隠岐諸島のEバイクによるジオパークポタリング海岸絶景コースとは、ユネスコ世界ジオパークに認定された隠岐の4つの有人島を電動アシスト付きスポーツバイクで巡り、数百万年の地球史が刻まれた壮大な海岸絶景を体感できるサイクリングコースです。西ノ島の高さ257mの摩天崖、知夫里島の赤壁、海士町のハート岩、島後の白島海岸など、島ごとに個性豊かな海食崖や奇岩が点在しており、Eバイクの電動アシスト機能を活用することで急な坂道が多い島の地形でも体力に自信がない方でも無理なく絶景スポットを訪れることができます。この記事では、各島の海岸絶景コースの詳細からEバイクのレンタル情報、おすすめモデルプラン、季節ごとの楽しみ方まで、隠岐諸島でのEバイクジオパークポタリングに必要な情報を網羅的にお伝えします。

隠岐ユネスコ世界ジオパークとは ― Eバイクで巡る大地の物語
隠岐ユネスコ世界ジオパークとは、島根半島から北へ約50kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島のほぼ全域を対象とした、2013年にユネスコに認定された世界ジオパークです。大小180を超える島々で構成される隠岐諸島は、ほぼ全域が大山隠岐国立公園にも指定されています。
隠岐の大地はかつてユーラシア大陸の一部でした。約2500万年前に大陸からの分離が始まり、湖底や海底に沈んだ時代を経て、約600万年前の火山活動によって島の基礎が形成されました。約2万年前の最終氷期には海面低下で島根半島と陸続きになりましたが、その後の温暖化による海面上昇で約1万年前に現在の離島の姿となっています。
ジオパークは「大地の成り立ち」「独自の生態系」「人の営み」の3つの柱で構成されています。隠岐では北方系と南方系の植物が不思議に共存し、12月になってもアジサイが色鮮やかに咲く特異な植生が見られます。古事記において日本で3番目に生まれた島とされ、後鳥羽上皇や後醍醐天皇が流された歴史の舞台でもあります。隠岐古典相撲や牛突きといった独自の文化も脈々と受け継がれています。
人が暮らす有人島は4つあり、島後(どうご)エリアの隠岐の島町と、島前(どうぜん)エリアの西ノ島町、海士町(あまちょう)、知夫村(ちぶむら)です。各島にはそれぞれ個性的な海岸絶景が広がっており、Eバイクで走れば数百万年から数千万年の時間旅行を体験できます。
隠岐諸島のEバイクレンタル料金と予約方法
隠岐諸島では4つの有人島すべてでEバイクのレンタルが可能です。各島の観光協会やレンタサイクル施設で借りることができ、事前のオンライン予約にも対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 3時間利用 | 2,400円 |
| 延長料金 | 1時間ごとに800円 |
| 任意保険料 | 1台あたり200円 |
| 無料付属品 | ヘルメット、ワイヤーロック、スマートフォンホルダー、バッテリー充電器、自転車用ザック、ズボンバンド |
島後(隠岐の島町)では隠岐レンタ・リースをはじめとするレンタサイクル店で借りることができ、営業時間は7時45分から18時30分です。西ノ島町では西ノ島町観光協会が貸し出しを行っており、起伏の激しい地形のためEバイクの恩恵を最も実感できる島といえます。到着後に観光協会で操作説明を受けてから出発する流れです。海士町(中ノ島)では港近くでレンタルが可能で、比較的平坦な地形のため初心者にも走りやすい環境が整っています。知夫村(知夫里島)では知夫村観光協会が貸し出しており、公共交通機関がない島内の観光にはEバイクが大変便利です。
Eバイクの台数には限りがあるため、事前予約が強く推奨されています。各島の観光協会の公式サイトや隠岐の島旅公式サイトからレンタル情報にアクセスできます。特に夏季やゴールデンウィークなどの繁忙期は早めの予約が必須です。必須の持ち物はスマートフォンと身分証明書で、レインウェア、グローブ、モバイルバッテリーがあると便利です。動きやすい服装と靴を選び、スカートや裾の広がったズボンは避けましょう。
西ノ島の国賀海岸・摩天崖コース ― 日本屈指の海食崖を走る海岸絶景
西ノ島は隠岐諸島の中でも最もダイナミックな海岸絶景が広がる島です。北西海岸には約13kmにわたって高さ200mから250mの大規模な海食崖が続き、国の名勝および天然記念物に指定された国賀海岸が広がっています。コースの距離は約30.3km、獲得標高644mの中級者向けですが、Eバイクを使えば初心者でも十分に楽しめます。所要時間は休憩・観光を含めて4時間から5時間程度です。
摩天崖と通天橋 ― 隠岐を代表する海岸絶景スポット
国賀海岸最大のハイライトが高さ257mの摩天崖(まてんがい)です。海面から垂直にそそり立つ巨大な断崖は、約630万年から530万年前の繰り返される火山噴火によって積み重なった玄武岩の地層で構成されています。崖の断面には幾重にも重なった縞模様が確認でき、それが噴火の回数を物語っています。摩天崖の頂上付近は広大な草地になっており、牛や馬が放牧されています。断崖の真上でのんびりと草を食む牛の姿と眼下に広がる紺碧の日本海のコントラストは、隠岐でしか見られない唯一無二の光景です。
Eバイクで摩天崖へ向かう道のりは長い上り坂の連続です。通常の自転車ではかなりの体力を消耗するルートですが、Eバイクのアシスト機能があれば周囲の絶景を楽しみながら余裕をもって登ることができます。これこそがEバイクの真価が発揮される場面といえるでしょう。
摩天崖から海岸線に沿って進むと、自然が造り出した岩のアーチ「通天橋(つうてんきょう)」が見えてきます。かつて海食洞窟だった場所の奥が地滑りで崩落し、入口部分だけがアーチ状に残ったものです。岩の断面には溶岩の成分の違いによる黒い層、白い層、鉄分の酸化でできた赤い層がはっきりと現れており、大地の歴史を視覚的に読み取ることができます。通天橋の周辺は離れ岩、アーチ、波食棚、海食洞といった多彩な海岸侵食地形の宝庫であり、地形学の教科書のような場所です。
ローソク島の幻想的な夕景
西ノ島から少し離れた場所にあるローソク島は、高さ約20mの細長い海食柱(スタック)です。約500万年前に噴出した火山岩で形成されており、溶岩が冷えて固まる際にできた柱状節理に沿って風と波が岩を削り取ることで、ろうそくのような細長い形状になりました。夕暮れ時に太陽がローソク島の先端にちょうど重なると、まるでろうそくに火が灯ったように見えます。この幻想的な光景は遊覧船からしか見ることができないため、サイクリングとは別に遊覧船の予約を入れておくのがおすすめです。
西ノ島コースでは国賀海岸エリアでの観光や写真撮影に想像以上の時間を取られがちなので、午前中の早い時間に出発するのがよいでしょう。海岸沿いは風が強いことが多いため防風対策も忘れずに行い、コース途中には飲食店や自動販売機が少ないため飲み物や軽食は事前に準備しておくことをおすすめします。
知夫里島の赤壁・赤ハゲ山コース ― 信号ゼロの島で望むカルデラ絶景
知夫里島は人口約600人の小さな島で、コンビニはおろか信号機すらないのが特徴です。島を走っていると人間よりも牛やタヌキに出会う確率の方が高く、この何もないことこそが知夫里島最大の魅力です。コースの距離は約21.4km、獲得標高509mの中級者向けで、所要時間は休憩・観光を含めて約4時間30分です。
赤ハゲ山からの360度カルデラパノラマ
知夫里島で最も高い赤ハゲ山(標高325m)の頂上からは、360度の大パノラマが広がります。遮るものが何もない展望台からは、知夫里島はもちろんカルデラ湾に浮かぶ島前の島々、遠くには島根半島や大山まで見渡すことができます。
島前の3つの島は巨大な火山のカルデラの外輪山にあたります。海が侵食してできたカルデラ地形は世界的にはギリシャのサントリーニ島が有名ですが、人が住む島としてはサントリーニ島と隠岐の島前だけとされています。赤ハゲ山から眺めるカルデラ湾の全景は、まさに地球のダイナミズムを体感できる絶景です。
Eバイクで赤ハゲ山へ向かう道はカーブの連続する山道で、電動アシストがあっても心臓がバクバクするほどの急勾配もあります。しかし振り返るたびに広がる島と海の風景が疲れを忘れさせてくれます。山頂付近では牛が放牧されており、道に牛糞が落ちていたり通りたい道に牛が寝そべっていたりすることもあるため、そんな時は気長に待つか迂回するほかありません。
赤壁の壮大なカラーコントラスト
赤壁は知夫里島の西海岸に約1kmにわたって続く巨大な断崖で、国の名勝天然記念物に指定されています。最も高い部分は約200mに達し、崖の断面は粗面安山岩質の凝灰岩が風化の度合いによって赤、黄色、紫に変化し、さらに玄武岩の黒と粗面岩脈の白が加わって強烈なカラーコントラストを生み出しています。
日中は岩肌の色彩が鮮やかに輝き、夕方になると崖全体がオレンジ色から深紅色に染まります。赤壁展望所は駐車場から徒歩約5分の場所にありますが、断崖絶壁で柵がない箇所もあるため足元には十分注意が必要です。海上から赤壁を望みたい場合は、16時に来居港から出港する赤壁サンセット遊覧船がおすすめです。約1時間のクルーズで料金は1人2,000円、運行期間は4月から10月で7名以上での催行となり、希望日の前日12時までの予約が必要です。
知夫里島にはコンビニや飲食店がほとんどないため、出発前に観光協会で水分や食料の調達場所を確認しておくことが重要です。赤ハゲ山と赤壁のどちらを先に回るかで体力配分が変わるため、観光協会でアドバイスをもらうとよいでしょう。風が強い日は山頂で自転車が煽られることがあるため天候の確認も忘れずに行いましょう。
海士町の明屋海岸・ハート岩コース ― 初心者にやさしい海岸絶景ポタリング
海士町がある中ノ島は島前エリアの中で最も広い平野部を持つ島で、アップダウンが比較的少なくEバイク初心者や普段あまり運動をしない方でも安心して楽しめるコースが魅力です。距離は約14.7km、獲得標高はわずか144mで、所要時間は休憩・観光を含めて2時間から3時間程度です。
コース最大の見どころは島の東端にある明屋海岸です。約1kmにわたって海食崖や海食洞が続く景勝地で、約280万年前の火山噴火によって形成された屏風岩がそびえ立っています。この屏風岩の中央には大きな空洞があり、遊歩道の特定のポイントから見るとその空洞がハート型に見えることから「ハート岩」と呼ばれています。ハート岩は縁結びや恋愛成就のパワースポットとして人気が高まっており、赤い崖とエメラルドグリーンの海のコントラストが美しくSNSでも話題の写真映えスポットです。
明屋海岸には古い伝説も残されています。西ノ島の比奈麻治比賣命が宇受賀命の子「柳井姫」を産んだ場所とされ、お産の時に使用した屏風とたらいがそれぞれ「屏風岩」と「タライ岩」になったと伝えられています。明屋海岸から宇受賀命神社に至る海岸線の道は日本海唯一の神々の婚姻に由来するとされ、縁結び、子宝、夫婦円満のご利益があるといわれています。夏季には海水浴場やダイビングスポットとしても開放され、町営のキャンプ場も開設されます。
明屋海岸へ向かう途中には後鳥羽上皇を祀る隠岐神社があります。承久の乱に敗れた後鳥羽上皇はこの海士町に流され、19年間をこの島で過ごしました。隠岐神社は昭和14年に創建されたもので、境内は静寂に包まれ歴史の重みを感じさせます。Eバイクなら気軽に立ち寄って島の歴史に触れることができます。
海士町コースは初心者向けですが、明屋海岸への最後の区間にはやや勾配のある坂道があります。Eバイクであれば問題なく登ることができるので、坂を越えた先の絶景を楽しみにして走りましょう。港周辺には飲食店があるため、出発前や帰着後に隠岐の新鮮な海鮮を味わうのもおすすめです。海士町は「ないものはない」をキャッチフレーズに掲げ、島の自然と共生する暮らしを大切にしている町でもあります。
島後(隠岐の島町)白島海岸・浄土ヶ浦コース ― 隠岐最大の島の海岸絶景を巡る
島後は隠岐諸島最大の島であり、一周すると約85kmという本格的な距離になります。獲得標高も1,727mと上級者向けのコースですが、Eバイクを使って白島海岸や浄土ヶ浦など主要な海岸絶景ポイントに絞って巡れば中級者でも十分に楽しめます。
白島海岸 ― 白い岩壁とエメラルドグリーンの海
島後の最北端に位置する白島海岸は国指定名勝天然記念物で、白島崎を中心に松島、沖ノ島、白島といった島々が散在する絶景エリアです。高さ50mから220mの白い岩壁が約4kmにわたって続き、安山岩や流紋岩など様々な種類の岩石が長い年月の風雨で削られ白く輝く岩肌を見せています。展望台からは白い岩肌とエメラルドグリーンの海が織りなす壮大なパノラマを一望でき、夕暮れ時には岩肌がオレンジ色に染まり幻想的な光景が広がります。白島崎から南の浄土ヶ浦までの間には99の小島があるとされ、「百から一を取ったら白」という白島の名の由来にまつわる俗説も興味深いものです。西郷港から白島海岸までは車で約40分の距離のため、Eバイクで向かう場合は時間と体力に余裕をもって計画を立てましょう。
浄土ヶ浦海岸と壇鏡の滝
島後の東海岸に位置する浄土ヶ浦は、その名の通り「まるで浄土のような」美しさをもつ海岸です。一休和尚がこの地を訪れた際に「まるで浄土のようだ」と狂歌を詠んだという民話が伝わっています。雄々しい岩礁群と透き通った海が特徴で、侵食された海岸線では約2,600万年前の日本海がまだ湖だったころの地層を観察できます。海岸沿いの遊歩道では北方系、南方系、大陸性の植物が混在する隠岐ならではの不思議な植生も見られます。浄土ヶ浦は国立公園の核心地域として保護された海域公園地区であり、シュノーケル、シーカヤック、ダイビングのスポットとしても人気があります。
島後の内陸部にある壇鏡の滝もEバイクで訪れたいスポットです。高さ約40mの屏風のような岩壁に雌滝と雄滝の2つの滝が流れ落ちており、その間に壇鏡神社が鎮座しています。滝を裏側から眺められる珍しい体験ができ、雨の日や雨上がりには水量が増してより迫力のある姿を見せます。
初心者には西郷岬灯台コース(約7.7km)がおすすめです。ゴールまでの道のりは上り基調で走りごたえがありますが、Eバイクのアシストがあれば問題なく到達でき、岬からの美しい風景を満喫できます。そのほかパワースポットを巡る約6.3kmのコースや、隠岐の伝統行事「牛突き」の観戦場所を巡る約4.9kmのコースもあり、時間や体力に合わせてコースを選べるのが島後の魅力です。
隠岐の海岸絶景を深く楽しむための地質ガイド
Eバイクで走りながら目にする隠岐の海岸絶景をより深く味わうための地質的な知識をお伝えします。
隠岐の島々を取り囲む壮大な海食崖は、主に2つの要因で形成されました。1つは約600万年前からの火山活動で積み重なった火山岩(玄武岩、粗面岩など)の地盤、もう1つは日本海の強烈な北西季節風が引き起こす波浪による長期的な侵食作用です。冬の日本海の荒波が岩盤の弱い部分を集中的に削り取り、海食洞(洞窟)が形成されます。さらに侵食が進むと天井が崩落してアーチ型の海食門が生まれ、アーチが崩壊すると離れ岩(スタック)が残ります。この海岸侵食の各段階の地形を、国賀海岸ではすべて観察することができます。
島前の3つの島(西ノ島、中ノ島、知夫里島)は実は巨大な火山の一部です。約600万年前に活動していた火山のカルデラ(火口が陥没してできた凹地形)の外輪山にあたり、3つの島に囲まれた内海がカルデラの中心部分です。西ノ島にある焼火山(たくひさん)は中央火口丘の名残で、世界的にも類例が少ない貴重な地形です。
走行中に目にする崖や岩の色の違いにはすべて地質学的な意味があります。黒い部分は玄武岩でマグネシウムや鉄を多く含む溶岩が急冷されたもの、白い部分は粗面岩でシリカを多く含む溶岩、赤い部分は鉄分を含む岩石が酸化したもの、黄色や紫の部分は凝灰岩(火山灰が固まったもの)が風化によって変色したものです。知夫里島の赤壁ではこれらの色が一枚の崖に同時に現れ、まるで大地のパレットのような壮観を見せます。
季節ごとのEバイクジオパークポタリングの楽しみ方
隠岐諸島でのEバイクポタリングは季節によって異なる魅力があります。
| 季節 | 気温の目安 | おすすめポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 春(3月〜5月) | 15〜20度前後 | 桜の花見ポタリング、穏やかな春の海 | 春先は風が強い日あり |
| 夏(6月〜8月) | ベストシーズン | 海の透明度が最高、マリンアクティビティとの組み合わせ | 日焼け止め・水分補給必須 |
| 秋(9月〜11月) | 快適 | 静かな島旅、夕暮れの絶景が美しい、10月まで遊覧船運行 | 観光客が少なく穴場 |
| 冬(12月〜2月) | 低い | 荒々しい日本海の迫力ある景観 | 北西季節風が非常に強くサイクリングに不適な日が多い |
夏はEバイクポタリングのベストシーズンで、海の透明度が上がりエメラルドグリーンの海を横目に走る爽快感は格別です。明屋海岸をはじめ各島のビーチでは海水浴やシュノーケルも楽しめるため、サイクリングとマリンアクティビティを組み合わせた充実の旅が可能です。日差しが強いため日焼け止め、帽子(ヘルメットの下に被れるインナーキャップ)、こまめな水分補給は欠かせません。
秋は観光客が減り静かな島旅を楽しめる季節です。透き通った秋の空の下でのサイクリングは格別で、赤壁をはじめとする海岸の絶景も夕暮れ時の光と相まって一層美しく映えます。10月までは遊覧船も運行しているため、海上からの絶景鑑賞も楽しめます。
冬の隠岐は荒々しい日本海の波が海食崖に打ち付ける迫力の景観が魅力ですが、北西季節風が非常に強く気温も低いためEバイクでのサイクリングには適さない日も多くなります。高速船レインボージェットは12月21日から2月15日まで運休となるためフェリーのみでのアクセスとなり、天候と交通手段を十分に確認してから計画を立てましょう。
隠岐諸島へのアクセスと島間の移動方法
隠岐諸島へは、島根県の七類港(松江市)および鳥取県の境港からフェリーまたは高速船レインボージェットが就航しています。所要時間はフェリーで約2時間30分、高速船で約1時間です。
フェリーは2隻が運航しており停泊する島の順番が異なります。フェリーおきは午前9時に七類港を出発し、島後、海士町、西ノ島の順に停泊します(知夫里島には寄港しません)。フェリーくにがは午前9時30分に出発し、知夫里島、西ノ島、海士町、島後の順に停泊します。どの島を最初の目的地にするかで乗る船を選ぶことが大切です。高速船は座席数に限りがあるため予約が必要で、フェリーは自由席ですが車を積む場合は予約が必要です。
飛行機でのアクセスも可能です。隠岐世界ジオパーク空港(島後)へは大阪伊丹空港と出雲空港からそれぞれ1日1往復の便があり、大阪伊丹からは約50分のフライトです。空港から西郷港へは車で約10分で、島前の島々へはそこからフェリーや高速船で移動します。
島間の移動は、島後と島前の間がフェリーで約1時間、高速船で約30分です。島前の3島間(知夫村、海士町、西ノ島町)は内航船「いそかぜ」または「フェリーどうぜん」で移動でき、片道の料金は大人300円、小人100円と非常にリーズナブルです。内航船は事前予約を受け付けておらずすべて先着順です。フェリーや高速船の時刻表は隠岐汽船の公式サイトやスマートフォンアプリ「隠岐航路案内」で確認できます。本数が限られているため旅程はフェリーの時間を軸にして計画を立てることが重要です。
Eバイクで4島を巡る2泊3日おすすめモデルプラン
Eバイクでのジオパークポタリングを中心とした、2泊3日で4島を巡るモデルプランをご紹介します。
1日目は知夫里島と西ノ島を巡ります。朝、七類港からフェリーくにがに乗船し最初の寄港地である知夫里島で下船します。知夫村観光協会でEバイクを借り、赤ハゲ山と赤壁を巡るジオ絶景コースを約4時間30分かけて走ります。夕方に内航船で西ノ島へ移動し宿にチェックインします。時間があれば赤壁サンセット遊覧船に乗るのもよいでしょう。
2日目は西ノ島と海士町を巡ります。午前中に西ノ島町観光協会でEバイクを借り、国賀海岸・摩天崖コースを走ります。摩天崖の頂上での絶景と牛の放牧を楽しんだ後、通天橋方面へ下ります。昼過ぎに内航船で海士町へ移動し、午後は海士町でEバイクを借りて隠岐神社を参拝してから明屋海岸のハート岩を目指します。海士町で宿泊します。
3日目は島後を巡ります。朝、フェリーまたは高速船で島後へ移動し、隠岐の島町でEバイクを借りて西郷岬灯台コースなどのショートコースを走ります。体力に余裕があれば浄土ヶ浦や壇鏡の滝まで足を延ばすのもおすすめです。夕方のフェリーで本土への帰路につきます。
このプランはあくまで一例であり、各島の滞在時間をもっと長くしたい場合は3泊4日以上に延ばすことをおすすめします。特に島後は見どころが多いため、1日で回りきるのは難しいでしょう。
安全にEバイクジオパークポタリングを楽しむための注意点
Eバイクは通常の自転車よりも重量があるため、停車時の転倒には注意が必要です。坂道での駐輪は特に慎重に行いましょう。バッテリーの残量は常に確認し、長距離コースを走る場合は充電器を携帯して途中の休憩スポットで充電できるか事前に確認しておくと安心です。
隠岐の道路は島によっては幅が狭く見通しの悪いカーブが多いため、観光バスやトラックとすれ違う際は十分に減速しましょう。知夫里島や西ノ島では道路上に牛がいることがあり、牛には近づきすぎず驚かさないよう静かに通過するか迂回してください。島で定められている立入禁止エリア(植生保護区域等)には絶対に入らないことも重要です。
日本海に浮かぶ離島である隠岐は天候が変わりやすく、晴れていても急に風が強くなったりにわか雨が降ったりすることがあります。レインウェアは必ず携帯し、風が強すぎる日は無理をせず予定を変更する柔軟さも大切です。こまめな水分補給と休憩を心がけ、自分の体力と相談しながらペースを調整しましょう。島内には医療施設が限られているため、持病のある方は常備薬を忘れないようにしてください。
隠岐諸島のグルメ ― Eバイクポタリングのご褒美
Eバイクで走った後のご褒美として、隠岐諸島ならではのグルメも見逃せません。隠岐を代表するグルメといえば岩牡蠣で、夏が旬の大ぶりでクリーミーな身はプリプリの食感が楽しめます。海水の塩味が効いており、レモンを絞ってそのまま食べるのが最高の味わい方です。各島の食堂や港近くの飲食店で味わうことができます。
島の牧草地で放牧されている隠岐牛は、きめ細やかな霜降りと豊かな風味が特徴のブランド牛です。年間の出荷頭数が少ないため島外ではなかなか食べることができない貴重な牛肉で、サイクリングで牧草地を走りながら見た牛たちのことを思い出しつつ味わう一皿は旅の記憶をより深いものにしてくれるでしょう。
隠岐の海で獲れるサザエや白バイ貝は刺身でも焼いても美味しく、特にサザエのつぼ焼きは磯の香りが食欲をそそります。隠岐そばは隠岐独自のそば文化で、つなぎを使わずそば粉と水だけで打つ十割そばです。そばの風味がダイレクトに楽しめ、焼き味噌を溶かしたつゆで食べるスタイルも隠岐ならではの魅力です。各島の港近くの食堂ではその日に水揚げされた新鮮な魚介を使った海鮮丼も味わえます。イカ、ブリ、アジ、サバなど季節によって内容が変わるのも楽しみの一つです。
まとめ ― Eバイクが開く隠岐の海岸絶景の新しい旅のかたち
隠岐諸島は、ユネスコ世界ジオパークとして認定された類まれなる大地の物語を持つ島々です。数百万年にわたる火山活動と海食作用が造り上げた断崖絶壁、カルデラ地形、奇岩の数々は、Eバイクによるジオパークポタリングで最も深く味わうことができます。かつては体力自慢のサイクリストだけのものだった島の海岸絶景コースが、Eバイクの普及によって幅広い年齢層の方々に開かれました。
西ノ島の摩天崖で大地の力強さに圧倒され、知夫里島の赤壁でカラフルな地層の芸術に目を見張り、海士町のハート岩で自然が造り出した偶然の美しさに微笑み、島後の白島海岸で果てしない日本海の蒼さに心を洗われる。4つの島それぞれが持つ個性的な海岸絶景を、Eバイクのペダルを踏みながら一つひとつ訪ねていくことは、単なる観光を超えた大地と対話する旅になるはずです。隠岐の海岸絶景は、この地球が気の遠くなるような時間をかけて造り上げた芸術作品です。Eバイクのハンドルを握り、ジオパークの風を切って走り出してみてはいかがでしょうか。









コメント