大田区久が原で昭和のくらし博物館とレトロ商店街をポタリングで巡る

当ページのリンクには広告が含まれています。

大田区の久が原には、昭和26年に建てられた住宅をほぼそのままの姿で公開している昭和のくらし博物館があります。駅の東側にはライラック通り久が原と呼ばれる商店街が広がり、戦前から続く米屋や戦後創業の和菓子屋が今も営業を続けています。大手チェーン店の看板がほとんど見当たらないこの一帯は、自転車を押しながらのんびり街並みを楽しむポタリングに向いた場所として知られるようになってきました。東急池上線の久が原駅を起点に、博物館とレトロな商店街をめぐり、余力があれば多摩川台公園や洗足池、池上本門寺まで足を延ばすルートを、この記事では順を追って紹介していきます。続けて、平日休館という博物館の開館日の制約や、大田区が運用するシェアサイクルの使い方についても触れます。自転車を持っていない人でも、電車と組み合わせて気軽に久が原めぐりを楽しめる方法が分かるはずです。

目次

久が原は大手チェーンより個人商店が目立つ大田区の住宅街

久が原は東急池上線の久が原駅を最寄りとするエリアで、田園調布や山王と並ぶ城南地域屈指の閑静な住宅街です。駅前には久が原駅前通り末広商店会が広がり、八百屋や惣菜店、酒屋といった生活に根ざした店が並んでいます。駅から少し東に歩くと、大手チェーン店がほとんどないライラック通り久が原が現れます。戦前から続く米屋や戦後すぐに創業した和菓子屋に加え、切子硝子を扱う若い店まで、個性的な店舗が混在しているのがこの通りの特徴です。駅から西へ向かい、嶺白山神社を過ぎてさらに15分ほど歩けば多摩川に到達します。商店街を歩いたあとに川沿いの景色で締めくくるのも、悪くない過ごし方です。

久が原銀座商店街は昭和8年の整備から平成5年のリフレッシュ事業を経てライラック通りになった

ライラック通り久が原は、昭和8年(1933年)に整備が始まったとされる歴史の長い商店街です。蒲田と五反田を結ぶ鉄路とともに発展し、平成5年(1993年)のリフレッシュ事業で街路灯のステンレス化や装飾灯の設置、道路のカラー舗装、歩道の拡張、絵タイルの埋め込み、ライラックの植栽が行われました。「ライラック通り久が原」という愛称も、このときの一般公募で決まったものです。毎年5月には「ライラック祭り」が開催され、3000人以上の人出で賑わいます。商店街の店舗だけでなく、警察や消防、図書館、学校、近隣住民までもが模擬店や出し物を出す、地域一体型のイベントとして親しまれてきました。

久が原は関東大震災後の宅地化で田園調布に次ぐ住宅地になった

久が原は大田区の西部、武蔵野台地の突端にあたる久が原台の上に広がる町です。1927年(昭和2年)に発掘された久が原遺跡からは、弥生時代後期の住居跡が現在の久が原4丁目から6丁目にかけて1000軒以上も見つかっており、古くから人が暮らしてきた土地だと分かります。もともと農村地帯だったこの一帯が宅地化されたきっかけは、関東大震災後の郊外への住宅需要拡大でした。田園調布の開発に続く形で宅地化が進んだため、当時は「新田園調布」と呼ばれることもあったといいます。ただし、渋沢栄一が発起人となった田園都市株式会社が計画的に開発した田園調布とは違い、久が原は当時の地権者たちが組織した耕地整理組合によって整備されました。区画には個別性があり、画一的な計画都市とは一線を画す、自然な広がりを持つ街並みが形成されています。現在も多くのエリアが第一種低層住居専用地域に指定されており、道幅は広いのに交通量は少なく、閑静な住宅街としての性格を保っています。田園調布、山王と並んで大田区の三大高級住宅地に数えられることもあり、生活感のある商店街とその背後に広がる邸宅街とのコントラストが、この街ならではの魅力になっています。散策の途中では、地域で古くから信仰を集めてきた久が原出世観音に立ち寄るのもよいでしょう。

昭和のくらし博物館は館長小泉和子氏の実家を1999年に公開した施設

昭和のくらし博物館を作ったのは、現在も館長を務める小泉和子氏です。1933年に東京で生まれ、女子美術大学で洋画を学んだのち家具製造会社に勤務し、1970年からは東京大学建築学科の研究生として日本の家具や室内意匠の歴史を研究、1971年には生活史研究所を設立しました。小泉氏の父である小泉孝氏は東京都の建築技師で、昭和26年に自ら設計してこの家を建てています。小泉和子氏はその長女です。もっとも残りにくく、もっとも軽視されがちなのは本来もっとも身近であるはずの庶民の暮らしそのものだという思いから、実家を保存し公開する決断をしたそうです。博物館は1999年2月28日に開館し、昭和、とりわけ戦中から戦後にかけての1940年代から50年代の庶民の暮らしを次の世代に伝えることを目的として運営されています。こうした長年の家具史・生活史研究と、自邸を保存し公開し続けてきた功績が評価され、小泉和子氏と昭和のくらし博物館は第73回菊池寛賞を受賞しました。一軒の住宅を守り続けることそのものが、社会的に大きな意義を持つ文化活動として認められたことになります。

昭和のくらし博物館の入館料は大人500円で営業は金土日祝のみ

昭和のくらし博物館の所在地は東京都大田区南久が原2丁目26番19号で、久が原駅から徒歩約8分です。久が原栄会通りを抜け、野津原医院の左脇にある小さな路地を通った先、右側の二軒目にあります。この博物館は、昭和26年(1951年)に建てられた住宅をほぼそのままの姿で保存し公開している点が最大の特徴です。もともとは館長の実家だった木造住宅を修復し、1999年から一般公開が始まりました。2002年には国の登録有形文化財に指定されています。入館料は大人500円、小学生・中学生・高校生は300円です。営業時間は金曜・土曜・日曜・祝日の10時から17時までで、平日は休館となるため、訪問の日程は必ず週末か祝日に合わせる必要があります。電話番号は03-3750-1808で、事前に開館状況を確認しておくと安心です。館内は原則として撮影禁止のため、カメラをしまって自分の目でじっくり展示を味わうことをおすすめします。

項目内容
所在地東京都大田区南久が原2丁目26番19号
アクセス久が原駅から徒歩約8分
入館料大人500円、小中高生300円
営業時間金・土・日・祝日の10時から17時
休館日平日(月〜木)
電話番号03-3750-1808

昭和のくらし博物館は井戸ポンプの洗濯体験ができる

館内の構成は、1階に3〜4室と台所、2階に2室という間取りで、昭和の戦前から戦後にかけての暮らしぶりが再現されています。玄関近くには応接間を兼ねた書斎があり、来客をもてなす空間としての昭和の住まいの姿を伝えています。ちゃぶ台が置かれた茶の間には当時の家庭における朝・昼・晩の食事の様子が再現されていて、何をどのように囲んでいたのかが具体的にイメージできます。台所には、電気冷蔵庫が普及する前に使われていた木箱の冷蔵庫をはじめ、当時の調理道具が並んでいます。氷を使って庫内を冷やす仕組みの冷蔵庫は、多くの来館者にとって驚きの展示物になっているようです。中庭には井戸ポンプが設置されていて、実際にポンプを使った洗濯体験ができます。博物館で実際に出た洗濯物を使うため、単なるデモンストレーションではなく、当時の生活動作そのものを追体験できる仕掛けになっています。竹馬やぽっくり、けん玉、お手玉といった昭和の遊び道具も自由に触れて遊べるため、子ども連れの家族にも人気が高いといいます。企画展も不定期に開催されており、「昭和はこんなだった〜『昭和のくらしと道具図鑑』発刊を記念して」といったテーマ展やワークショップが開かれることもあります。訪問前に公式サイトで開催中の企画展を確認しておくと、より深く楽しめるでしょう。実際に訪れた人からは、見た目以上に有意義な施設だという感想や、昭和の懐かしい暮らしを思い出せる場所だという声が多く寄せられています。昭和初期生まれの世代からは、なんの違和感もなく普通の家のように暮らせそうだという声もあるそうで、世代を超えて楽しめる展示になっていることがうかがえます。木箱の冷蔵庫をはじめとする台所の道具の充実ぶりは特に評価が高く、写真では伝わりきらない実物ならではの迫力があります。

東急池上線は全列車3両編成の都会のローカル線

久が原へのアクセスを担う東急池上線は、東京都品川区の五反田駅と大田区の蒲田駅を結ぶ東急電鉄の路線です。全列車が3両編成で運行されており、東急線の中でも比較的小規模な路線であることから「都会のローカル線」と呼ばれることがあります。運行される種別は各駅停車のみで、五反田駅、蒲田駅、そして大井町線に接続する旗の台駅以外には乗り換え駅がないという、シンプルな構成も特徴です。運行間隔は平日朝のラッシュ時で2分30秒、日中は7分30秒、夕方のラッシュ時は4〜5分間隔、土休日はほぼ終日6分間隔となっています。沿線の風景も駅ごとに表情を変え、五反田駅から戸越銀座駅にかけてはおおむね商業地を走り、戸越銀座を過ぎると徐々に住宅地に変わっていきます。戸越銀座商店街や洗足池、池上本願寺など街歩きの目的地になるスポットも沿線に点在していて、昔ながらの温泉銭湯が残る駅もあるようです。久が原はこうした池上線沿線の中でも、とりわけ静かで落ち着いた住宅地としての性格が強いエリアといえます。池上線に揺られながら途中の駅で降りて商店街や寺社をのぞきつつ久が原を目指すというのも、鉄道好きには捨てがたい過ごし方でしょう。

ライラック通り久が原ではベンデル洋菓子店の焼き菓子が定番

昭和のくらし博物館を訪れたあとは、周辺の商店街もあわせて歩いてみたいところです。駅の東側に伸びるライラック通り久が原には、大手チェーン店がほとんど存在せず、個人経営の専門店が中心となっています。戦前から続く米屋、戦後創業の和菓子屋といった老舗に加え、蒲田切子などの手仕事の品を扱う手仕事ショップ・フォレストのような個性的な店も点在しています。なかでも、地元で長く親しまれてきたベンデル洋菓子店は立ち寄る価値があります。大田区久が原3丁目36番3号にあり、営業時間は毎日9時30分から17時30分までです。トレンドの映えるケーキが主流になった時代にあっても昔ながらの製法を守り続ける小さな洋菓子店で、誕生日や記念日向けのオーダーケーキも人気があります。ライラック通りを歩きながら小休止するにはぴったりのスポットです。大田観光協会の特集記事「レトロな久が原を歩こう!昭和のくらし博物館と商店街を巡る」でも、昭和のくらし博物館、手仕事ショップ・フォレスト、ベンデル洋菓子店の三か所がセットで紹介されていて、久が原散策の定番ルートとして位置づけられていることがうかがえます。

久が原駅前通り末広商店会は生活密着型の商店街

もうひとつの商店街が、駅前から環八通り方面へと続く久が原駅前通り末広商店会です。こちらはライラック通りとは対照的に、八百屋、惣菜店、酒屋、ドラッグストア、電気店など、より生活に密着した店が並んでいます。観光客向けというより地元住民の暮らしを支える商店街としての性格が強く、久が原の日常を垣間見ることができるエリアです。散策の合間に立ち寄りたいのがカフェで、久が原駅から徒歩1分ほどの場所にあるcafe kurassi(カフェクラッシー)は、コロンビア産のスペシャリティコーヒーを扱う専門店です。クラシカルで落ち着いた雰囲気の店内が特徴で、ゆったりとした時間を過ごしたいときにおすすめできます。珈琲館やドトールコーヒーショップ、スターバックスコーヒー、タリーズコーヒー、星乃珈琲店といったチェーン系のカフェも駅周辺に点在しているため、目的や気分に合わせて選べます。散歩の達人などのメディアでも東急池上線沿線の喫茶店やカフェ文化はたびたび特集されていて、池上線らしいゆったりとした時間の流れを味わいながら喫茶店をめぐるのも、この沿線ならではの楽しみ方といえるでしょう。

商店街特徴主な店
ライラック通り久が原個人経営の専門店が中心老舗の米屋・和菓子屋、ベンデル洋菓子店、手仕事ショップ・フォレスト
久が原駅前通り末広商店会生活密着型八百屋、惣菜店、酒屋、ドラッグストア、電気店

久が原ポタリングのモデルコースは末広商店会からベンデル洋菓子店を経て博物館へ

昭和のくらし博物館とレトロ商店街は、いずれも久が原駅を起点に徒歩圏内でまわれます。しかし、せっかくなら自転車でのんびり巡るポタリングのスタイルもおすすめしたいところです。ポタリングとは、目的地への到達を最優先にせず、道中の風景や街並みそのものを楽しみながら気ままに自転車で移動するスタイルを指します。大通りから一本入るだけで昭和の面影が色濃く残る路地に出会える久が原は、ポタリング向きの街だといえるでしょう。モデルコースとしては、まず久が原駅を起点に、駅前通り末広商店会をゆっくり流しながら地元の生活感を楽しみます。次にライラック通り久が原へ移動し、老舗の米屋や和菓子屋、切子硝子の店、手仕事ショップ・フォレストなどをのぞきながら進み、ベンデル洋菓子店で焼き菓子を調達します。そこから細い路地を抜けて昭和のくらし博物館へ向かい、昭和26年築の家屋でゆっくりと昭和の暮らしを体感します。時間に余裕があれば、そのまま西へ足を延ばして多摩川方面を目指すのもよいでしょう。

多摩川台公園まで足を延ばせば亀甲山古墳とあじさい園を楽しめる

体力と時間に余裕があれば、久が原から西へ向かい、多摩川台公園まで足を延ばすルートも検討する価値があります。多摩川台公園は東横線・目黒線・東急多摩川線の多摩川駅から徒歩約1分の場所にあり、多摩川沿いの丘陵地に約750メートルにわたって広がる公園です。園内には多摩川八景見晴台、国の史跡に指定されている亀甲山古墳、宝来山古墳、多摩川台古墳群、水生植物園、四季の植物園、あじさい園など見どころが多くあります。亀甲山古墳は田園調布古墳群の中で最大の前方後円墳で、築造当時の墳丘長は107.25メートルにも及んだとされています。6月上旬から中旬にかけては、7種類・約3000〜4000株のあじさいが斜面一面を彩るあじさい園も見応えがあります。展望広場からは丹沢山塊や箱根、条件が良ければ富士山や南アルプスの一部までも見渡せるそうです。昭和レトロな街並みと商店街を堪能したあと、多摩川沿いの自然と古代の遺跡に触れるという組み合わせは、半日から一日かけてのポタリングコースとして満足度が高くなります。久が原から多摩川台公園までは住宅街の坂道を含むルートになるため、電動アシスト自転車やギア付きの自転車があるとより快適に走行できるでしょう。

洗足池と戸越銀座方面へ北上するルートも魅力的

多摩川台公園とは反対方向、久が原から東急池上線沿いに北上するルートも魅力的です。途中の戸越銀座駅は、商店街の人々と東急電鉄との対話によって2016年に生まれ変わった、木のぬくもりを感じる駅舎が印象的な駅で、池上線で五反田・蒲田方面に一本でアクセスできるだけでなく、少し歩けば大井町線の戸越公園駅やJRの大崎駅も利用できる交通至便な立地にあります。戸越銀座商店街そのものも、東京を代表する下町商店街のひとつとして知られ、食べ歩きグルメが充実していることでも有名です。さらに足を延ばすなら、洗足池駅前に広がる洗足池公園も見逃せません。約4万平方メートルという都内屈指の広さを誇る洗足池を囲む公園で、遊歩道は散策やジョギングにも向いています。江戸時代には歌川広重の「名所江戸百景」にも描かれた景勝地で、池ではスワンボートなどのアクティビティも楽しめます。池のほとりに佇む御松庵妙福寺は、日蓮上人が池上本門寺へ向かう途中にこの地に立ち寄り、法衣を掛けたと伝わる「袈裟掛けの松」の逸話が残る古刹です。久が原の昭和レトロな雰囲気を堪能したあと、池上線沿いに北へ向かえば戸越銀座の賑わいと下町グルメを、洗足池まで足を延ばせば水辺の景観と歴史的な寺社仏閣を楽しめます。南方向の池上駅方面には2021年に開業したエトモ池上もあり、和の要素を取り入れたモダンなデザインの商業施設として鉄道建築協会賞の特別賞を受賞しています。3両編成のこぢんまりとした電車ながら、池上線の沿線には見どころが詰まっていて、久が原を拠点にどちらの方向へポタリングを広げても飽きることはなさそうです。

ポタリングの注意点は博物館の平日休館と道幅の狭さ

久が原エリアでポタリングを計画する際は、いくつか押さえておきたい点があります。まず、昭和のくらし博物館は金・土・日・祝日のみの開館で、平日は休館です。せっかく久が原まで足を運んでも平日では館内に入れないため、必ず開館日を確認してから訪問日程を組みましょう。次に、久が原の商店街やその周辺の路地は道幅が狭い箇所が多くあります。住宅街特有の生活道路も多く、歩行者や地元住民の車の往来もあるため、自転車での走行時はスピードを控えめにし、商店街の中では自転車を降りて押し歩きするなど、マナーを守った行動が求められます。特にライラック通りのような個人商店が並ぶエリアでは、地元の人々の生活の場でもあることを意識し、静かにゆったりとした気持ちで散策したいところです。また、久が原駅周辺には大手コンビニチェーンが少ないという特徴もあります。長時間のポタリングを予定している場合は、事前に飲料や軽食を用意しておくか、蒲田駅など近隣の大きな駅周辺で調達してから久が原入りするのも一つの方法です。大田区が定める自転車安全利用五則も、ポタリングを楽しむ前に押さえておく必要があります。車道通行が原則で左側を通行すること、歩道を走る場合は例外として歩行者を優先し徐行すること、交差点では信号と一時停止を必ず守ること、夜間はライトを点灯すること、飲酒運転は絶対にしないこと、そしてヘルメットを着用すること、この五点です。久が原のような住宅街では見通しの悪い交差点や生活道路も多いため、これらのルールを踏まえたうえで歩行者や地元の車の通行を優先しながら走行したいものです。自転車から離れる際は、短時間であっても指定の駐輪スペースに停め、必ず施錠することもマナーとして意識しておくと安心です。季節を選んでの散策もおすすめできます。ライラック通りの名前の由来にもなっているライラックの花や、毎年5月に開催されるライラック祭りの時期に合わせて訪れれば、商店街の賑わいとともに地域の温かな雰囲気を体感できます。多摩川台公園まで足を延ばすなら、あじさいが見頃を迎える6月上旬から中旬も狙い目の時期です。

池上本門寺と池上梅園も久が原からの足延ばし先におすすめ

池上線の駅名にもなっている池上も、久が原から足を延ばす価値のあるエリアです。日蓮聖人が入滅した霊跡として知られる池上本門寺は、空襲による焼失を免れた五重塔が今も大堂のすぐそばに残る、由緒ある古建築が魅力の寺院です。毎年10月11日から13日にかけて営まれるお会式は740年の歴史を持つ伝統行事で、日蓮聖人の命日を偲ぶ万灯練供養では、桜の花で飾られた高さのある提灯を掲げた百数十講中・総勢約3000人もの行列が、池上駅から本門寺まで約2キロメートルにわたって練り歩きます。夜遅くまで続くこの行列には例年約30万人もの人出があり、大田区を代表する秋の風物詩となっています。春先には、池上本門寺からほど近い池上梅園もおすすめです。区の花であるウメが30種類以上植えられていて、初春には香りを漂わせながら見頃を迎えます。斜面一面に広がるツツジをはじめとする約50種類の樹木のほか、茶室や和室の施設、水の音を楽しむ水琴窟もあり、四季を通じて静かな時間を過ごせる庭園として親しまれています。久が原から池上方面へポタリングの範囲を広げれば、昭和レトロな暮らしの記憶に加え、由緒ある寺社と季節の花々という、また違った表情の大田区に出会えます。

大田区のシェアサイクルは178か所のポートで電動アシスト付き

自分の自転車を持っていない場合でも心配はいりません。大田区では2022年12月15日から、区内全域を対象としたコミュニティサイクルが本格運用されています。ドコモ・バイクシェア株式会社とOpenStreet株式会社が運営を担い、区内には178か所ものサイクルポートが設置されているため、久が原周辺でも比較的手軽に自転車を借りられます。利用できるサービスはHELLO CYCLINGとドコモ・バイクシェアの2種類で、いずれの自転車も電動アシスト付きです。坂道の多い久が原台のような地形でも疲れにくく走行できるのはうれしいポイントでしょう。大田区を含む都内16区にまたがってサービスが拡大しているため、久が原で借りた自転車を、そのまま多摩川台公園や洗足池、池上本門寺方面まで乗り継いで返却することも可能です。事前にアプリで最寄りのポートを確認しておけば、電車移動とポタリングを自在に組み合わせた身軽な久が原めぐりが実現します。

久が原は半日でも一日がかりでも楽しめる

久が原は、大手チェーン店が少なく、昭和から続く個人商店が今も現役で営業を続けている、東京都内でも珍しいエリアです。その象徴といえる昭和のくらし博物館は、昭和26年築の住宅をそのまま保存し公開する希少な施設で、当時の暮らしを肌で感じられる体験型の展示が魅力になっています。井戸ポンプでの洗濯体験や昔ながらの遊び道具に触れられる仕掛けは、大人にとっては懐かしさを、子どもにとっては新鮮な驚きを与えてくれるでしょう。博物館を訪れたあとは、ライラック通り久が原や末広商店会といったレトロな商店街を歩き、老舗の和菓子屋や洋菓子店、手仕事の品を扱う店をのぞきながら、久が原ならではの静かで穏やかな時間を過ごしてみてください。自転車でゆったりと巡るポタリングのスタイルなら、多摩川台公園まで足を延ばして、古墳群やあじさい園、多摩川の景色まで一気に楽しむこともできます。都心からアクセスしやすい立地にありながら、昭和の面影を色濃く残す久が原には、思い立ったらすぐに出かけられる手軽さもあります。東急池上線に乗ってしまえば、都心の主要駅からでも乗り換えを含めて30分から40分程度で久が原にたどり着けます。半日あれば、昭和のくらし博物館の見学から商店街での買い食い、カフェでのひと休みまでを無理なく楽しめますし、朝から出かければ多摩川台公園や洗足池、池上本門寺まで足を延ばす一日がかりのコースに発展させることもできます。電動アシスト付きのシェアサイクルを使えば、坂道や距離を気にせず、思いのままにルートを広げられるのも魅力です。写真映えするスポット巡りとは違う、じっくりと土地の記憶をたどるような散策こそ、久が原ポタリングの醍醐味だといえるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次