札幌市内でのポタリングは、都市の利便性と豊かな自然が見事に調和した、国内でも屈指のサイクリング環境を提供しています。梅雨がなく夏の平均気温が約22度と過ごしやすい気候に恵まれ、4月中旬の雪解けから10月の美しい紅葉まで、長期間にわたってサイクリングを楽しむことができます。札幌市は2015年に策定した「札幌市自転車利用総合計画」により、約100kmの自転車通行空間を整備し、駐輪場の拡充やルール・マナーの啓発を積極的に推進してきました。市街地から少し足を延ばせば田園風景が広がる農道も綺麗に舗装されており、交通渋滞の緩和や市民の健康増進にも貢献する環境が整っています。初心者でも安心して楽しめる平坦なコースから、自然豊かな景観を満喫できるルート、アートを巡るユニークなコースまで、多様なポタリングコースが存在し、それぞれのレベルや興味に応じた楽しみ方が可能です。

札幌市内でポタリング初心者におすすめのコースはどこですか?
札幌市内のポタリング初心者には、平坦で安全性が高く、景色を楽しみながら気軽に走れるコースを強くおすすめします。
最も人気が高いのは観光名所まるっとビギナーズルートで、片道約13km、約2時間で札幌中心部の主要観光スポットを効率よく巡ることができます。さっぽろテレビ塔を起点に、時計台、赤レンガ庁舎、二条市場、中島公園、サッポロファクトリー、千歳鶴酒ミュージアム、円山公園、北海道神宮などを巡るルートで、基本的に平坦な道のりのため体力に自信がない方でも安心です。
円山・裏参道ルートは約6.3km、走行時間約30分と短めで、札幌市民に愛される「円山エリア」の魅力を存分に味わえます。都市に隣接しながら豊かな自然が残り、個性的なカフェやレストラン、おしゃれな雑貨店が点在するため、ポタリングとグルメ・ショッピングを同時に楽しめるのが大きな魅力です。北海道神宮には駐輪スペースも整備されており、参拝とサイクリングを組み合わせた贅沢な時間を過ごせます。
中島公園・豊平川ルートは約5.2km、走行時間約30分で、藻岩山を背景に水と緑豊かな自然を満喫できます。豊平川の風を感じながら走るサイクリングは爽快感抜群で、札幌市のほぼ中心部に位置しながら都市の喧騒を忘れさせてくれる癒しのコースです。豊平館や札幌コンサートホールKitara、日本庭園・八窓庵など、文化的なスポットも充実しています。
これらのコースは全てシェアサイクル「ポロクル」での利用が推奨されており、電動アシスト付きのため坂道も楽々走行でき、市内約50ヵ所以上のポートで借りたり返したりできる利便性も初心者には心強いポイントです。
札幌市内のポタリングコースでレンタサイクルは利用できますか?
札幌市内のポタリングでは、多様なレンタサイクルサービスが充実しており、旅行者から地元の方まで気軽に利用することができます。
最も便利なのはシェアサイクル「ポロクル」で、認定NPO法人ポロクルが運営する札幌市中心部のシェアサイクルサービスです。全台電動アシスト付きのため、坂道や遠距離移動も楽々で、市内約50ヵ所以上のポート(専用駐輪場)があり、借りたポートと異なるポートでの返却が可能という画期的なシステムを採用しています。
料金プランは利用スタイルに応じて選択でき、1日パスが旅行者に特に人気です。対面販売では1,980円(税込)、ウェブサイトやコンビニでの事前購入なら1,760円(税込)で、ご利用日の23時59分まで何度でも貸出・返却が可能です。基本的な利用料金は最初の30分が165円、以降30分ごとに110円となっており、短時間利用にも対応しています。
本格的なサイクリングを楽しみたい方には、ロードバイクやスポーツバイクのレンタルサービスもあります。「花サイクルクラブ」では1日5,000円(別途保険料)でロードバイクをレンタルでき、ヘルメット、鍵、パンク修理セット、予備チューブなどの付属品も完備されています。宿泊先まで自転車を届け、終了後に回収するサービスも提供しており、旅行者には非常に便利です。利用の3日前までに連絡が必要ですが、初心者向けのサイクリングイベントも企画されているため、レンタル込みで参加することも可能です。
「サイクリングフロンティア」では、ロードバイクやマウンテンバイクのレンタルに加えてツアーも主催しており、本格的な自転車ツーリングを自力で楽しみたい場合のレンタルのみの利用も受け付けています。これらのサービスにより、手ぶらで札幌のポタリングを心ゆくまで楽しむことができます。
札幌市内ポタリングの最適な季節とコースの特徴を教えてください
札幌市内ポタリングの最適なシーズンは4月中旬から10月で、この期間中は季節ごとに異なる美しい景観を楽しむことができます。
春(4月中旬〜5月)は雪解けとともにサイクリングシーズンが始まり、万生公園前の桜やライラックが美しく咲き誇ります。白石サイクリングロードでは、この時期特有の清々しい空気の中でのポタリングが格別です。気温も穏やかで、まだ観光シーズン前のため比較的人も少なく、落ち着いてコースを楽しめます。
夏(6月〜8月)は札幌ポタリングの最高潮で、平均気温約22度という過ごしやすい気候が続きます。6月下旬には白石サイクリングロードのローズアベニューが見頃を迎え、緑のトンネルが涼しい日陰を提供してくれます。梅雨がない北海道ならではの爽やかな夏を満喫でき、モエレ沼公園周回コースでは、イサム・ノグチ設計の芸術作品と緑豊かな自然の調和を楽しめます。
秋(9月〜10月)は紅葉シーズンで、白石サイクリングロードの白樺並木や各公園の美しい紅葉が見どころです。涼しく乾燥した空気の中でのポタリングは格別で、9月には「ニセコグラベル」「丘のまちびえいファンライド」「中札内グルメライド」など、道内各地でサイクリングイベントも開催されます。
冬季(11月下旬〜3月上旬)の注意点として、この期間は路面凍結や積雪のため、安全上ポタリングは避けるべきです。豊平川サイクリングロードもGW頃まで雪解けが遅れることがあります。
各コースの特徴として、白石サイクリングロードは約7km、30-40分の初級コースで、交差点がアンダーパス化されており信号で止まることなく快適に走行できます。豊平川サイクリングロードは約11km、50-60分で都市と自然が同居した景色を楽しめる一方、路面状態があまり良くない箇所もあるため注意が必要です。モエレ沼公園周回コースは約3.5km、20-30分で交通量がほぼなく、初心者でも安心してアート探しを楽しめます。
札幌市内ポタリング中の安全対策と注意すべきポイントは何ですか?
札幌市内でのポタリングを安全に楽しむためには、2023年〜2024年に施行された最新の交通ルールを含む、しっかりとした安全対策の理解が不可欠です。
基本的な交通ルールとして、自転車は原則として車道の左側を通行しなければなりません。札幌市民の87.2%がこのルールを認知しており、安全なポタリング環境の基盤となっています。やむを得ない理由で歩道を通行する場合でも、歩行者が最優先であり、人通りの多い札幌駅前通の大通〜南4条までの両側歩道は「押し歩き地区」として、自転車を降りて押して歩くことが推奨されています。
2023年4月1日から施行されたヘルメット着用努力義務により、全ての自転車利用者にヘルメット着用が推奨されています。札幌市民の81.6%がこの努力義務を認知しており、自身の身を守るためにも着用することが重要です。
2024年11月1日施行の改正道路交通法では、罰則が大幅に強化されました。スマートフォンを操作しながらの自転車乗車は最大1年以下の懲役または30万円以下の罰金、酒気帯び運転は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。イヤホンの使用についても「安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態」での運転は禁止されており、今後反則金が適用される予定です。
駐輪に関しては、2023年6月から札幌都心部で放置禁止区域が拡大され、区域内の路上に停められた自転車は短い時間でも即時撤去の対象となります。決められた場所に、歩道にはみ出さないように駐輪することが大切です。
季節と野生動物への注意として、郊外コースではエゾシカやキタキツネなどの野生動物と遭遇する可能性があります。動物を驚かせないよう、ゆっくりと通過しましょう。
緊急時の対応では、負傷者の救護・救急車要請は119番、警察への連絡・事故報告は110番です。ポロクル利用中の事故の場合は、サポートセンター(0570-783-677)に連絡し、指示を仰ぎましょう。市内には多数の自転車修理店があり、道内各地に空気入れや修理工具を装備した「サイクルオアシス」も整備されているため、万が一の際も安心です。
札幌市内ポタリングコースで立ち寄れるおすすめスポットはありますか?
札幌市内のポタリングコースには、観光・グルメ・文化・自然を満喫できる魅力的なスポットが数多く点在しており、単なる移動手段を超えた豊かな体験を提供してくれます。
観光名所まるっとビギナーズルートでは、さっぽろテレビ塔、札幌市時計台、北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)などの札幌を代表する建築物を効率よく巡ることができます。二条市場では新鮮な海産物やグルメを楽しめ、サッポロファクトリーではショッピングと歴史を感じることができます。千歳鶴酒ミュージアムでは北海道の日本酒文化に触れることができ、ポタリングの合間に地域の文化を深く理解できます。
円山・裏参道ルートは、北海道神宮での参拝と円山公園の豊かな自然が最大の魅力です。札幌市円山動物園では北海道ならではの動物たちに出会え、北海道立近代美術館や三岸好太郎美術館では道内の芸術文化を堪能できます。このエリアには個性的なカフェやレストラン、おしゃれな雑貨店が点在しており、ポタリングとショッピング、グルメを組み合わせた贅沢な時間を過ごせます。
中島公園・豊平川ルートでは、藻岩山を背景とした美しい景観の中で、豊平館(国の重要文化財)、札幌コンサートホールKitara、札幌市天文台、日本庭園・八窓庵などの文化施設を巡ることができます。札幌護国神社や伊夜日子神社での参拝も含め、文化と自然が調和した札幌らしい体験が可能です。
白石サイクリングロードの特別な魅力は、トンネルの壁面に地域住民の手によって制作された美しいモザイクタイルアートです。サイクリングをしながらアート鑑賞も楽しめ、沿道の公園やあずまやで休憩を取りながら、季節ごとに変化する自然を満喫できます。
モエレ沼公園では、世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチによる「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトで設計されたアート空間を体験できます。ガラスのピラミッドなどの芸術作品が点在し、サイクリングしながら気軽にアート探しを楽しめる唯一無二のスポットです。
さらに、札幌恵庭自転車道路のエルフィンロード終着点のJR北広島駅には、2024年4月にオープンしたSHIMAUMA BURGERがあり、淡路島バーガーを味わいながらサイクリングの疲れを癒すことができます。これらのスポットを組み合わせることで、体力や興味に応じたオリジナルのポタリングコースを作り上げることができます。
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