長浜城下町は、滋賀県琵琶湖の北東岸に位置する歴史深い城下町で、ポタリング(自転車散策)で巡るのに最適な観光地です。2026年はNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送年にあたり、豊臣秀吉・秀長兄弟ゆかりの地として例年以上の注目を集めています。大河ドラマ館や北近江豊臣博覧会が開催される長浜では、コンパクトにまとまった市街地を自転車でのんびり巡りながら、450年以上の歴史を持つ城下町の魅力と大河ドラマの世界観を同時に楽しむことができます。
長浜のポタリングが人気を集めている理由は、駅前で電動アシスト自転車を含むレンタサイクルが手軽に借りられること、主要観光スポット同士の距離が近くほぼ平坦な地形であること、そして琵琶湖沿いのサイクリングロードが整備されていることにあります。この記事では、長浜城下町の歴史的背景から大河ドラマ「豊臣兄弟!」との関わり、ポタリングで巡る具体的な観光スポットやご当地グルメ、おすすめモデルコースまで、長浜ポタリングを存分に楽しむための情報を詳しくお伝えします。

長浜城下町の歴史とは ── 秀吉が一から築き上げた商業都市
長浜城下町とは、1573年(天正元年)に羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が北近江の地に築いた城下町です。秀吉は主君・織田信長が浅井長政を滅ぼした際の功績により、この地を拝領しました。もともと「今浜(いまはま)」と呼ばれていた土地を、信長の名から一字を拝借して「長浜」と改名したのが、この城下町の始まりです。「長く浜が栄えるように」という思いが込められているとも言われています。
浅井長政はかつて織田信長と同盟を結んだ戦国大名でしたが、信長に反旗を翻したことで姉川の戦いをはじめとする激しい戦いが北近江で繰り広げられました。この戦乱で荒廃した江北の地を立て直したのが、秀吉と弟・秀長の兄弟です。兄弟はともに尾張中村の貧しい農家の出身でありながら、天下統一という壮大な夢に向けて共に歩みました。
天正2年(1574年)から秀吉は本格的な城下町づくりに着手しました。姉川合戦などの戦乱によって荒廃していた江北の地に、各地から商人や職人を積極的に誘致し、城下町の52か町には税を免除するという大胆な施策を実施しました。この無税地は「朱印地」と呼ばれ、江戸時代にも引き継がれています。周辺からの人口流入を促したこの制度により、長浜はコンパクトながらも機能的な近世城下町として急速に発展しました。
特筆すべきは、秀吉が設計した長浜の街割りです。江戸時代の多くの城下町に見られる細い路地や複雑な行き止まり、鈎の手といった軍事的防衛を重視した設計ではなく、商業活動を主体とした合理的な構造になっていました。秀吉が長浜を軍事拠点よりも商業都市として発展させようとした意図の表れであり、この町の設計思想が現在まで続く長浜の商人文化の礎となっています。
弟・秀長は兄が長浜城主となるにあたり、城代として長浜の地に深く関わりました。その能力と人望は高く評価され、のちには大和郡山100万石の大大名にまでのぼりつめた秀長は、兄・秀吉が最も信頼を置く重要な存在でした。長浜はそんな兄弟の出発点となった場所です。
長浜城は秀吉が初めて城持ち大名として築いた城であり、彼の出世物語における象徴的な場所でもあります。現在の長浜城歴史博物館(天守閣を模した建物)が建つ豊公園は、かつての長浜城の跡地にあたります。秀吉が長浜を離れたのち、長浜城は1615年に廃城となりましたが、城下町としての長浜は商業都市として発展を続けました。北国街道の宿場町として、琵琶湖の水運の要衝として、大通寺の門前町として、そして彦根藩の縮緬(ちりめん)機業の中心地として、長浜は近世を通じて栄え続けました。
大河ドラマ「豊臣兄弟!」と長浜城下町の深いつながり
2026年1月4日に放送が始まったNHK大河ドラマ第65作「豊臣兄弟!」は、天下人・豊臣秀吉の弟である豊臣秀長(通称・小一郎)を主人公とした戦国サクセスストーリーです。これまでの大河ドラマでは秀吉が主人公として描かれることが多かった中、今作では「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで評される稀代の補佐役・秀長の視点から戦国時代が描かれています。
脚本はドラマ「おんな城主 直虎」を手がけた八津弘幸が担当し、音楽は木村秀彬、語りは安藤サクラが務めています。主演は仲野太賀が豊臣秀長(小一郎)を演じ、兄・秀吉役には池松壮亮が起用されました。さらに、織田信長役に小栗旬、徳川家康役に松下洸平、明智光秀役に要潤、前田利家役に大東駿介、お市役に宮﨑あおいなど、豪華なキャストが揃っています。
豊臣秀長は天文9年(1540年)、尾張国(現在の愛知県名古屋市中村区)の貧しい農家に生まれました。兄・秀吉が天下への道を歩み始めるとともに、秀長もその右腕として活躍しました。天正元年(1573年)には秀吉の長浜城主就任に伴い、城代として長浜の地に深く関わることになりました。長浜は秀吉・秀長兄弟にとって、まさに天下取りの第一歩を踏み出した縁の地です。大河ドラマをきっかけに長浜を訪れることで、兄弟が歩んだ歴史の舞台を肌で感じることができます。
北近江豊臣博覧会と大河ドラマ館の見どころ
2026年の長浜では、大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送に合わせて「北近江豊臣博覧会」が開催されています。開催期間は2026年2月1日(日)から12月20日(日)までで、市内各所を会場として秀吉・秀長兄弟の物語と長浜の歴史を多角的に楽しめる一大イベントです。
博覧会の目玉となるのが「豊臣兄弟! 北近江長浜 大河ドラマ館」です。会場は長浜市元浜町32-9(長浜別院 大通寺 総会所)で、開館時間は9時から17時(最終入館16時30分)となっています。ドラマの世界観を体感できる展示や映像、空間演出がふんだんに盛り込まれており、劇中で使用された衣装や小道具、役者へのインタビュー映像、メイキング映像なども楽しめます。
同時期には長浜の地に深く根付いた浅井家の物語を伝える「義と絆館」もオープンしており、2つのドラマ館を通じて戦国時代の北近江を立体的に理解できる構成になっています。大河ドラマ館は単なる展示施設にとどまらず、周辺の歴史スポットと組み合わせた「聖地巡礼」のベースとしても最適です。ポタリングで市内を巡りながら、秀吉・秀長ゆかりの地を訪ね歩く旅のプランを立てることができます。
長浜ポタリングの始め方 ── レンタサイクルとアクセス方法
長浜でのポタリングは、JR長浜駅を起点にするのが定番です。大阪・京都方面からは新快速でアクセスでき、米原駅で北陸本線に乗り換えると長浜駅まで約10分で到着します。名古屋方面からは米原経由でアクセスが可能です。
長浜駅周辺にはレンタサイクル施設が複数あり、気軽に自転車を借りることができます。長浜観光協会ツアーセンターでは普通自転車が1日500円、電動アシスト自転車が1日1,000円(預かり金800円、返却時返金)という手頃な料金で利用可能です。シェアサイクルシステムを採用した施設では、最初の60分220円(以降30分ごとに110円追加)というプランも用意されています。
| 種類 | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 普通自転車 | 1日500円 | 長浜観光協会ツアーセンター |
| 電動アシスト自転車 | 1日1,000円 | 預かり金800円(返却時返金) |
| シェアサイクル | 最初の60分220円 | 以降30分ごとに110円追加 |
市街地はほぼ平坦で、琵琶湖沿いもサイクリングロードが整備されています。体力に自信のない方や初めてポタリングをする方は電動アシスト自転車を選ぶと、より余裕を持って観光スポットを巡ることができます。
ポタリングで巡る長浜城下町の観光スポット
豊公園と長浜城歴史博物館 ── 秀吉の居城跡を訪ねる
長浜駅から西口を出て徒歩約5分のところにある「豊公園」は、豊臣秀吉の居城・長浜城の跡地に広がる公園です。琵琶湖を望む絶好のロケーションにあり、園内には約600本の桜(ソメイヨシノ・ジンダイアケボノなど)が植えられています。毎年4月上旬から中旬にかけて見事な花を咲かせ、湖面をバックに長浜城天守閣と桜が織りなす風景は「日本さくら名所100選」にも選ばれています。日没後はぼんぼりが点灯し、昼間とは異なる幻想的な夜桜を楽しむこともできます。
公園内にある「長浜城歴史博物館」は、秀吉が初めて築いた長浜城の天守閣を模した博物館です。秀吉と長浜・湖北の歴史に関する豊富な資料が展示されており、屋上の展望台からは琵琶湖と湖北の山々を一望できます。天気の良い日には竹生島まで見渡せるのも魅力です。入館料は大人500円、小・中学生200円で、開館時間は9時から17時(入館受付は16時30分まで)となっています。
黒壁スクエア ── 明治の洋風建築とガラス芸術の融合
長浜観光の中心地として多くの人に愛される「黒壁スクエア」は、北国街道と長浜城から東に延びる大手門通りの交差点「札の辻」周辺に広がる観光エリアです。その歴史は明治時代に遡ります。明治33年(1900年)にこの地に建てられた第百三十国立銀行長浜支店が、黒塗りの壁から「黒壁銀行」の愛称で長浜市民に親しまれたことがエリア名の由来です。
平成元年(1989年)に「黒壁一號館・黒壁ガラス館」としてリニューアルオープンして以来、江戸から明治時代の和風建造物を活用したギャラリーやレストラン、カフェ、ショップが集積するエリアとして発展しました。現在では西日本最大のガラス芸術の展示エリアとして知られ、周囲には約30店舗が軒を連ねています。
二號館スタジオクロカベではガラス職人による制作の実演を間近で見ることができ、吹きガラスやステンドグラス、カットガラスなど7種類の体験メニューが用意されています。初心者でも気軽にガラス制作を体験できるのが魅力で、年間約150万人の観光客が訪れる滋賀県随一の人気観光スポットです。
北国街道と安藤家 ── 城下町の情緒が息づく歴史的街道
黒壁スクエアを貫く「北国街道」は、江戸時代に北国(現在の北陸地方)と京都・大阪を結んだ主要街道のひとつです。長浜はその宿場町として栄え、現在でも街道沿いには古い町家が残り、情緒ある景観が続いています。
北国街道安藤家は、江戸時代から続く老舗で、明治から大正期の建物が今も現役で使われています。木虫籠(きむすこ)と呼ばれる格子窓が特徴的な伝統的建造物で、かつて著名な芸術家・北大路魯山人が書いた看板が残るなど、文化的価値の高い場所です。ポタリングでこの街道をゆっくりと走ると、古い商家の連なりと現代の店舗が絶妙に融合した長浜らしい景観を満喫できます。
大通寺と大河ドラマ館 ── 長浜の信仰文化とドラマの交差点
長浜別院・大通寺は長浜の中心部に位置する浄土真宗大谷派の寺院で、「長浜御坊(ながはまごぼう)」とも呼ばれ地元の人々に親しまれています。2026年の大河ドラマ館「豊臣兄弟! 北近江長浜 大河ドラマ館」の会場でもあり、歴史的な寺院とドラマの世界観が融合した特別な空間となっています。
境内には壮大な伽藍が広がり、拝観することで長浜の宗教文化にも触れることができます。大通寺の表参道にはお土産屋やカフェも並んでおり、散策を楽しみながら地元の味を試すのにも最適なエリアです。
長浜のご当地グルメを自転車で味わう
ポタリングの楽しみのひとつが立ち寄りグルメです。長浜には個性的なご当地グルメが揃っており、自転車で町を走りながら気軽に立ち寄れる飲食店が多いのも魅力です。
長浜を代表するご当地グルメのひとつが「のっぺいうどん」です。かつおと昆布でとった出汁に吉野葛でとろみをつけた「あんかけ」が特徴で、椎茸・湯葉・生姜などの具材がたっぷりとのっています。とろりとした温かいあんかけが体に染みわたる一品で、特に寒い季節には格別のおいしさです。「長浜に行ってきたで」といえば「のっぺいうどん食べてきたか?」と聞かれるほど、地元に根付いた名物料理です。代表的な店舗として「のっぺいうどん 茂美志屋(もみじや)」(長浜市元浜町)があり、自家製うどんと大ぶりの椎茸、丁寧に引いた出汁のあんかけが絶妙な一品を楽しめます。
もうひとつの長浜名物が「焼き鯖そうめん」です。そうめんを鯖のだしで煮た茶色に染まった麺に、じっくりと煮込まれた焼き鯖がどんとのった豪快な料理です。この料理の背景には、長浜・湖北地方ならではの食文化があります。田植えの繁忙期に農家に嫁いだ娘のもとへ実家から焼き鯖を届ける「五月見舞い」という風習があり、その鯖と手元にあったそうめんを組み合わせて煮たのが始まりとされています。素朴ながらも深い味わいを持つ郷土料理で、黒壁スクエア周辺の飲食店でも味わえます。
黒壁スクエア周辺には食べ歩きに最適なスイーツショップやカフェも充実しています。地元産の素材を使ったスイーツや、ガラス工芸品とコラボしたおしゃれなカフェなど、ポタリング中の休憩を兼ねてゆっくりとカフェタイムを楽しむことができます。
琵琶湖沿いサイクリングで足を延ばす楽しみ方
長浜の市街地をひと通り回ったあとは、琵琶湖沿いのサイクリングロードへと足を延ばすのもおすすめです。長浜駅から北方向に向かうと、奥琵琶湖(湖北エリア)の自然豊かな湖岸を走ることができます。長浜駅から木之本方面への距離は片道約20kmほどで、信号が少ない湖岸沿いのルートは走りやすく、電動アシスト自転車でも無理なく楽しめます。
途中には高月や木之本などの集落があり、由緒ある寺社や観音像などの文化財が点在しています。「湖北の観音さんめぐり」として知られる観音巡りも人気のルートで、自転車であれば効率よく複数の寺院を訪れることができます。秋には「鶏足寺」(木之本町)の紅葉が有名で、モミジの赤と黄が折り重なる参道の美しさは格別です。紅葉シーズンのポタリングプランにぜひ加えたいスポットです。
おすすめの長浜ポタリングモデルコース
長浜の主要スポットを無理なく巡れるモデルコースを3つご紹介します。
半日コース(約3〜4時間)は、長浜駅を出発し、豊公園・長浜城歴史博物館(徒歩5分)から黒壁スクエア(自転車で5分)へ向かい、北国街道安藤家(徒歩すぐ)を経て大通寺・大河ドラマ館(自転車で3分)を訪れ、長浜駅に帰着するルートです。市街地の主要スポットをコンパクトに巡るコースで、途中でのっぺいうどんや焼き鯖そうめんのランチを挟むと、より長浜らしい体験ができます。
一日コース(約6〜8時間)は、長浜駅を出発し、豊公園・長浜城歴史博物館、黒壁スクエア、北国街道散策、大通寺・大河ドラマ館を午前中に巡り、ランチ(焼き鯖そうめんまたはのっぺいうどん)を挟んだ後、午後は慶雲館と琵琶湖岸サイクリングを楽しんでから長浜駅に帰着するルートです。午前中に市街地の歴史スポットを巡り、午後は琵琶湖沿いのサイクリングでリフレッシュするという流れで、ゆったりと時間をかけて長浜の魅力を満喫できます。
大河ドラマファン向けコース(聖地巡礼)は、長浜駅から長浜城歴史博物館(秀吉ゆかりの地)、大河ドラマ館「豊臣兄弟! 北近江長浜」、義と絆館、北国街道(城下町の雰囲気を感じる)、豊公園(長浜城跡)を巡り、長浜駅に帰着するルートです。大河ドラマ「豊臣兄弟!」の世界観に浸りながら、秀吉・秀長兄弟ゆかりの地を重点的に巡ることができます。
長浜ポタリングのベストシーズンと観光時期
長浜は四季を通じて見どころが豊富な観光地ですが、ポタリングに特におすすめのシーズンがあります。
春(3月下旬〜4月中旬)は、豊公園の約600本の桜が見ごろを迎える長浜ポタリングのベストシーズンです。湖面をバックに咲き誇る桜と長浜城天守閣の組み合わせは、日本さくら名所100選に選ばれるほどの美しさです。花見客でにぎわう公園を自転車で訪れ、桜のトンネルをくぐるように走る体験は格別です。
秋(10月〜11月)は、奥琵琶湖や木之本方面の鶏足寺の紅葉が見ごろを迎える季節です。気温も過ごしやすく、長距離のサイクリングにも最適で、黄金色に染まる湖岸の木々を眺めながら走る爽快感を味わえます。
2026年は通年で楽しめる特別な年です。大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送に合わせた北近江豊臣博覧会が2月から12月まで開催されており、一年を通じて歴史ファンが楽しめるイベントが盛りだくさんです。訪問前に長浜市の公式情報を確認しておくことをおすすめします。
長浜の文化と伝統 ── 曳山祭りと盆梅展と鉄道遺産
長浜曳山祭り ── 秀吉の時代から続くユネスコ無形文化遺産
長浜には年間を通じて城下町の豊かな文化を体感できるイベントが数多くあります。なかでも「長浜曳山祭り」は、京都の祇園祭、岐阜の高山祭と並ぶ「日本三大山車祭」のひとつとして知られる一大祭礼です。
長浜曳山祭りの起源は豊臣秀吉にあります。安土桃山時代、長浜城主であった秀吉に男子が生まれた折、喜んだ秀吉が城下の人々に砂金を振る舞いました。町民たちはこれをもとに豪華な曳山をつくり、長浜八幡宮の祭礼に曳き回したのが始まりとされています。まさに長浜城下町の発展とともに生まれた祭りであり、豊臣兄弟の時代から続く伝統文化です。
祭りの最大の見どころは「子ども歌舞伎」です。5歳から12歳ほどの男の子たちが豪華な衣裳をまとい、大人顔負けの演技で歌舞伎を披露します。石川県小松、埼玉県秩父と並ぶ「日本三大子ども歌舞伎」のひとつにも数えられ、昭和54年(1979年)に国の重要無形民俗文化財に指定されました。さらに平成28年(2016年)にはユネスコ無形文化遺産にも登録されています。毎年4月の開催時には多くの観光客が長浜を訪れ、城下町の街並みを豪華な山車が練り歩く光景は圧巻です。ポタリングの時期に祭りが重なれば、ぜひ見学もセットにしてみてください。
長浜盆梅展と慶雲館 ── 冬から春にかけての風物詩
冬から春にかけての長浜では「長浜盆梅展」が開催されます。会場は明治時代に建てられた迎賓館「慶雲館」(国指定名勝)です。慶雲館は長浜の豪商・浅見又蔵氏が明治天皇行幸のために建設したもので、「慶雲館」という名は伊藤博文が命名しました。
近代日本庭園の先駆者として知られる七代目小川治兵衛が手がけた庭園は、大きな起伏をつけた立体的な構成と巨石を用いた豪壮な意匠が特徴で、国の名勝に指定されています。盆梅展では約300鉢の梅の中から約90鉢を純和風の座敷に展示し、高さ3メートル近い巨木や樹齢400年と伝わる古木が並ぶ様子は圧巻です。昭和27年(1952年)から始まり、2026年で第75回を迎えるなど、長浜の冬の風物詩として長く愛されてきました。JR長浜駅西口から南へ徒歩約3分と好立地なので、ポタリングの出発前や帰着前に立ち寄ることができます。
長浜鉄道スクエア ── 日本最古の駅舎を訪ねる
長浜駅の北側にある「長浜鉄道スクエア」は、日本最古の鉄道駅舎のひとつである「旧長浜駅舎」を保存・活用した博物館です。明治15年(1882年)に建てられた駅舎はヴィクトリア朝様式の洋風建築で、国の重要文化財に指定されています。館内では鉄道の歴史や北陸線・湖西線の歩みが学べる展示のほか、実物の機関車も展示されており、鉄道ファンだけでなく歴史好きにも人気のスポットです。黒壁スクエアや豊公園と合わせて回れる好立地なので、ポタリングコースにぜひ加えてみてください。
長浜ポタリングを楽しむための注意点とアドバイス
長浜でポタリングを楽しむうえで、いくつか知っておくと役立つポイントがあります。
レンタサイクルには返却時間が設けられています。特に夕方に閉まる施設が多いため、出発前に返却時間を確認し、余裕を持ったスケジュールで回ることが大切です。長浜城歴史博物館や大河ドラマ館などの観光施設は、月によって休館日が異なる場合があるため、訪問前に各施設の公式サイトや長浜市の観光情報を確認しておくと安心です。
黒壁スクエア周辺は観光客が多く、歩行者と自転車が混在する場面があります。スピードを落とし、歩行者の邪魔にならないよう配慮しながら走ることが重要です。場合によっては自転車を降りて押して歩くことで、お店のウィンドウをゆっくり眺める余裕も生まれます。
琵琶湖周辺は風が強い日もあり、春や秋は朝晩と日中の気温差が大きい場合もあるため、羽織れる一枚を持参すると快適です。雨天時は視界が悪くなることもありますので、レインウェアも備えておくと安心です。荷物はカメラや財布などの貴重品をコンパクトにまとめ、自転車のかごやリュックに入れて身軽に過ごすのがおすすめです。
長浜から足を延ばせる近隣の見どころ
竹生島 ── 琵琶湖に浮かぶ神聖な霊場
琵琶湖に浮かぶ離島・竹生島は、長浜港から定期船で約25〜30分でアクセスできます。島全体が神聖な気に満ちた霊場で、都久夫須麻神社(竹生島神社)と宝厳寺が鎮座しています。琵琶湖の絶景を背景に日本の信仰文化を感じることのできる特別な場所で、豊臣秀吉もこの島を厚く信仰したとされており、大河ドラマとのゆかりも深い場所です。
彦根城 ── 国宝の名城と長浜を合わせた歴史旅
長浜から南に電車で約20分の場所には、国宝・彦根城があります。現存12天守のひとつであり、四季折々に美しい姿を見せる名城です。長浜と合わせて日帰りコースとして組み合わせる観光客も多く、歴史散策のプランをより充実させることができます。
長浜城下町ポタリングで歴史と現代が交差する旅へ
長浜はコンパクトながらも濃密な歴史と文化が凝縮された城下町です。秀吉が商業都市として整備した街割りは現代まで受け継がれ、観光客が自転車で移動しやすい環境を自然に生み出しています。駅から主要スポットまでのほとんどが自転車で10分以内というアクセスの良さは、長浜がポタリングに最適な都市であることを示しています。豊臣秀吉が自ら手がけた城下町の痕跡が残る街並みを自転車でゆったりと走り、黒壁スクエアで芸術に触れ、のっぺいうどんや焼き鯖そうめんで地元の味を楽しむ。そのひとつひとつが、長浜ならではの豊かな体験となります。
2026年は大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送という特別な年です。秀吉と秀長の兄弟がともに歩んだこの地を、ポタリングという最も人間的なスピードで巡ることで、歴史の重さと生きた人々の息遣いを身近に感じることができます。大河ドラマ館や北近江豊臣博覧会ではドラマの舞台裏や歴史的背景を深く知ることができ、長浜城歴史博物館や黒壁スクエアを巡りながら豊臣兄弟が暮らした時代を想像するのも格別の楽しみです。
城下町の街並みは現代の観光地として生まれ変わりながらも、あちこちに江戸・明治の薫りが漂っています。自転車でゆっくりと走ることでこそ感じ取れる発見が随所に溢れており、急がずに一つひとつのスポットでしっかりと時間を使うことで、長浜の深みをじっくりと味わうことができます。春の桜、秋の紅葉、そしてドラマの熱気に包まれた長浜城下町へ、ぜひ自転車を借りて出かけてみてください。400年以上の歴史を持つ城下町には、訪れるたびに新しい発見があります。豊臣秀吉と秀長兄弟が夢見た繁栄の地で、あなただけの長浜ポタリング物語を紡いでみてください。歴史と現代が交差するこの街を自転車でのんびりと駆け抜ける体験は、きっと心に深く刻まれる旅の記憶となるでしょう。









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