越前海岸の水仙ラインをポタリングで巡る旅は、北陸新幹線で福井へアクセスし、日本海の絶景と国道305号沿いの景勝地を自転車でのんびり楽しむ自転車旅です。2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸開業により、東京駅から福井駅まで乗り換えなしで最短2時間51分となり、福井県へのアクセスは劇的に向上しました。約40キロに及ぶ越前海岸の海岸線には、「日本水仙三大群生地」のひとつに数えられる斜面の花畑や、日本の夕陽百選に選ばれた越前岬、新鮮な越前がにを味わえる漁港、温泉が湧く道の駅が点在しています。本記事では、ポタリングの楽しみ方やおすすめルート、季節ごとの見どころ、グルメ、宿泊、持ち物まで、福井・越前海岸の自転車旅をこれから計画する方が知っておきたい情報を一通り解説します。

越前海岸の水仙ラインをポタリングで巡る旅とは
越前海岸の水仙ラインをポタリングで巡る旅とは、福井県の日本海側に広がる約40キロの海岸線を、自転車でのんびりと走りながら絶景・グルメ・文化を楽しむ旅のスタイルを指します。水仙ラインとは、国道305号線のうち越前岬周辺から越前町にかけての区間の愛称で、断崖の上を走る部分も多く、日本海を眼下に見下ろす景観が続くことで知られています。
ポタリングは、目的地に急いで向かうのではなく、道中の風景や立ち寄り先を気の向くままに楽しみながら自転車で走るスタイルです。スポーツとしてのサイクリングよりもはるかにゆっくりとしたペースで、写真を撮ったり地元の食事処に立ち寄ったりしながら進むことが特徴です。越前海岸のように、絶景スポットや水仙畑、漁港、温泉が連なるルートでは、止まりたいときに止まれるポタリングの自由さが何よりの魅力となります。
国道305号は車も通行する幹線道路であり、断崖を縫うようにアップダウンが続く区間もあるため、電動アシスト自転車を使うとより快適に走れます。福井市内で借りたシェアサイクル「ふくチャリ」を活用したり、越前海岸周辺の宿泊施設や道の駅でレンタサイクルを手配したり、自身の自転車を輪行で持参したりと、旅のスタイルに合わせて準備の幅が広がっています。
北陸新幹線で福井へ行くアクセス方法
北陸新幹線で福井へ行く最速ルートは、東京駅から福井駅まで乗り換えなしの2時間51分です。2024年3月16日に北陸新幹線が金沢から敦賀まで延伸開業し、福井県には「芦原温泉」「福井」「越前たけふ」「敦賀」の4駅が誕生しました。それまで東海道新幹線と特急しらさぎを乗り継いで3時間24分程度かかっていた福井までの所要時間が、約30分短縮され、東京からの日帰りや週末旅行が現実的な選択肢となっています。
越前海岸を目的地とする場合は、まず福井駅で下車するのが基本ルートです。越前海岸の入口となる越前町や南越前町へは、福井駅からバスまたは車でおよそ1時間前後でアクセスできます。公共交通機関を利用する場合は、ハピラインふくい(旧JR北陸本線)で武生駅まで移動し、そこから福鉄バスで道の駅越前方面へ向かうルートが一般的です。
福井駅周辺にはシェアサイクル「ふくチャリ」のステーションが19ヶ所設置されており、福井駅到着後すぐに自転車を借りられます。越前海岸周辺で本格的にポタリングを楽しむ場合は、現地のレンタサイクルを利用するか、輪行袋に自転車を収納して北陸新幹線で持ち込む方法があります。北陸新幹線への自転車持ち込みは輪行袋への収納が条件となるため、出発前にルールを確認しておくと安心です。
越前海岸とは:日本海の絶景が続く海岸線
越前海岸とは、福井県の嶺北地方西部、日本海に面した約40キロの海岸線のことです。石川県境に近い越前市(旧武生市)から南越前町、越前町、福井市(旧越廼村・旧清水町)にまたがり、越前加賀海岸国定公園に指定されています。日本海の荒波が作り出した奇岩や断崖が随所に点在し、写真愛好家やドライブ好きから長年支持されてきた景勝エリアです。
国道305号線は、金沢市と南越前町・南条郡を結ぶ幹線道路であり、越前海岸沿いを走るメインルートとなっています。特に越前町周辺の区間は、断崖絶壁を縫うように走る絶景ルートとして知られ、「水仙ライン」という愛称で親しまれています。冬には水仙の花が斜面を白く染め上げ、春から秋にかけては青い海と緑の山の対比が美しく、季節を変えて訪れるたびに異なる表情を見せてくれる道です。
越前海岸の象徴である越前岬は「日本の夕陽百選」に選定されており、日没時には水平線に沈む太陽が壮観な景色を演出します。岬の灯台、断崖、奇岩、棚田水仙、漁港、温泉といった要素が約40キロのなかに凝縮されているため、自転車でのポタリングは越前海岸の魅力を立体的に味わう最適な手段といえます。
越前水仙の魅力:日本三大群生地と重要文化的景観
越前水仙とは、福井県の越前海岸一帯で栽培される日本水仙のブランド名であり、千葉県の房総半島、兵庫県の淡路島と並んで「日本水仙三大群生地」のひとつに数えられています。栽培面積は70ヘクタールを超え、日本最大の規模を誇ります。日本海からの寒風にさらされて育つことで花がよく引き締まり、香りが豊かで日持ちも良いことから、お正月を彩る切り花として全国に出荷される福井県の代表的な特産品です。
越前水仙の見頃は、例年12月下旬から1月下旬にかけてです。寒さの厳しい冬の時期に、斜面一面が白い小さな花の絨毯に覆われ、甘い香りが辺りに漂います。海風に揺れる水仙と紺碧の日本海のコントラストは、寒い時期にしか出会えない貴重な光景です。
2021年3月26日には、「越前海岸の水仙畑の文化的景観」として、越前町・福井市・南越前町にまたがる3エリアが国の重要文化的景観に選定されました。花の栽培地としては全国初の選定であり、越前海岸の水仙畑が単なる観光資源ではなく、地域の生業と文化に深く根ざした生きた景観であることが公式に認められた形です。
歴史的には、もともと越前海岸の崖や斜面に自生していた水仙を、近代以降に棚田へ移植して栽培するようになったとされています。厳しい冬の農閑期に、棚田の斜面を活用して水仙を育てることが、この地に暮らす人々の冬の重要な生業となり、それが越前海岸の特徴的な里山景観を形作ってきました。
水仙ラインの主要観光スポット
水仙ラインのポタリングで立ち寄りたい主要スポットを、北から南へとつなぐ形で紹介します。いずれも国道305号沿い、もしくはそこから少し外れた場所にあり、自転車でアクセスしやすい立地です。
呼鳥門
呼鳥門は、越前岬の北約1.7キロに位置する、日本海の荒波による侵食作用で生まれた天然のトンネルです。かつては国道305号がこのトンネルをくぐり抜けていましたが、現在は新しい道路に切り替わり、脇から岩のトンネルを眺める形となっています。中央に開いた大きな穴の向こうに広がる日本海の風景は、越前海岸を代表する絶景のひとつであり、岩のスケール感は写真では伝わりきらないほどの迫力があります。
越前岬・越前岬水仙ランド
越前岬は、越前海岸最大の観光スポットです。灯台が立つ岬の先端からは日本海を広く見渡せ、「日本の夕陽百選」に選定された夕景で知られています。岬の周辺には約6ヘクタールの畑に約1500万本もの水仙が植えられた「越前岬水仙ランド」が広がっており、満開の時期には一面の白い花畑が圧巻の景観を生み出します。越前岬展望台からは眼下に水仙ランドと日本海を同時に見渡せ、夕陽百選に選定されたこの地からの夕景は格別です。
梨子ヶ平千枚田水仙園
梨子ヶ平千枚田水仙園は、越前町の梨子ヶ平地区にある棚田状の水仙畑で、「日本の棚田百選」にも選ばれています。梨子ヶ平地区は全世帯が水仙栽培農家という日本でも稀有な集落で、急斜面に広がる棚田の形そのものが水仙畑となっています。棚田状に段々と連なる水仙畑の向こうに、日本海と呼鳥門を見渡せる景色は、越前水仙鑑賞のベストポイントのひとつです。
国道から外れた山道を少し登る必要があるため観光客が比較的少なく、落ち着いて鑑賞できる穴場でもあります。越前岬水仙ランドよりも梨子ヶ平を経由するルートの方が、水仙群生地の全体像をより深く味わえると地元でも推薦されています。
越前水仙の里公園
越前水仙の里公園は、福井市の越廼地区(旧越廼村)にある、越前水仙の発祥の地とも言われるエリアの公園です。越廼地区の下岬は越前水仙の生産の中心地として知られ、冬には崖斜面に咲き誇る水仙畑を見ることができます。越廼ふるさと資料館も隣接しており、越前水仙の歴史や越廼の暮らしについて学べる施設となっています。
道の駅越前
道の駅越前は、越前加賀海岸国定公園のほぼ中央部の海岸に位置するポタリングの拠点に最適な施設です。越前町の特産品が揃う「越前ブランドコーナー」、朝獲れの新鮮食材を使った軽食、日本海を一望できる露天風呂「漁火」、そして「越前がにミュージアム」が同じエリアに集約されています。9月の底引き網漁解禁に合わせた「さかな祭り」や、11月の「かに祭り」は毎年多くの人で賑わうイベントです。
越前海岸のグルメ:海の幸と冬の味覚
越前海岸のグルメは、新鮮な海の幸と冬の味覚に集約されます。ポタリングの途中で立ち寄れる漁港の食事処や道の駅で、季節ごとに表情の変わる料理を味わえることが、この地を訪れる大きな楽しみのひとつです。
越前がに
越前がにとは、福井県で水揚げされたオスのズワイガニのブランド名であり、全国のズワイガニの中でも最高峰として認知されています。黄色いタグが目印で、品質を保証する役割を果たしています。メスのズワイガニは「セイコガニ(コウバコガニ)」と呼ばれ、甲羅の中にぎっしり詰まった内子や外子(卵)が珍味として人気を集めています。
越前がにのシーズンは、11月初旬から翌年3月下旬までです。この時期に越前海岸を訪れると、民宿や料亭、道の駅などで茹でたての越前がにを味わえます。特に年末年始にかけてが最も賑わう時期で、水仙鑑賞と越前がにのセットは越前海岸の冬旅の定番となっています。
海鮮丼・地魚料理
越前海岸では、越前がに以外にも地元で水揚げされた新鮮な魚介類を使った料理が充実しています。道の駅越前のお食事処「かねいち」では、越前町で獲れた旬の食材を使った鮮度抜群の海鮮丼を提供しています。地魚専門の食事処では、その日に獲れた魚を使ったシンプルな定食や刺身が格別です。
冬のシーズンには、セイコガニを贅沢に使った「せいこ丼」が人気メニューとして登場する店も多く、訪問時期に合わせて味わい分けるのも越前海岸ならではの楽しみです。
越前海岸サイクリングコースの詳細
越前海岸のサイクリングコースは、福井県が整備・公開している「ふくいサイクリングルートマップ」の中に含まれており、フルコースとショートコースの2種類が用意されています。フルコースとショートコースの違いをまとめると次の通りです。
| コース | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| フルコース | 越前海岸沿いを広く走り、海岸線の絶景を存分に楽しめる | 自転車旅に慣れた方・走行距離を伸ばしたい方 |
| ショートコース | 時間や体力に応じてコンパクトに越前海岸を巡れる | 初めて訪れる方・体力に自信のない方・家族連れ |
越前海岸のコースは全体的にアップダウンがあり、特に呼鳥門付近や梨子ヶ平へのルートは斜面を登る箇所があります。電動アシスト自転車を使えば比較的楽に走れるため、福井県内のレンタサイクル事業者で電動アシスト自転車の有無を事前に確認しておくと安心です。
ポタリングのベストシーズンと季節ごとの楽しみ方
越前海岸のポタリングは一年を通じて楽しめますが、シーズンによってその魅力は大きく異なります。基準日が2026年5月26日となる今は、新緑が美しい春から初夏のシーズンに当たり、過ごしやすい気候の中で快適なポタリングを楽しめます。
冬(12月〜2月)
越前水仙の見頃を迎える冬は、白い花が斜面を染め上げ、寒い空気の中で甘い香りが漂います。越前がにも旬を迎えており、ポタリングとグルメを組み合わせた贅沢な旅が成立する季節です。日本海側は天候が変わりやすく、雨や雪も多いため、天気予報をこまめに確認しながら計画を立てることが大切です。晴れた冬の日には透明な光に照らされた海と水仙の対比が際立ち、寒さを忘れて走りたくなる景観が広がります。
春(3月〜5月)
水仙のシーズンが終わると、越前海岸は青々とした緑が芽吹く春の訪れを迎えます。新緑と青い海のコントラストが美しく、過ごしやすい気候の中で長距離のポタリングにも挑戦しやすい季節です。天候が安定し、日照時間も長くなるため、走行距離を伸ばしたい方にも向いています。
夏(6月〜8月)
夏の越前海岸は海水浴シーズンを迎え、多くの海水浴場がオープンします。磯釣りや海水浴を組み合わせたアクティブな旅が楽しめる一方、真夏の炎天下でのポタリングは体力消耗が激しいため、朝夕の涼しい時間帯を選ぶのが現実的です。日陰の少ない海岸線では、こまめな水分補給と日焼け対策を欠かさないようにしましょう。
秋(9月〜11月)
秋は底引き網漁が解禁され、新鮮な魚介類が市場に出回ります。道の駅越前の「さかな祭り」など、秋のイベントも楽しめます。紅葉シーズンには山側の景観も色づき、海と山の両方の秋景色を一度に楽しめる時期です。11月には越前がに漁も始まり、冬のグルメシーズンへの期待が高まっていきます。
越前海岸ポタリングのモデルコース
北陸新幹線を利用した越前海岸・水仙ラインポタリングのモデルコースを、目的別に紹介します。
1泊2日モデルコース(冬の水仙鑑賞編)
1日目は東京発の北陸新幹線で福井駅へ向かい、最速2時間51分で到着します。福井駅でレンタサイクルや車のアクセスを手配し、午後は福井市内観光を楽しみ、夜は越前海岸の宿に泊まる流れがおすすめです。宿では越前がに料理を味わいながら、翌日のポタリングに備えます。
2日目は朝から水仙ラインのポタリングへ出発します。道の駅越前を起点に、呼鳥門、越前岬水仙ランド、梨子ヶ平千枚田水仙園を巡り、時間があれば梨子ヶ平の展望ポイントから日本海を一望します。昼食は道の駅越前や地元の食事処で海鮮丼を味わい、ポタリング後は露天風呂「漁火」で疲れを癒してから帰路につきます。
日帰りコース(健脚向け)
東京を朝発の北陸新幹線に乗れば、午前中には福井に着き、午後の数時間でコンパクトに水仙ラインをポタリングできます。夕方の新幹線で東京に戻る日帰り旅程でも、北陸新幹線の延伸開業のおかげで十分に楽しめる行程が組めます。短時間で見どころを絞るなら、道の駅越前を拠点に呼鳥門周辺だけを往復する形が無理がありません。
現地での移動手段
越前海岸は公共交通機関のみで完全にアクセスするのはやや難しいエリアですが、北陸新幹線の開業で福井までのアクセスは格段に向上しました。現地での移動手段としては、機動力の高いレンタカー、福鉄バスの路線、宿泊施設や道の駅のレンタサイクルといった選択肢があります。バスは本数が限られるため、レンタサイクルやレンタカーと組み合わせると、ポタリングの自由度がぐっと上がります。
越前がにミュージアム:遊びながら学ぶ海の体験施設
越前がにミュージアムは、道の駅越前に隣接する、越前海岸の生態系と漁業文化を学べる体験施設です。館内には越前がにや日本海の魚たちの生態を紹介する展示エリア、漁船の操作体験ができる「漁船チャレンジ」、水中世界を映像で体感できる「ビックラブシアター」、手書きの魚の絵が泳ぐ「絵画水族館」など、子どもから大人まで楽しめるゾーンが揃っています。入場料は大人500円、小人(3歳〜小学生)300円とリーズナブルな設定です。
ポタリングの途中に立ち寄って、日頃食卓に上がる越前がにの生態を改めて知ることで、その後の食事での感動も深まります。越前がにを食べる前にミュージアムで学び、食後に漁火の露天風呂でゆっくり過ごす流れは、越前海岸観光の理想的な一日の組み立て方のひとつです。土産物コーナーも併設されているため、ポタリングのゴール地点や中間地点として立ち寄る使い方にも向いています。
越前海岸水仙まつり:旅と祭りが重なる特別な時期
越前海岸水仙まつりは、越前町・南越前町・福井市の三自治体が連携して開催する広域イベントです。2026年は第51回目を迎え、1月17日から2月1日にかけて越前海岸一帯で開催されました。水仙の見頃と祭りの開催期間が重なるため、ポタリングと地域行事を同時に楽しめる特別な時期となります。
越前町の「水仙・カニフェア」は道の駅越前を会場に、越前水仙のプレゼントや特産品・グルメの販売が行われました。1月中旬から下旬の開催で、水仙の見頃と合わせて訪れると一度に満喫できる構成でした。福井市の「こしの水仙まつり」は越前水仙の里公園を会場に、越前水仙のプレゼント配布や餅まきなど、地域色あふれるイベントが展開されました。南越前町の「荒波フェスタ」では、日本海の荒波で名高い南越前海岸を舞台に、越前水仙のプレゼントや抽選会、カニ汁の振る舞いといった冬の味覚と水仙を同時に楽しめる催しが行われました。
水仙まつりの期間中は各地でイベントが集中するため、宿泊施設が早めに満員になることもあります。次回の水仙シーズンに合わせてポタリング旅を計画する場合は、宿の予約を早めに進めておくと安心です。
越前海岸の宿泊情報:温泉宿でゆっくり体を休める
越前海岸の宿泊先としては、玉川温泉・鷹巣温泉・庄境温泉といった複数の温泉地に、日本海を見渡せる露天風呂を備えた宿泊施設が点在しています。ポタリングで一日海岸線を走った後に、ゆっくりと湯に浸かりながら日本海の景色を眺める時間は、越前海岸ならではの贅沢です。
鷹巣温泉エリアには国民宿舎「鷹巣荘」をはじめ、海を望む宿が複数あります。鷹巣荘は越前海岸のほぼ中央に位置し、自転車でのアクセスも比較的容易です。道の駅越前の「越前温泉 漁火」は日帰り入浴施設として人気ですが、宿泊と組み合わせる場合は越前海岸の民宿や旅館に泊まることで、夕日が沈む時間帯から夜明けの海まで、移ろう光景をじっくり味わえます。
冬季の民宿では、越前がにや地魚を使った料理が夕食に並ぶことが多く、宿泊と食事がセットになった旅のパッケージが充実しています。新鮮な海の幸を囲炉裏端でいただく民宿の温かい雰囲気も、越前海岸の旅ならではの醍醐味です。宿泊施設を拠点に翌朝早くから水仙の咲く斜面を自転車でゆっくり走れば、朝靄の中に浮かぶ水仙と日本海の光景が広がります。
ポタリングの持ち物と安全のための注意点
越前海岸でポタリングを楽しむために準備しておきたいのは、季節に合わせた服装、自転車の選び方、そして交通安全への配慮の3点です。
冬季の越前海岸は日本海からの風が強く、気温が低いため、防寒対策が欠かせません。ウィンドブレーカーや手袋、耳あてなど、寒さを防ぐ装備を一式揃えておくと安心です。天候が急変することも多いため、雨具も携行しましょう。夏季は日差しが強くなるため、帽子や日焼け止め、十分な水分の確保が重要です。
自転車は、越前海岸のアップダウンを考えると電動アシスト自転車が便利です。越前海岸周辺ではレンタサイクルを用意している宿泊施設や観光施設もあり、当日の天候や体力に合わせて借りる選択肢もあります。輪行で自転車を持参する場合は、北陸新幹線への自転車持ち込みルール(輪行袋に収納)を事前に確認しておきましょう。
安全面では、国道305号は車も通行する道路のため、交通量と速度に注意しながら走行することが大切です。冬季は路面が濡れていたり凍結していたりする場合があり、特に断崖上の区間は強風時に注意が必要です。無理なスピードを出さず、慎重なペースを守って走ることが、ポタリングを最後まで気持ちよく楽しむための基本となります。
越前海岸の自転車旅:長距離コースへの発展
越前海岸の自転車旅は、越前町・南越前町付近だけでなく、北は東尋坊方面、南は敦賀方面へとコースが広がっています。越前海岸の海岸線は変化に富んでおり、断崖あり、砂浜あり、奇岩ありと、走るごとに表情が変わるため、走行距離を伸ばしたい上級者にも応えてくれます。
東尋坊を目指すルートは、国道305号を北上し、芦原市(旧三国町)の東尋坊まで達するコースです。東尋坊は高さ25メートルに及ぶ断崖に日本海の荒波が打ち寄せる国指定の景勝地で、越前海岸とはまた異なる荒々しい岩の景観が広がっています。敦賀から越前海岸を縦断するコースは、日本海に沿って平坦な部分も多く、距離は100キロ前後となりますが、自転車旅の上級者には充実した一日コースとして知られています。
もっとも、ポタリングでは無理な長距離走行は必要ありません。気に入った場所で自由に立ち止まり、時間を忘れてゆっくり楽しむことが大切です。越前海岸はどこを切り取っても絵になる景色が続くため、写真好きの方にも特に愛されるルートとなっています。
越前水仙の産業と文化:地域の誇りを感じる旅
越前水仙は、観光資源としてだけでなく、地域の重要な産業でもあります。毎年冬には切り花として全国の花市場に出荷され、特にお正月前後の需要が高まります。越前海岸の農家は急斜面の棚田で水仙を栽培しており、手作業による収穫と出荷は非常に手間のかかる仕事です。それでも代々引き継がれてきた水仙栽培の技術と誇りが、「越前水仙」ブランドの品質を支えてきました。
重要文化的景観への選定は、こうした農業文化と景観の価値を社会全体で共有する契機となりました。越前海岸を訪れる旅人にとっても、単に美しい景色を見るだけでなく、そこに暮らす人々の歴史や文化に触れることで、旅の深みが増していきます。水仙畑の横を自転車でゆっくり走りながら、この景観を守ってきた地域の営みに思いをはせる時間こそが、ポタリング旅の本質的な価値といえます。
越前海岸の水仙ラインポタリングについてよくある疑問
越前海岸の水仙ラインポタリングを計画する際に、よく寄せられる疑問とその回答を文章でまとめます。
水仙の見頃はいつなのかという疑問については、例年12月下旬から1月下旬が最も美しい時期となります。年によって前後しますが、寒さの厳しい真冬がベストシーズンです。北陸新幹線で福井までどのくらいかかるのかという質問には、東京駅から福井駅まで最速2時間51分でアクセスできると答えられます。越前海岸まではさらにバスや車で1時間前後の移動が必要です。
ポタリングと普通のサイクリングの違いは何かという疑問については、ポタリングは目的地に急がず、立ち寄りや風景の鑑賞を主目的とするゆったりした自転車旅のスタイルです。スポーツとしての走行性能を重視するサイクリングとは異なり、誰でも気軽に楽しめます。電動アシスト自転車が必要かどうかについては、越前海岸のアップダウンを考えると電動アシスト自転車を選ぶと体力的に余裕が生まれます。特に呼鳥門周辺や梨子ヶ平への登坂区間では、その違いを大きく感じられます。
冬に行く場合の服装の注意点については、防寒対策が必須となります。日本海側の風と低い気温に備えてウィンドブレーカー、手袋、耳あて、雨具を一式揃えると安心です。越前がにのシーズンはいつかという質問には、11月初旬から翌年3月下旬までと回答できます。水仙の見頃と重なる時期が長いため、絶景とグルメを同時に楽しみたい方は、12月から1月の訪問が最適です。
越前海岸ポタリングのまとめ
越前海岸の水仙ラインポタリングは、北陸新幹線の延伸開業によって東京から手軽に訪れられるようになった、福井ならではの自転車旅です。日本海の絶景、約40キロにわたる海岸線、日本最大の規模を誇る越前水仙の群生地、越前がにと地魚のグルメ、温泉、漁港の文化、これらすべてが約40キロのルートの中に凝縮されています。
呼鳥門の天然トンネル、越前岬からの夕日、梨子ヶ平千枚田水仙園の棚田景観、新鮮な越前がに料理と漁火の露天風呂、水仙まつりのにぎわい、民宿の温かいもてなしといった要素は、自転車だからこそ立体的に味わえるものばかりです。重要文化的景観に選定された水仙畑の景色は、地域の人々が長い時間をかけて守り育ててきた生きた文化遺産であり、ゆっくり走るポタリングのスタイルとよく馴染みます。
水仙が咲く冬だけでなく、青い海が輝く夏、底引き網漁が始まる秋、新緑が広がる春、それぞれの季節に異なる顔を持つのが越前海岸の魅力です。北陸新幹線に乗って福井へ、そして越前海岸の水仙ラインを自転車でのんびり巡る旅。次の旅先の候補として、越前海岸のポタリングを検討してみてはいかがでしょうか。









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