒲刈島と豊島を結ぶ全長903.2メートルの吊り橋で、2008年に開通した比較的新しい橋です。通称アビ大橋とも呼ばれ、これはかつてこの周辺海域が広島県の県鳥である海鳥アビの渡来地であったことに由来しています。橋の高さは約50メートルにも達し、大型船の通航を可能にしています。サイクリストにとっては空を走っているかのような浮遊感を味わえる場所ですが、高い位置にあるため風の影響を受けやすく、横風が強い日はハンドルを取られないよう注意が必要です。ここからの眺めはとびしま海道の中でも随一で、天気が良ければ四国の山並みまで見渡すことができます。
豊浜大橋
豊島と大崎下島を結ぶ全長543メートルのトラス橋です。鮮やかな水色の塗装が特徴的で、青い海とのコントラストが美しく、写真撮影のスポットとしても人気があります。この橋を渡ると、いよいよ歴史的な町並みが残る大崎下島へと入ります。
平羅橋
大崎下島と平羅島を結ぶ全長98.5メートルの斜張橋です。コンクリート製の優美な曲線が特徴で、渡るというよりは隣の島へジャンプするような感覚の短い橋ですが、建築的価値が高く評価されています。平羅島自体は無人島のような静けさを持ち、通過点としての役割を果たしています。
中の瀬戸大橋
平羅島と中ノ島を結ぶ全長251メートルのアーチ橋です。これまでの吊り橋やトラス橋とは異なり、美しいアーチを描く形状が視覚的なアクセントとなっています。橋の下は狭い海峡となっており、潮の流れが川のように速い様子を観察できます。
岡村大橋
中ノ島と岡村島を結ぶ全長228メートルのアーチ橋です。この橋の最大の特徴は、橋の真ん中に広島県と愛媛県の県境があることです。路面には県境を示すラインが引かれており、サイクリストにとっては自転車で県境を跨ぐという記念撮影の定番スポットとなっています。ここを越えると、いよいよ終点の岡村島です。
各島の見どころとグルメ情報
とびしま海道の島々は、それぞれ異なる個性を持っています。ポタリングの途中で立ち寄りたい見どころとグルメ情報を、島ごとに詳しく紹介します。
下蒲刈島の見どころ
旅のスタート地点となることが多い下蒲刈島は、島全体が手入れの行き届いた日本庭園のような趣を持っています。島の東部に位置する三之瀬地区は、江戸時代に朝鮮通信使の案内役を務めた対馬藩の別館が置かれ、通信使一行の接待が行われた場所です。海沿いには当時の護岸施設である雁木や石積みが復元・保存されており、石畳の道を自転車で流すだけで江戸時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。
松濤園は朝鮮通信使の資料やユネスコ記憶遺産に登録された資料などを展示する資料館群で、美しい松と白砂の庭園は必見です。蘭島閣美術館は総檜造りの格調高い美術館で、横山大観など日本画の巨匠の作品を展示しており、サイクリングの合間に静寂の中で芸術に触れることができます。
レンタサイクルの拠点でもあるコテージ梶ヶ浜は、美しい三日月形の砂浜を持つ海水浴場に隣接しています。ここでのんびりと海を眺めたり、古民家風のコテージに宿泊して翌日のサイクリングに備えたりするのも良いプランです。
上蒲刈島の見どころ
蒲刈大橋を渡ると、面積の広い上蒲刈島に入ります。ここは古代の製塩法である藻塩の復活で知られる島です。日本の渚百選にも選ばれた県民の浜は、透明度の高い美しいビーチを中心に、宿泊施設や温泉、天文台などを備えた一大リゾートエリアとなっています。
藻塩の館では、ホンダワラという海藻を使って塩を作る古代の製法を見学したり、実際に体験したりすることができます。ここで作られる海人の藻塩は、ミネラル豊富でまろやかな味わいが特徴で、お土産としてもサイクリング中の塩分補給としても最適です。施設内のレストランでは、地元の魚介類を使った定食や藻塩を使ったうどんなどを味わうことができます。
上蒲刈島は光害が少なく夜空の暗さが確保されているため、天体観測の好適地としても知られています。呉市かまがり天体観測館には国内最大級のマクストフ望遠鏡があり、宿泊を伴うポタリングであれば夜の星空観察も旅のハイライトになります。
豊島の見どころ
豊島大橋を渡り豊島に入ると、雰囲気は一転して生活感のある漁師町となります。かつてこの島周辺では、海鳥のアビがイワシの群れを追い込み、それを漁師が獲るという独特のアビ漁が行われていました。現在はアビの飛来数は減ってしまいましたが、その歴史を学ぶことができる施設があります。
豊島の小さな集落にあるお食事処マリちゃんは、地元の人々に愛される食堂で、サイクリストの間でも評判が高いお店です。お好み焼きやラーメンなど飾らない家庭的な味を提供しており、高級な観光ランチも良いですが、こうした地元の食堂で島のお母さんと会話しながら食事をする時間は、ポタリングならではの贅沢な体験といえます。
大崎下島の見どころ
豊浜大橋を越えて大崎下島に入ると、とびしま海道最大のハイライトである御手洗町並み保存地区が待っています。江戸時代、帆船が風や潮の流れを利用して航行していた頃、御手洗は瀬戸内海交通の要衝として栄えました。風待ち・潮待ちの港として、船乗りたちをもてなす茶屋や船宿、劇場などが建ち並び、独自の文化が花開いた歴史があります。現在もその町並みが奇跡的に保存されており、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。路地裏を歩けば、江戸・明治・大正・昭和初期の建物が混在する不思議な空間に迷い込みます。
乙女座は1937年(昭和12年)に建てられた劇場で、当時は映画や演劇が上演されハイカラなモダン劇場として賑わいました。現在は復元され一般公開されており、畳敷きの客席や花道、奈落などを見学することができます。若胡屋はかつて薩摩藩の船宿としても利用された最大の茶屋跡で、現在は内部が見学できるほか、カフェや展示スペースとして活用されています。
港の先端にある千砂子波止と高燈籠は御手洗のシンボルで、石積みの防波堤と灯台が当時の港の面影を伝えています。ここから海を眺めると、かつて千石船がひしめき合った往時の姿が目に浮かぶようです。
御手洗地区を見下ろす高台にある歴史の見える丘公園は、箱庭のような町並みと来島海峡大橋や四国の山々が一望できる絶景スポットです。ここへ至る道は急勾配ですが、電動アシスト自転車であれば登り切ることができます。
近年は古民家を改装したカフェが増えており、散策の休憩スポットとして人気を集めています。船宿カフェ若長は宇和島藩や大洲藩の指定船宿だった建物を改装したカフェで、海に面した窓際席からの眺めは絶景です。大長レモンを使ったスイーツやドリンクを楽しむことができ、地元産のレモンを贅沢に使ったレモンスカッシュは若者やサイクリストに人気のメニューとなっています。
岡村島の見どころ
県境の橋を越えて愛媛県に入ると、そこは岡村島です。ここは関前諸島の中心であり、四国・今治との結節点でもあります。
岡村港のすぐそばにある関前食堂は、サイクリストにとっての聖地的な存在です。目の前の海で獲れた新鮮な魚介類を使った料理が味わえ、特に新鮮な鯛の切り身を特製のタレに漬け込んだ鯛の漬け丼は、疲れた体に染み渡る美味しさです。店内の窓からは透き通った海が見え、食事そのものがエンターテインメントとなります。
ナガタニ展望台からは360度のパノラマを楽しむことができます。標高があるため、自転車で登る場合は電動アシスト自転車推奨、あるいはハイキング気分で徒歩で挑むのが良いでしょう。春には桜の名所としても知られ、約3000本の桜が島をピンク色に染める様は圧巻です。
岡村港からは今治港行きのフェリーや大三島の宗方港行きのフェリーが発着しています。ここから船に乗ってしまなみ海道へ渡ることもでき、旅の選択肢を広げる重要なハブとなっています。
初心者におすすめのモデルコース
とびしま海道の魅力を余すところなく、かつ無理なく楽しむためのモデルコースを紹介します。体力レベルや時間に合わせて選択してください。
コースA:御手洗レトロ散歩コース(往復約25km)
最もポピュラーで初心者に最適なコースです。下蒲刈島を拠点にメインスポットの御手洗を目指して往復します。完全な初心者やカップル、歴史好きの方に特におすすめで、所要時間は観光と食事込みで約4時間から5時間、距離は往復約25km程度です。
まずコテージ梶ヶ浜で電動アシスト自転車をレンタルし、蒲刈大橋、豊島大橋、豊浜大橋を渡りながら海沿いのフラットな道を快走します。目的地の大崎下島・御手洗地区に到着したら、自転車を駐輪場に停めて徒歩で町並みを散策します。乙女座や若胡屋を見学し、船宿カフェ若長でランチとスイーツ休憩を取り、千砂子波止で記念撮影を楽しみます。復路は来た道を戻り、夕方の光に照らされた橋の美しさを堪能しながらコテージ梶ヶ浜で自転車を返却します。余裕があればビーチでゆっくり休憩するのも良いでしょう。
コースB:7つの橋を渡るワンウェイコース(片道約30km)
とびしま海道の全貌を知りたいアクティブな初心者向けのコースです。全島を走り抜け、最後はフェリーで旅情を締めくくります。体力に自信のある初心者や海路も楽しみたい方におすすめで、所要時間はフェリー待ち時間を含めて約5時間から6時間、距離は片道約30kmです。
コテージ梶ヶ浜でレンタルする際に、必ず岡村港での乗り捨て予約をしておくことが重要です。7つの橋を全て渡るグランドツーリングを楽しみ、途中で豊島のマリちゃんで早めのランチを取るか、御手洗で軽食を楽しみます。岡村大橋で広島県と愛媛県の県境を跨ぐ写真を撮影し、岡村港に到着したら関前食堂で打ち上げの食事を楽しみます。岡村港の指定場所で自転車を返却し、フェリーに乗船して今治港へ向かいます。約1時間の船旅を楽しんだ後、今治からはバスやJRで帰路につきます。
今治ではなく大三島の宗方港へ渡るフェリーに乗れば、そのままし まなみ海道のルートへ合流することも可能で、両方の海道を楽しむアイランドホッピングの旅も実現できます。
コースC:フェリー活用ショートコース(往復約10km以下)
体力に不安があるものの、岡村島や御手洗は見たいという方向けのコースです。フェリーを活用して最も美味しい部分だけを楽しむショートカットプランとなっています。
今治港からフェリーで岡村港へ渡り、岡村港でレンタサイクルを借りるか自転車を持ち込みます。岡村島から大崎下島の御手洗の間の平坦で短い区間だけを往復します。橋は3つだけを渡ることになり、実質10km以下の走行で最も美味しい景色とグルメを堪能できます。岡村港のレンタサイクルの在庫状況は事前に確認が必要です。
ポタリングを快適にするための装備とアドバイス
初心者にとって準備不足は楽しい旅を苦行に変えるリスクがあります。とびしま海道特有の事情に合わせたアドバイスをまとめます。
服装と装備
瀬戸内海は温暖ですが、橋の上は風が強く体感温度が下がります。春や秋であっても薄手のウインドブレーカーは必携で、下り坂や橋の上での防風対策として重宝します。普段着のズボンで乗る場合は、チェーンに裾が巻き込まれないよう裾バンドを用意するか、裾をまくっておきましょう。海面からの照り返しが強いため、目の疲労を防ぐサングラスがあると快適さが段違いになります。
補給計画
とびしま海道にはコンビニエンスストアがほとんどありません。主要な島にヤマザキショップなどが数軒あるのみで、24時間営業の大手チェーンはほぼ皆無です。自販機は点在していますが、ボトル1本分の水は常に確保しておくことをおすすめします。飲食店が不定期休であったりランチタイム終了後に閉まったりすることがあるため、カロリーメイトや羊羹などの行動食をポケットに入れておくと、ハンガーノック(低血糖)を防ぐことができます。各島の港や公園、観光施設には公衆トイレが整備されていますが、橋の上や長い海岸線の途中にはないため、見つけたら済ませておくのが鉄則です。
風を読む
サイクリングの大敵は坂と風です。とびしま海道は坂が少ない分、風の影響を受けやすくなっています。冬場は西風(季節風)が吹くことが多いため、呉から岡村島へ向かう西から東へのルートは追い風となり楽に走れますが、逆方向は過酷な向かい風となります。冬に走るなら呉スタート、岡村ゴールのワンウェイルートが圧倒的におすすめです。
ナビゲーション
しまなみ海道と同様に、とびしま海道の主要ルートの路側帯にはブルーラインが引かれています。これはサイクリスト推奨ルートを示す標示で、これに沿って走れば道に迷うことはありません。交差点などで地図を見る必要がなく、景色を見ることに集中できる素晴らしいインフラです。
とびしま海道ポタリングの魅力まとめ
とびしま海道は、しまなみ海道と比較して知名度は控えめですが、だからこそ静かで落ち着いた環境の中でポタリングを楽しむことができます。7つの島を結ぶ7つの橋はそれぞれが異なる構造美を持ち、走りながら橋梁建築の多様性を体感できます。江戸時代から続く御手洗の町並みは、まるでタイムスリップしたかのような体験を提供してくれます。
初心者にとって最も安心できるのは、交通量が少なく車のプレッシャーを感じにくい環境です。電動アシスト自転車を活用すれば、橋へのアプローチの坂道も楽々と登ることができ、体力に自信がない方でも7000文字以上の充実した旅を楽しむことができます。地元の食堂やカフェでの食事、藻塩作り体験、歴史的建造物の見学など、走ること以外の楽しみも豊富に用意されています。
ペダルを漕ぐ足を止めてふと海を眺めた瞬間に訪れる静寂こそが、とびしま海道が与えてくれる最高の贅沢かもしれません。準備を整え、風の吹くまま気の向くまま、とびしまの島々へ漕ぎ出してみてください。









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