ポタリングで巡る奈良監獄ミュージアム|旧奈良監獄の歴史と見どころ

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奈良の新たな観光スポットとして注目を集めている「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」は、2026年4月27日に開館する体験型ミュージアムです。明治時代に建てられた赤れんがの旧奈良監獄を活用したこの施設は、近鉄奈良駅から自転車で15分から20分ほどの「きたまち」エリアに位置しており、ポタリングで訪れるのに最適な立地となっています。東大寺や春日大社といった定番スポットとはひと味違う、歴史と文化の新しい楽しみ方を提案してくれる施設です。

この記事では、ポタリングで奈良のきたまちエリアを巡りながら旧奈良監獄と奈良監獄ミュージアムを訪れるプランについて、建物の歴史的背景や建築的魅力、周辺の見どころ、レンタサイクル情報、実用的なアクセス方法まで詳しくお伝えします。自転車でのんびり走りながら、古都奈良の奥深い魅力を発見する旅のお役に立てれば幸いです。

目次

ポタリングとは?自転車で奈良をのんびり巡る楽しみ方

ポタリングとは、自転車でのんびりと街を巡ることを指す言葉です。英語の「potter(ぶらつく)」に由来する和製英語で、速さやタイムを競うサイクリングとは異なり、風景を楽しみながらマイペースで走るのが特徴です。

ポタリングの魅力は、徒歩よりも広い範囲を回れること、車では見逃してしまう小さな発見に出会えること、そして体への負担が少なく誰でも気軽に楽しめることにあります。奈良のような歴史と自然が豊かな街は、ポタリングに最適な場所といえます。

奈良県は全国でも有数の文化財が県内に点在している一方、サイクリングロードがバランスよく整備されているため、自転車を活用すれば手軽に歴史を体験できます。奈良県では「ならクルマップ」という31ルートのサイクリングマップを公開しており、幹線ルート17ルートと高原ルート14ルートが掲載されています。平城京跡から奈良公園、薬師寺、唐招提寺と世界遺産を巡るコースなど、多彩なルートが用意されています。

さらに、奈良県はサイクリスト向けに「ならクルターミナル」を認定しています。駐輪スペースやトイレ、空気入れの貸出、自転車メンテナンススペース、更衣室、シャワールームなどのサービスを提供する施設が県内各所に点在しているため、安心してポタリングを楽しめる環境が整っています。

奈良でのレンタサイクル情報と自転車の借り方

ポタリングを楽しむには、まず自転車の確保が必要です。奈良駅周辺には複数のレンタサイクルショップがあり、手ぶらでも気軽にポタリングを始められます。

ヤマト観光レンタサイクルは、近鉄奈良駅から「やすらぎの道」に沿って北へ徒歩約3分の場所にあります。電動アシスト付き自転車が1日990円からという手頃な価格で利用できるのが魅力です。奈良のきたまちエリアは若干の坂道があるため、電動アシスト付き自転車をおすすめします。

奈良交通のレンタサイクル近鉄奈良店は、近鉄奈良駅6番出口よりすぐの好立地にあり、営業時間は9時から19時までです。奈良レンタサイクルは、近鉄奈良駅7番出口より北に徒歩約2分の場所にあり、自転車と電動自転車のレンタルに対応しています。無人営業で24時間返却が可能という利便性の高さが特徴で、貸出受付時間は9時から17時までです。

また、奈良バイクシェア(ドコモ・バイクシェア)やHELLO CYCLINGといったシェアサイクルサービスも奈良市内で展開されています。スマートフォンのアプリで手軽に利用でき、短時間の利用であればシェアサイクルの方がコストパフォーマンスが良い場合もあります。JR奈良駅を利用する場合は、レンタサイクル「駅リンくん」JR奈良営業所も選択肢に入ります。

ショップ名最寄り特徴
ヤマト観光レンタサイクル近鉄奈良駅から徒歩約3分電動アシスト付き1日990円から
奈良交通レンタサイクル近鉄奈良店近鉄奈良駅6番出口すぐ営業時間9時〜19時
奈良レンタサイクル近鉄奈良駅7番出口から徒歩約2分無人営業・24時間返却可能
奈良バイクシェア・HELLO CYCLING奈良市内各所アプリで手軽に利用可能
駅リンくん JR奈良営業所JR奈良駅JR利用者に便利

おすすめポタリングコース:近鉄奈良駅からきたまちエリアへ

近鉄奈良駅を出発点として、きたまちエリアを巡り、旧奈良監獄(奈良監獄ミュージアム)を目指すポタリングコースをご紹介します。

奈良きたまちエリアの魅力

奈良きたまちとは、東大寺などがある奈良公園の北側に広がるエリアの通称です。近鉄奈良駅の北側から般若寺あたりまでの一帯を指し、古い町家やレトロな建物が残る落ち着いた雰囲気が魅力のエリアです。近年はおしゃれなカフェや雑貨店も増え、若い世代にも人気が高まっています。

国宝・転害門から始まるきたまちの旅

近鉄奈良駅を出発し、まずは東大寺方面へ向かいます。県庁前を通り、奈良公園の中を走ると、朝の清々しい空気の中、鹿たちがのんびりと草を食む姿に出会えます。奈良公園内は自転車の通行が可能な道路もありますが、歩行者や鹿に十分注意して走行する必要があります。

東大寺の境内西北に位置する転害門(てがいもん)は、ぜひ立ち寄りたいスポットです。転害門は三間一戸八脚門の形式をもつ堂々とした門で、平重衡の兵火(1180年)と三好・松永の戦い(1567年)という2回の戦火にも焼け残った、東大寺の中でも数少ない建物のひとつです。天平時代の建築様式を今に伝える貴重な遺構として、国宝に指定されています。

きたまちのカフェでひと休み

転害門から北へ進むと、きたまちの中心部に入っていきます。このあたりには、江戸時代から続く老舗の和菓子屋や、町家を改装したカフェなどが点在しており、自転車を停めてひと休みするのにちょうどよい場所です。きたまちエリアは奈良公園周辺と比べて観光客が少なく、地元の雰囲気をゆったりと味わえるのが魅力です。

近年、古民家をリノベーションしたおしゃれなカフェが続々とオープンしており、古都らしさとモダンな雰囲気が融合した空間が注目を集めています。東大寺の北にある築100年の建物を活用した「工場跡事務室」では、ノスタルジックな雰囲気の中で朝食や大和茶を楽しめます。また、きたまち界隈には契約農家のお米やきちんと取っただし、新鮮な野菜を使った定食を出す店もあり、地元の人々が贔屓にするランチスポットも多いです。奈良観光の定番エリアである「ならまち」と比べると、きたまちはまだ穴場的な存在で、落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しめます。

花の寺・般若寺へ

きたまちをさらに北へ進むと、般若寺に到着します。般若寺は飛鳥時代に創建された古刹で、聖武天皇が鬼門封じに「大般若経」を納めたのが寺号の由来とされています。鎌倉時代の優美な建築様式をもつ楼門は国宝に指定されており、楼門の奥正面に立つ十三重石塔は高さ約14.2メートルの重要文化財です。

般若寺は別名「コスモス寺」とも呼ばれ、境内一帯に約15万本のコスモスが咲き誇ることで知られています。秋のコスモスシーズンはもちろん、春の山吹、初夏のアジサイなど、四季折々の花が楽しめる「花の寺」としても有名です。石仏を彩るように咲く花々の風景は、奈良ならではの静かな美しさがあります。

般若寺から旧奈良監獄までは、自転車でわずか数分の距離です。般若寺町の住宅街を抜けると、赤れんがの堂々とした建物が見えてきます。

旧奈良監獄の歴史:明治五大監獄の「生き証人」

旧奈良監獄とは、1908年(明治41年)に完成した赤れんが造りの監獄施設で、「明治五大監獄」の中で唯一、建設当時の全貌を残す貴重な建築遺産です。2017年(平成29年)には国の重要文化財に指定されました。

江戸時代から明治へ続く監獄の近代化

旧奈良監獄の前身は「奈良奉行(南都町奉行)所」であり、1871年(明治4年)に「奈良監獄署」が設立されました。明治政府は欧米諸国との不平等条約改正に向けて、日本の司法制度が近代的であることを示す必要がありました。その一環として監獄施設の近代化が推進され、1901年(明治34年)に第1期監獄改築計画が議会を通過し、全国5か所に近代的な監獄を建設する「明治五大監獄」計画が始動しました。

明治五大監獄とその後の運命

明治五大監獄とは、千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島の5か所に建設された近代的監獄のことです。1907年(明治40年)に長崎監獄、金沢監獄、千葉監獄が竣工し、翌年に鹿児島監獄も完成しました。いずれも西洋の建築様式を取り入れた赤れんが造りの壮麗な建物でしたが、その後の運命は大きく異なりました。

千葉監獄は現在も千葉刑務所として使用されているものの、建物の大部分は建て替えられています。金沢監獄は取り壊され、正門や中央看守所、監房の一部が愛知県犬山市の博物館明治村に移築保存されています。長崎監獄は門のみが残存し、鹿児島監獄も正門が残るのみです。なお、明治五大監獄のうち鹿児島監獄だけは石造りで建設されたという特徴があります。このように建設当時の全貌を残しているのは奈良だけであり、この点が旧奈良監獄の文化財としての価値を極めて高いものにしています。

設計者・山下啓次郎と奈良監獄の完成

1908年(明治41年)7月、司法省技師・山下啓次郎の設計により「奈良監獄」が完成しました。山下啓次郎はドイツで建築を学んだ司法省の技師で、明治五大監獄のうち千葉、金沢、奈良、鹿児島の4つの設計を手がけた人物です。ちなみに山下啓次郎は、ジャズピアニストの山下洋輔の祖父にあたることでも知られています。

奈良少年刑務所時代と詩の教室

奈良監獄は1946年(昭和21年)に「奈良少年刑務所」と改称され、主に少年受刑者を収容する施設として運用されました。奈良少年刑務所で特筆すべきは、受刑者による文芸活動が盛んに行われていたことです。

2007年から2016年まで実施された「社会性涵養プログラム」では、作家の寮美千子氏が講師を務め、強盗や殺人などの重い罪を犯した17歳から26歳の若い受刑者を対象に、詩の創作を通じた自己表現の訓練が行われました。このプログラムから生まれた詩は、寮美千子氏の編集により複数の詩集として出版されています。「空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集」(新潮社)は受刑者57名の詩を収録した作品で、詩集としては異例の売り上げを記録しました。続編として「世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集」(ロクリン社、2016年)や「名前で呼ばれたこともなかったから 奈良少年刑務所詩集」(新潮社)なども刊行されています。さらに、この活動の記録は「あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室」としても書籍化されました。

これらの詩集には、過酷な環境で育ち罪を犯してしまった若者たちが、言葉を通じて自分自身と向き合い心を開いていく過程が刻まれています。奈良監獄ミュージアムを訪れる前にこれらの詩集に目を通しておくと、展示をより深く理解できるでしょう。

2017年(平成29年)2月、旧奈良監獄は国の重要文化財に指定されました。同年3月をもって刑務所としての機能を終え、百有余年にわたる歴史に幕を閉じました。その後、この貴重な建築遺産を保存・活用するため、星野リゾートによるホテルおよびミュージアムへの改修計画が進められることとなりました。

旧奈良監獄の建築的魅力:「日本で最も美しい刑務所」と称される理由

旧奈良監獄の最大の特徴は、その美しいロマネスク様式の赤れんが建築です。ロマネスク様式とは、11世紀から12世紀にかけてヨーロッパで流行した建築様式で、半円形のアーチや厚い壁、小さな窓が特徴です。旧奈良監獄ではこのロマネスク様式が赤れんがという素材と組み合わされ、重厚感と優美さを兼ね備えた独特の景観を生み出しています。

建物に使用されているれんがは、イギリス積みと呼ばれる積み方で施工されています。イギリス積みとは、長手(れんがの長い面)の段と小口(れんがの短い面)の段を交互に積む方法で、構造的な強度に優れた技法です。建設に使用されたれんがのほとんどが構内に築かれた窯で焼かれ自給されたものであり、建設作業の大半は受刑者の労働によって行われたと伝えられています。

敷地面積は約10万6千平方メートルと広大で、赤れんが造りの塀に囲まれています。敷地の中央には「ハビランド・システム」と呼ばれる放射状の配置が採用されています。ハビランド・システムとは、19世紀にアメリカの建築家ジョン・ハビランドが考案した監獄建築の配置方式で、中央の監視所を起点に複数の収容棟が放射状に伸びる構造です。この配置により、少数の看守で多数の収容棟を効率的に監視できるという利点がありました。

正門をくぐるとまず目に入るのが、円形のドーム屋根を持つ中央看守所です。旧奈良監獄のシンボル的存在であるこの建物から、放射状に収容棟が延びています。監獄という施設のイメージとはかけ離れた優雅さを持つことから、「日本で最も美しい刑務所」と称されることもあります。

明治政府が監獄をこれほど美しく建設した背景には、不平等条約の改正という外交的な動機がありました。当時の日本は欧米列強から「野蛮な国」と見なされることを恐れ、司法制度の近代化と人道的な処遇を形として示す必要があったのです。

奈良監獄ミュージアムの概要と見どころ

奈良監獄ミュージアム by 星野リゾートは、2026年4月27日に開館する体験型ミュージアムです。コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」で、訪れた人が自らと向き合い、生き方や自由の意味を見つめ直すきっかけを提供する場として構想されています。

保存エリアと3つの展示棟

館内は大きく「保存エリア」と「展示エリア」の2つに分かれています。保存エリアは、第三寮や看守所など当時の状態を可能な限りそのまま残した空間です。実際に受刑者が生活していた独居房や雑居房、看守が巡回していた通路など、百年以上前の監獄のリアルな姿を体感できます。

展示エリアは3つの棟で構成されています。A棟「歴史と建築」では、旧奈良監獄の設計思想や明治期の行刑制度が紹介されます。山下啓次郎の設計理念やハビランド・システムの仕組みなど、建築と歴史の両面から旧奈良監獄の価値を伝える展示が予定されています。B棟「身体と心」では、被収容者の視点から日々の生活や規律を再現し、身体的・精神的な体験を通じて追体験できる空間となっています。C棟「監獄と社会」では、国内外のアーティストの作品を通じて監獄と社会の関係性について考えるきっかけを提供します。自由とは何か、罪と罰とは何かといった普遍的なテーマを、アートを通じて問いかける空間です。展示エリアにはカフェとショップも併設されており、見学の合間にひと息つくことができます。

奈良監獄ミュージアムの入館料とアクセス

区分料金
大人(国内在住者)2,000円
大人(海外在住者)3,000円
大学生・高校生1,200円
中学生・小学生500円
未就学児無料
障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名各700円

開館時間は9時から17時まで(最終入館は16時)で、基本的に休館日はありませんが、メンテナンス休館がある場合があります。所在地は奈良県奈良市般若寺町18で、近鉄奈良駅からバスで約13分、「般若寺」バス停下車徒歩約5分です。ポタリングであれば近鉄奈良駅から自転車で15分から20分程度で到着できます。

星のや奈良監獄:重要文化財に泊まる唯一無二の体験

奈良監獄ミュージアムと同じ敷地内には、星野リゾートが運営するホテル「星のや奈良監獄」が2026年6月25日に開業する予定です。このホテルは旧奈良監獄の収容棟を改修して作られた全48室のスイートルームで構成されています。

最大の特徴は、約5平方メートルの独居房を9室から11室連ねて1つの客室に改修するという、他に類を見ない設計です。かつての監獄の構造を活かしながら快適な宿泊空間を実現する、まさに日本初の「監獄ホテル」です。宿泊料金は1泊147,000円からで食事代は含まれていません。ラグジュアリーな価格帯ではありますが、重要文化財の中に泊まるという唯一無二の体験は、それだけの価値があるといえるでしょう。

施設にはレセプション、メインラウンジ、ダイニング、ダイニングラウンジなどが備えられており、宿泊者は併設の奈良監獄ミュージアムも利用できます。ポタリングの途中に立ち寄るだけでなく、星のや奈良監獄に宿泊して翌日にポタリングを楽しむというプランも魅力的です。

きたまちエリアの周辺スポットと奈良ポタリングの見どころ

奈良監獄ミュージアムを訪れた後は、きたまちエリアの他の見どころも巡ってみましょう。

般若寺は旧奈良監獄のすぐ近くに位置する古刹で、秋にはコスモス、春には山吹が境内を彩ります。特に秋のコスモスシーズンは9月下旬から11月上旬で、多くの参拝客で賑わいます。拝観料は大人500円です。ポタリングで奈良監獄ミュージアムを訪れるなら、般若寺もセットで巡ることをおすすめします。

東大寺の大仏殿は誰もが知る名所ですが、ポタリングで巡るならば二月堂からの眺望もぜひ楽しみたいスポットです。二月堂の舞台からは奈良市街を一望でき、特に夕暮れ時の景色は格別です。お水取り(修二会)の行事でも有名なこの建物は、東大寺の中でも独特の雰囲気を持っています。

正倉院は東大寺の北西に位置する校倉造りの宝庫です。聖武天皇の遺品をはじめとする約9,000点の宝物を収蔵しており、毎年秋に奈良国立博物館で「正倉院展」が開催されます。外観のみの見学となりますが、天平時代の建築技術を目の当たりにできます。

若草山は奈良公園の東端に位置する標高342メートルの山で、芝生に覆われた三段の山容が特徴的です。麓から山頂までの遊歩道があり、山頂からは奈良市街を一望できます。毎年1月には山焼きの行事が行われることでも知られています。自転車は山上まで持ち込めませんが、麓に駐輪して徒歩で登ることができます。

奈良公園周辺には春日大社、興福寺、奈良国立博物館など見どころが数多くあります。ポタリングの良いところは、これらのスポットを自分のペースで効率よく巡れることです。

奈良ポタリングを楽しむための準備と注意点

ポタリングを十分に楽しむためには、事前の準備が大切です。

服装と持ち物のポイント

服装は基本的に動きやすい格好であれば問題ありません。ポタリングはスポーツサイクリングとは違い、カフェや寺社に立ち寄ることが前提なので、普段着に近い格好の方がお店に入りやすいです。ただし、汗対策として吸湿速乾性の高いインナーを着ておくと快適です。安全のためにヘルメットは着用しましょう。グローブもあると手の疲れを軽減できます。

持ち物は必要最低限に抑えるのがコツです。初心者がよく陥りがちなのが、「もしもの時」に備えて荷物を詰め込みすぎることです。持ち物は「絶対に必要なもの」「あると便利なもの」「なくても何とかなるもの」の3段階に分類し、優先順位を明確にするとよいでしょう。最低限必要なのは、飲み物(水分補給用)、スマートフォン、財布、日焼け止めくらいです。奈良市内であればコンビニエンスストアも多いので、足りないものは現地で調達できます。

コース計画のコツ

あらかじめ休憩場所を設定しておき、余裕のある時間配分を心がけることが大切です。立ち寄りスポットが多いと予想以上に時間がかかるため、少し余裕を持ったスケジュールにしておくのがおすすめです。グループで走る場合は、一番遅い人のペースに合わせることも重要です。

奈良ならではの注意点

奈良公園周辺では鹿に注意が必要です。鹿は国の天然記念物に指定されており、自転車で接触すると鹿が怪我をするだけでなく、法的な問題にもなりかねません。鹿が近くにいる場合は減速し、十分な距離をとって通行しましょう。

歩行者への配慮も重要です。奈良公園周辺や東大寺参道などは歩行者が多く、特に修学旅行シーズンや観光シーズンには大変な混雑となります。混雑時は自転車から降りて押して歩くことも必要です。

きたまちエリアは比較的起伏があるため、電動アシスト付き自転車の利用をおすすめします。特に般若寺や旧奈良監獄方面は緩やかな上り坂が続くため、普通の自転車では少し体力を使います。奈良の寺社では自転車の乗り入れが禁止されている場所も多いため、駐輪場の場所を事前に確認しておくとスムーズです。

ポタリングに最適な季節と奈良の四季の魅力

奈良でポタリングを楽しむのに最適な季節は、春(4月から5月)と秋(10月から11月)です。

春の奈良は桜、椿、藤、ツツジ、牡丹と次々に花が咲き誇り、冬をくぐり抜けた生命力あふれる自然を感じられる季節です。気候も穏やかで、自転車で走るのに最も心地よい時期のひとつです。奈良監獄ミュージアムの開館が2026年4月27日であることを考えると、ゴールデンウィーク前後の新緑の季節に訪れるのが理想的です。春には東大寺の修二会(お水取り)をはじめとする伝統行事も多く、4月には大神神社で二千年の伝統を持つ大神祭が3日間にわたって執り行われるなど、奈良ならではの文化体験と組み合わせることもできます。

秋の奈良はコスモス、紅葉、ススキなど、風情ある街並みに似合う花や木々が彩りを添える季節です。般若寺のコスモスを楽しみたいなら、9月下旬から11月上旬がベストシーズンです。秋には池に彩り豊かな船を浮かべる「采女祭」や、奈良の秋の風物詩として知られる「鹿の角きり」といった伝統行事も開催されます。ポタリングの途中にこうした季節のイベントに出会えるのも、奈良ならではの醍醐味です。

夏(6月から8月)は猛暑対策として、こまめな水分補給と日焼け止めが欠かせません。早朝の涼しい時間帯に出発するのがおすすめです。冬(12月から2月)は寒さ対策が必要ですが、観光客が少なく静かな奈良を堪能できるという利点もあります。

半日で巡れる奈良きたまちポタリングのモデルコース

近鉄奈良駅を出発点として、半日で楽しめるモデルコースをご紹介します。合計所要時間は約4時間から5時間です。

まず近鉄奈良駅周辺のレンタサイクルショップで自転車を借りるところからスタートします(所要時間は約15分)。最初の目的地は近鉄奈良駅から自転車で約10分の距離にある転害門です。東大寺の西北にある国宝の門で、天平時代の建築を間近で見学できます(所要時間は約15分)。

次に転害門から北へ進み、きたまちエリアを散策します。古い町家を改装したカフェでひと休みするのもよいでしょう(所要時間は約30分から1時間)。きたまちから自転車で約5分北へ進むと般若寺に到着します。国宝の楼門と十三重石塔は必見で、拝観料は大人500円です(所要時間は約30分から45分)。

そしてメインの目的地である奈良監獄ミュージアムには、般若寺から自転車で約3分で到着します。3つの展示棟と保存エリアをじっくり見学しましょう。カフェとショップも併設されており、入館料は大人2,000円(国内在住者)です(所要時間は約1時間30分から2時間)。帰りは奈良監獄ミュージアムから近鉄奈良駅まで自転車で約15分から20分です。途中で奈良公園を通って鹿と戯れながら帰るのも楽しいひとときとなるでしょう。

奈良監獄ミュージアムをより深く楽しむために

奈良監獄ミュージアムを訪れる前に、いくつかの予備知識を持っておくと展示をより深く楽しむことができます。

まず、寮美千子氏編集の「空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集」を読んでおくことをおすすめします。この施設がかつてどのような場所であったのか、そこで暮らした人々がどのような思いを抱えていたのかを知ることで、建物や展示に対する見方が大きく変わるはずです。

また、明治期の日本が近代国家としての体裁を整えるためになぜ監獄建築にこれほどの労力と美意識を注いだのか、その歴史的背景を理解しておくと、赤れんがの壮麗な外観に込められた意味がより深く感じられるでしょう。

写真撮影については、ミュージアム内での撮影ルールを事前に公式サイトで確認しておくとよいです。赤れんがの建物は被写体として非常に魅力的であり、特に正門や中央看守所は人気の撮影スポットになることが予想されます。

2026年6月25日には同じ敷地内に「星のや奈良監獄」も開業するため、開業後はミュージアムとホテルの両方が稼働する形となります。日帰りのポタリングで訪れるもよし、宿泊してゆっくりと滞在するもよし、それぞれのスタイルで楽しんでいただければと思います。

2026年春、奈良に新たな魅力が加わります。旧奈良監獄が「奈良監獄ミュージアム」として生まれ変わり、明治時代の壮麗な赤れんが建築とその歴史を多くの人が体感できるようになります。ポタリングで奈良のきたまちエリアを巡れば、定番の観光コースとはひと味違った奈良の魅力に出会えるでしょう。転害門の天平建築、きたまちのレトロな町並みとカフェ、般若寺の花々、そして旧奈良監獄の壮大な赤れんが建築。これらを自転車でのんびりと巡る体験は、きっと忘れられない奈良の思い出になるはずです。

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