札幌市の自転車ネットワーク計画は、2023年12月に策定された「札幌市自転車活用推進計画」を中心に着実に進展しており、都心部から郊外まで自転車通行空間の整備が進められています。ポタリングを楽しめる環境も充実し、豊平川サイクリング園路や白石こころーどなど全長10キロメートルを超えるサイクリングロードが複数整備されています。本記事では、札幌市における自転車ネットワーク計画の全体像から、具体的なサイクリングロードの特徴、ポタリングに最適なスポット、シェアサイクルの活用方法、駐輪場の整備状況、そして安全対策まで、札幌で自転車を楽しむために知っておきたい情報を網羅的に解説します。通勤・通学といった日常利用から、健康増進やレジャー、観光目的まで、多様な自転車利用のニーズに応える札幌市の取り組みをご紹介します。

札幌市自転車活用推進計画とは
札幌市自転車活用推進計画とは、自転車施策を総合的かつ効果的に展開することを目的として2023年12月に策定された計画です。この計画は、2011年5月に策定された「札幌市自転車利用総合計画」を発展させたもので、社会情勢や自転車の役割の変化に対応するために新たに作られました。
札幌市では以前から自転車走行空間の明確化や駐輪対策の推進、ルールやマナーの周知と啓発などの取り組みを進めてきました。近年では自転車の果たす役割が大きく変化しており、従来の通勤・通学・買い物などの日常生活における身近な交通手段としての役割に加え、スポーツやレジャー、健康増進、自転車観光、さらには災害時の活用など、様々な用途に広がりを見せています。
自転車活用推進計画の基本方針
札幌市自転車活用推進計画では、いくつかの重要な方針が掲げられています。まず自転車通行位置の明確化のさらなる推進があり、車道において自転車の通行場所をできる限り明確化し、自転車に秩序ある通行を促すことで、歩行者、自転車、自動車の安全な通行環境の実現を図っています。
次に既存の自転車ネットワーク同士の連携という方針があります。市内各所に整備されているサイクリングロードや自転車通行空間を相互に接続し、より使いやすいネットワークの構築を目指しています。
さらに道路の計画や整備に合わせた自転車通行空間の確保も重要な柱となっています。新たな道路整備や既存道路の改修に際して、自転車が安全に通行できる空間を確保していく方針が示されています。
自転車通行空間の整備状況
札幌市における自転車通行空間の整備は、矢羽根型路面表示の導入を中心に進められています。矢羽根型路面表示とは、自転車の安全な通行を促すため、車道の左側に自転車の正しい通行位置と方向を明示する青色の路面表示のことです。この表示は自転車利用者だけでなく、自動車ドライバーに対しても車道上の自転車通行位置を知らせる役割を果たしています。
矢羽根型路面表示の導入経緯
札幌市では2019年度より、自転車通行空間の整備として矢羽根型路面表示の設置を進めてきました。それに先立つ2015年10月には、札幌中心部の西5丁目線において、自転車ナビライン(矢羽根型)を用いた自転車の通行空間社会実験が実施されました。この実験結果を踏まえ、2018年3月に「札幌都心部自転車通行位置の明確化の取り組み」が公表され、本格的な整備が始まりました。
実施計画2025による整備推進
2023年12月に策定した「札幌市自転車活用推進計画」に基づき、「札幌市自転車通行空間整備 実施計画2025」が策定されました。この計画では、都心部および郊外駅周辺における自転車通行空間の整備に関する施策を効果的・効率的に推進するための方針が示されています。
整備対象地区としては、地下鉄琴似駅・JR琴似駅周辺地区、地下鉄宮の沢駅周辺地区、地下鉄円山公園駅周辺地区、地下鉄環状通東駅周辺地区、地下鉄南郷7丁目駅周辺地区などが含まれています。
啓発活動の展開
道路管理者である北海道開発局札幌開発建設部と札幌市建設局が連携し、自転車が車道を安全・快適に通行できるよう、ドライバー向けの自転車通行空間安全確保の啓発を行っています。2022年7月5日からは、札幌運転免許試験場において、新規免許取得時の講習において啓発パネルを用いた啓発活動が実施されています。
札幌市の主要サイクリングロード
札幌市には初心者から上級者まで楽しめる複数のサイクリングロードが整備されています。それぞれの路線には異なる特徴があり、目的や体力に合わせて選ぶことができます。
豊平川サイクリング園路の特徴
豊平川サイクリング園路は、藻岩上の橋から環状北大橋まで市内中心部をまたぐ形で整備された全長約11キロメートルの自転車道です。河川敷を走る平坦な自転車道で、豊平川を眺めながら高層ビルやホテル群も見える、都市と自然が同居した景色が楽しめるのが魅力です。
サイクリングロードの途中にはグラウンドやテニスコート、休憩所なども整備されており、途中で休憩を取りながらゆったりとサイクリングを楽しむことができます。平坦なコースのため、ポタリングを楽しみたい方にも適しています。
白石こころーどと陽だまりロードの魅力
白石こころーどは正式名称を「北海道道1148号札幌恵庭自転車道線」といい、北海道札幌市白石区と北広島市を結ぶ自転車歩行者専用道路です。この道路は1973年9月に廃止された旧国鉄千歳線の跡地を活用しており、白石区民の「市民の憩いの場にしてほしい」という強い要望により、翌年8月に自転車・歩行者専用道路として生まれ変わりました。
札幌市内では白石区区間を「白石こころーど」(7.2キロメートル)、厚別区区間を「陽だまりロード」(4.5キロメートル)と呼んでいます。2004年に開通した北広島市区間は「エルフィンロード」(8.1キロメートル)と呼称されており、東札幌から北広島まで走ると約18.5キロメートルの距離を走ることができます。
白石こころーどの最大の特徴は、市街地にもかかわらず交差点がアンダーパス化されていることです。このため、自転車も歩行者も信号で止まることなく安全で快適に走ることができます。沿道にはみのる公園や万生公園、白石東冒険公園のほか、あずまやなどがあり、休憩しながらのんびりと散策を楽しむことができます。春は桜やライラック、夏は青々とした木々のトンネル、秋には鮮やかな紅葉と、四季折々の風景を楽しめるのも魅力です。
また、白石こころーどのいくつかのトンネルの壁面は、美しいモザイクタイルアートで彩られています。このタイルアートは、江別市出身の彫刻家原田ミドー氏監修のもと、地域住民の手によって10年以上の歳月をかけて作られたものです。
白石こころーどは道路交通法上、進行方向に向かって歩行者は道路の右側に、自転車は左側に寄って通行することとなっています。冬季には札幌市界から北広島市への6.5キロメートルの区間が歩くスキーコースとして整備され、イベントも開催されています。
真駒内茨戸東雁来自転車道路について
北海道では1973年から、自然公園、名勝、観光施設、レクリエーション施設等を結ぶ大規模自転車道の整備を行っています。真駒内茨戸東雁来自転車道路はその一つで、北区茨戸の蒼風橋から新川通の天狗橋まで、西区の山の手橋から平和の滝の手前の錦水橋までの全長約14キロメートルにおよびます。
大半がベンガラ舗装の道で、歩行者やジョギングをしている人がほとんどいないため、サイクリングに集中できる環境となっています。2020年4月1日からは道路交通法施行細則が改正となり、2人乗りタンデム自転車の利用も可能となりました。
ポタリングにおすすめのスポット
札幌市内および近郊には、ポタリングを楽しむのに最適なスポットが複数あります。公園内を自転車で巡りながら、自然やアートを楽しむことができます。
モエレ沼公園でのサイクリング体験
モエレ沼公園は、世界的彫刻家イサム・ノグチが設計した壮大なアートパークです。園内には約3.7キロメートルのサイクリングコースがあり、アート作品を鑑賞しながら、まるで屋外美術館の中を走っているような感覚を味わえます。
モエレ沼公園のP1(東側駐車場)にはレンタサイクル貸出所が設置されています。おすすめルートマップの配布もしており、滞在時間や目的に合わせて効率的に回れる道順が示されています。園内は舗装路が整備されているので、全体を楽に自転車で見て回ることができます。比較的平坦な道が多いので世代を問わず利用できます。
レンタサイクルの料金については、普通車(大人用・子供用20インチ)が2時間200円、特殊車(子供を乗せる席つき・26インチ)が2時間300円となっています。
また、公道を走らない初心者向けのロードバイク体験ツアー(15キロメートル)も提供されています。広大な公園内をサイクリングしながらイサムノグチの彫刻を巡るコースで、日本サイクリング協会のインストラクターが丁寧にレッスンしてくれます。ツアーの所要時間は約3時間(送迎時間込み)です。
前田森林公園の美しい景観
前田森林公園は、ヨーロッパの庭園のような美しい景観が自慢のスポットです。全長600メートルのカナール(運河)とポプラ並木がシンボルで、まっすぐに伸びるポプラの木々と水辺の調和した風景は、まるで海外にいるような気分を味わえます。
展望ラウンジからは公園全体や手稲山を一望でき、四季折々の花々も楽しめます。前田森林公園までは新川の堤防を自分のペースでゆっくり走れるため、初めてロードバイクに乗る方やビギナーサイクリストにもおすすめです。
滝野すずらん丘陵公園での自然体験
滝野すずらん丘陵公園は、札幌市街地から車で約40分の場所にある北海道で唯一の国営公園です。広い敷地内には無料エリアと有料エリアがあり、4つのゾーンに分かれています。無料エリアにある「渓流ゾーン」ではサイクリングが楽しめます。
鱒見口駐車場に隣接された公園の駅「パークステーション」のサイクルセンターでは、子供用14インチから大人用26インチまでのレンタサイクルが用意されています。渓流ゾーンでは、二人乗り自転車やファットバイクもレンタルすることができます。子ども用の自転車やヘルメットも借りることができ、中学生くらいならファットバイクも利用可能です。
渓流ゾーンには4つの滝が点在しており、パークステーションに近いのが「鱒見の滝」です。ゆるやかな登り坂を5分ほどこぐと到着します。さらに自然溢れる園道を自転車で進んで行くと「アシリベツの滝」に到着します。この滝は日本の滝百選の一つに選ばれた滝で、札幌市内でも最大級です。2時間あれば、渓流ゾーンにある複数の滝をすべてまわることもできます。
開園時間は季節によって異なり、4月20日から5月31日は9時から17時、6月1日から8月31日は9時から18時、9月1日から11月10日は9時から17時、12月23日から3月31日は9時から16時となっています。サイクリングが楽しめる渓流ゾーンは入場無料で、駐車場は有料(普通車410円)です。アクセスは地下鉄南北線真駒内駅より中央バス滝野線で35分、滝野すずらん公園東口下車徒歩5分です。
初心者向けコースを選ぶポイント
初心者向けコースで重要なポイントは「信号がない」「段差がない」「車が来ない」「平坦」の4点です。まずは往復20キロメートル程度から試してみて、徐々に距離を伸ばしていくのがおすすめです。
札幌のサイクリングシーズンは雪解けの4月中旬から紅葉が美しい10月にかけてがベストです。夏季(6月から8月)は平均気温22度と過ごしやすいものの、日差しが強いため日焼け止め、帽子、サングラスは必須です。
シェアサイクル「ポロクル」の活用方法
札幌市中心部では、シェアサイクルサービス「ポロクル」が運営されています。ポロクルは札幌市内中心部に60か所以上の専用駐輪場(ポート)を持ち、電動アシスト付き自転車が24時間いつでも利用できるサービスです。
ポロクルの運営状況
2024年度は4月7日から営業を開始し、11月15日まで運営されました。約55か所のポートを設置し、自転車台数は前年から60台を増車した約600台で運用されました。観光客だけでなく、地元市民の日常的な移動手段としても定着しつつあり、2023年の累計会員登録者数は約7万人に達し、年々登録者数が増加しています。
ポロクルの料金体系
2024年には料金改定が行われました。30分を超えた場合の延長料金が、改定前の110円(税込)/30分から改定後の165円(税込)/30分となり、30分ごとに55円の値上がりとなりました。
観光時などにも便利な1日パス(1,430円から)は、専用ウェブサイト、コンビニエンスストア、ホテル・観光案内所で販売されています。
安全利用への取り組み
2024年シーズンはイオン北海道と連携して、ポロクルの会員向けにヘルメットが特別割引価格で購入できるキャンペーンを展開するなど、安全利用のサポートと同時に安全意識向上への取り組みを進めています。
駐輪場整備の現状と放置自転車対策
札幌市では自転車利用環境の向上と放置自転車対策のため、駐輪場の整備が進められています。都心部を中心に大規模な駐輪場が新設され、放置自転車の数は年々減少しています。
都心部の駐輪場整備
2024年4月には、JR札幌駅南口に大規模な屋外駐輪場が新設されました。2023年6月にはモユクサッポロの地下に743台が駐車できる大型駐輪場がオープンしています。
札幌駅南口の新駐輪場は、敷地が大きく二つに分かれており、すべて有料です。東側が定期利用のゾーン、西側が一時利用のゾーンとなっています。
| 利用形態 | 対象 | 料金 |
|---|---|---|
| 定期利用 | 自転車 | 1か月1,000円(学生700円) |
| 定期利用 | 125cc未満の原付 | 1か月2,000円(学生1,400円) |
| 一時利用 | 自転車 | 24時間以内100円 |
| 一時利用 | 125cc以下の原付 | 24時間以内200円 |
放置自転車対策の効果
駐輪場整備の効果として、放置自転車の数は年々大幅に減少しています。2018年には札幌中心部の平日午後3時の放置自転車が約6,000台だったのが、2023年には約500台にまで減少しました。これは約92%の減少率であり、駐輪場整備と啓発活動が効果を上げていることがわかります。
駐輪場設置に関する条例
札幌市では、都心部や駅周辺において路上に放置された自転車等により歩行環境や景観が悪化するなどの課題があったため、2002年から「札幌市自転車等駐車場の設置等に関する条例」を施行してきました。この条例では、自転車等の大量の駐車需要を生じさせる一定規模以上の施設を新築・増築する際に、自転車等駐車場の設置を義務付けています。条例施行から20年が経過し、設置義務台数の適正化等の実態に即した見直しが必要であるため、2024年2月29日より改正条例が施行されています。
無料駐輪場と放置禁止区域
札幌駅周辺の駐輪場および大通周辺の駐輪場は有料で、定期利用の際は所定の手続きが必要です。それ以外の市で設置している駐輪場は無料で利用できます。無料駐輪場の利用期間は原則4月1日から11月30日までとなっています。
札幌市では、札幌市自転車等の放置の防止に関する条例に基づき、公共の場所における自転車等の放置を防止しています。2025年4月1日現在、地下鉄駅やJR駅周辺29か所を自転車等放置禁止区域として指定しています。放置禁止区域内では、自転車等を放置すると撤去の対象となります。置いている時間の長さや置く理由にかかわらず、すぐに移動できない状態は放置とみなされます。
2025年4月1日以降撤去となった場合の撤去費用は、自転車が3,000円、原付が5,000円となっています。
自転車および原動機付自転車が路上に放置されたままになると、車いす利用者やベビーカー利用者を含む歩行者の通行を阻害したり、歩道上の点字ブロックを覆って視覚障がい者の通行の支障となったりする可能性があります。このような問題を防ぐため、放置禁止区域の指定と駐輪場整備が進められています。
自転車の安全対策と交通ルール
自転車を安全に利用するためには、適切な装備と交通ルールの理解が欠かせません。札幌市では様々な安全対策と啓発活動が行われています。
ヘルメット着用の努力義務化
改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から全ての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。自転車乗用中の交通事故で亡くなった方の約5割が頭部に致命傷を負っています。また、自転車乗用中の交通事故において主に頭部を負傷した死者・重傷者について、ヘルメットを着用していなかった方の割合は、着用していた方に比べて約1.7倍高くなっています(2020年から2024年までの5年間の合計)。
2021年のデータでは、ヘルメットを着用していた人の死亡率は約0.35パーセント、着用していなかった人の死亡率は約0.56パーセントと、1.6倍の差があります。北海道警によると、道内では2024年に自転車の事故で12人が亡くなっており、そのうち約6割が頭部をけがして命を落としています。また、小学生の自転車事故の死傷者のうち9割がヘルメットを着用していなかったという報告もあります。
札幌市の安全啓発活動
札幌市では、厳罰化される自転車ルールの取締り対象事例など、自転車の交通ルールとマナーを説明する「出前講座」を実施しています。2024年度第1回市民意識調査では、「自転車利用者が自転車乗車用ヘルメットの着用に努めなければならない」ことを知っている人が81.6パーセントでした。
また、歩道は歩行者が優先という意識を広めるため、7月から10月の期間に「さっぽろ自転車押し歩きキャンペーン」を実施しています。
自転車の基本的な交通ルール
道路交通法において自転車は軽車両であり、車道の左側部分を通行することが原則です。右側を逆走するのは他の車両と正面衝突をする恐れがあり大変危険で、違反にもなります。
2008年6月の道路交通法の改正により、3つの条件のもとで歩道を通行できるようになりました。1つ目は「自転車歩道通行可」の標識がある場合、2つ目は自転車を運転している人が13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人の場合、3つ目は道路工事をしているとき、駐車車両や交通量が多いなど、車道を安全に通行することができない場合です。
やむを得ず歩道を通行する場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を通行する必要があります。あくまでも歩行者優先で、すぐに停止できる速度で走り、歩行者の妨げになる場合は一時停止します。歩行者を避けさせるために後ろからベルを鳴らし道を空けさせるような行為は適切ではありません。
2024年度第1回市民意識調査では、「自転車は車道の左側を走る」が87.2パーセント、「自転車で歩道を走る時は歩行者が優先」が82.4パーセントの認知度でした。「自転車で歩道を走行するとき、歩行者がいるときは減速する」という方が9割を超えましたが、歩行者からは自転車に「もっと減速してほしい」「もっと配慮してほしい」という声が多い結果となりました。
罰則化される違反行為の例として、例外的に歩道を通行できる場合でも徐行などをしないこと、信号無視、一時不停止、右側通行などの通行区分違反、ブレーキが利かない自転車に乗ることなどがあります。また、自転車の「ながら運転」による死亡や重傷事故などは増加傾向にあり、イヤホンを使用しての運転についても、今後反則金を適用した取締りが予定されています。
北海道自転車条例について
北海道自転車条例は、自転車の活用および安全な利用の推進に関する施策を総合的に推進し、環境への負荷の低減、道民の健康の増進、観光の振興等に資することを目的としています。
この条例では、自転車を利用する際に自然環境の保全への配慮や、冬期における道路状況を考慮した適正な器材の装着等に努めることが求められています。積雪寒冷地である北海道ならではの規定であり、冬期の安全な自転車利用に向けた意識啓発が図られています。
北海道のサイクルツーリズムと札幌の役割
北海道ではサイクルツーリズムの推進が進んでおり、札幌市はその玄関口として重要な役割を担っています。健康志向や環境意識の高まりを背景に、自転車を活用した観光の魅力が注目されています。
サイクルツーリズム推進の取り組み
北海道開発局では「北海道のサイクルツーリズム推進に向けた検討委員会」を設立しています。「北海道総合開発計画(2016年3月閣議決定)」に基づき、アジアの中でも特徴的で魅力的な観光資源を活かしながら「世界水準の観光地」を目指しています。
2017年5月には自転車活用推進法が施行され、2019年8月19日には「北海道サイクルルート連携協議会」が設立されました。官・民をはじめ多くの関係者が連携・協働する取組を北海道内で本格展開しています。
サイクルツーリズム情報の発信
北海道商工会議所連合会では、北海道を訪れるサイクリストに安全・安心に周遊してもらうため、道の駅や観光案内所、サイクルショップ等のサイクル拠点のほか、サイクリングマップやサイクリスト向けの宿泊施設などの情報を検索できるシステムを公開しています。
サイクル冊子「HOKKAIDO CYCLE TOURISM~自転車で旅する北海道~」は2024年版(日本語・英語・繁体字)が発行されており、道内各地のサイクルルート、レース、宿泊施設情報、観光情報などを掲載しています。
札幌近郊のサイクリングツアー
札幌近郊では、半日または1日で巡る夏でも冬でも楽しめるサイクリングツアーが用意されています。1日から最長30日まで、札幌近郊をはじめ北海道全域に対応したロングツアーのモデルコースもあります。
北海道には多様なサイクルルートが整備されており、網走国定公園、阿寒・摩周国立公園、大雪山国立公園などを巡るルートや、石狩市、当別町、新篠津村、増毛町の4市町村を自転車で巡り、日本海や田園風景、歴史的な町並みを堪能できるルートなどがあります。
さっぽろサイクリングマップの活用
札幌市建設局総務部自転車対策担当課では、市内一円のサイクリングロードを紹介する「さっぽろサイクリングマップ」を作成しています。表面に市内全域の平面図、裏面に主要3路線を個別に拡大した平面図が配置されています。
このマップは、市役所6階自転車対策担当課、市役所2階市政刊行物コーナー、各区役所広聴係で配布されています。サイクリングを計画する際には、事前に入手しておくと便利です。
札幌がサイクリングに適している理由
札幌市は自転車で少し走れば信号の少ない郊外に出られる、コンパクトでサイクリストにやさしい街です。市内中心部から郊外の自然豊かなエリアまで、比較的短時間でアクセスできます。平坦な道が多く、観光スポットも点在しているため、ポタリングにも適した環境が整っています。
今後の展望と課題
札幌市の自転車ネットワーク計画は着実に進展していますが、今後取り組むべき課題もあります。
自転車ネットワークの拡充
札幌市自転車活用推進計画では、今後、既存のサイクリングロード等と重点地区内の整備路線との接続の検討も行うとしています。都心部や駅周辺を重点地区として位置付け、集中的に自転車通行空間の整備を進めながら、市全体としてのネットワークの構築を目指しています。
冬期の自転車利用における課題
積雪寒冷地である札幌市においては、積雪や路面凍結などの冬期特有の気象条件があります。現状では、冬期に自転車を利用する際の利用方法は明確になっていないという課題があります。安全な冬期利用のためのガイドライン整備が今後の課題の一つです。
安全意識の向上
自転車は利便性や経済性に優れ、健康的で環境にも優しい交通手段ですが、歩道上における迷惑駐輪や自転車と歩行者の事故など、課題も顕在化しています。ルールやマナーの周知、安全教育の継続的な実施が重要です。
観光資源としての活用
サイクルツーリズムの推進により、自転車は観光資源としての価値も高まっています。国内外からのサイクリストを受け入れるための環境整備、多言語対応、サイクリスト向け宿泊施設の充実などが今後さらに進むことが期待されます。
自転車は環境にやさしく、健康増進にも寄与する持続可能な交通手段です。札幌市民や観光客が安全・快適に自転車を利用できる環境づくりが、これからも着実に進められていくことが望まれます。









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