高山本線で行く越中八尾のポタリング、おわら風の坂道を走る

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富山駅から高山本線に乗っておよそ二十分ほど進むと、石垣の上に築かれた坂の町、越中八尾に着きます。この町を自転車でめぐるポタリングでまず目指すべき場所は、「おわら風の坂道」と呼ばれる諏訪町本通りです。石畳の坂道と格子戸の家並みが続くこの通りは日本の道100選にも選ばれており、祭りの三日間だけでなく一年を通じて自転車で走り回れる町だという点が、越中八尾の一番の魅力になっています。

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高山本線でたどる越中八尾へのアクセス

越中八尾への移動は、JR高山本線を使うのが基本です。起点の富山駅からは普通列車でおよそ16分から30分ほど、便によって所要時間には幅がありますが、日中でも一定の間隔で運行があるため日帰りポタリングに組み込みやすい路線です。富山駅では朝5時台から夜間まで多くの便が設定されており、早朝発なら5時51分発、越中八尾到着が6時19分という組み合わせも見つかります。帰りの便も21時台まであるので、日没近くまで町歩きや自転車散策を続けてから富山駅へ戻ることもできます。

ただし高山本線は本数がそれほど多い路線ではありません。事前に富山駅と越中八尾駅の時刻表を乗換案内サイトで確認し、余裕をもった計画を立てておくと安心です。祭りの開催期間である9月上旬は臨時列車や運行形態の変更が発表されることがあるので、直前の最新情報にも目を通しておきたいところです。

越中八尾駅は旧町エリアからやや離れた高台にあり、駅から諏訪町本通りまでは徒歩でも歩ける距離ですが、坂道が続くため自転車があると移動の負担がぐっと軽くなります。ここに、この町でポタリングをすすめる理由があります。

駅舎そのものにも歴史があります。現在も使われている木造の駅舎は昭和2年、鉄道省による飛越線の駅として開業した当時からのもので、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を合わせた計2面3線を持つ地上駅です。もともとは石川県の七尾線七尾駅の駅舎だったものが、大正14年に七尾線が和倉駅まで延伸された際に移築の対象となり、越中八尾駅へ転用されたと伝わっています。自転車を組み立てたり輪行袋から取り出したりする合間に、この木造駅舎の風格を眺めてみるのも小さな楽しみになるでしょう。

高山本線そのものが車窓の美しさで知られる路線であることも付け加えておきます。岐阜駅から飛騨の観光拠点である高山駅を経由して富山駅に至る路線で、全区間が非電化・単線、気動車が走る趣のある鉄道旅を楽しめます。岐阜駅から猪谷駅まではJR東海が、猪谷駅から富山駅まではJR西日本が運行しており、越中八尾はJR西日本区間に含まれます。天候に恵まれれば、富山駅から越中八尾へ向かう車窓から剱岳や立山連峰のパノラマを望むこともできます。

レンタサイクルと輪行、ポタリングの足を選ぶ

富山市中心部では2010年からシェアサイクル「アヴィレ」が導入されており、市内23か所のステーションで24時間365日自転車を借りられます。専用アプリか富山駅構内の観光案内所の窓口から利用でき、料金は30分までは無料、31分から60分で200円、61分以降は30分ごとに500円という設定です。ただしアヴィレのステーションは富山市の中心市街地に集中しており、越中八尾エリアには基本的に設置されていません。

越中八尾でポタリングをするなら、越中八尾観光協会が提供しているレンタサイクルを使うのが現実的です。観光協会は富山市八尾町上新町にあり、電話での事前確認や申し込みができます。料金は4時間以内で500円、4時間を超えると1000円というリーズナブルな設定ですが、申し込みには身分証明書の提示が必要です。用意されている台数は8台ほどと限られているので、休日や祭りの時期には早めに問い合わせておいたほうがよさそうです。

自分の自転車を輪行で持ち込む場合、JR西日本の在来線では前後輪を外すなどして専用の輪行袋にきちんと収納すれば、追加料金なしで車内に持ち込めます。混雑時の乗車マナーや、車両によって置ける場所が限られる点には配慮が必要です。なお富山県内には富山地方鉄道が土曜、日曜、祝日、年末年始に自転車をそのまま列車に積み込める「サイクルトレイン」を実施している区間もありますが、これはJR高山本線とは別会社のサービスなので、越中八尾へ向かう際は輪行袋を用いた持ち込みを前提に計画したほうが確実です。

おわら風の坂道と呼ばれる諏訪町本通りの石畳

越中八尾のポタリングで欠かせないのが、諏訪町本通りです。石畳が敷き詰められた坂道の両側に、格子戸の家並みと白壁の土蔵が軒を連ね、江戸時代から続く町人文化の面影を色濃く残しています。景観の美しさが評価されて日本の道100選に選ばれた通りであり、観光地としてだけでなく地域住民の生活道路としても大切にされてきました。

この通りの魅力は見た目の美しさだけにとどまりません。豪雪地帯である八尾では、冬場に積もった雪を効率よく処理するための知恵として、緩やかな傾斜を利用し道の両側の側溝、通称エンナカに雪を流し込む仕組みが古くから採用されてきました。この用水路を流れる水の音は耳を澄ませば涼やかに響き、環境省が選定する「残したい日本の音風景100選」において「エンナカの水音とおわら風の盆」として認定されています。自転車を降りて歩けば、水音と石畳を踏む音、格子戸越しに感じる生活の気配が重なり合い、祭りの時期でなくても十分に町の情緒を味わえます。

そもそもなぜこの町が坂の上に築かれたのか。答えは水害との闘いにあります。八尾の町は井田川をはじめとする複数の河川が合流する地形にあり、たびたび洪水に見舞われてきました。住民たちは川の氾濫から逃れるため、河岸段丘の高台に町を築くことを選び、井田川からの高さ約30メートルにもなる石垣を積み上げて、その上に細長く続く坂の町をつくりあげたのです。井田川沿いから諏訪町本通りへと続く坂道を実際に自転車で上ってみると、この石垣がいかに大規模な土木事業だったかを体感できます。この石垣の坂道こそが「おわら風の坂道」と呼ばれる由来であり、ポタリングのハイライトのひとつです。

町ごとに違う顔を持つ八尾の通りたち

越中八尾は一つの通りだけでなく、いくつかの町が集まって形成されており、それぞれ異なる歴史と表情を持っています。諏訪町が石畳と坂道の景観で知られる一方、鏡町はかつて花街として栄えた通りで、昭和の中頃までは多くの芸妓が行き交っていたと伝わります。今も残る建物の意匠に、当時の華やかさを偲ばせる細部が見て取れます。

上新町には老舗の和菓子店が軒を連ねており、おわらにちなんだ名前を冠した和菓子が並ぶ様子は旅の途中の楽しみになります。天満町をはじめとする各町にも、それぞれの生業や歴史に根ざした町家建築が残っており、自転車で少し足を延ばすだけで町ごとの違いを比べながら巡れるのは、徒歩の観光にはないポタリングならではの魅力です。江戸時代、飛騨と越中を結ぶ交通の要衝だった八尾は、養蚕や生糸の取引、手すき和紙の製造、木炭の生産によって町人文化が花開き、豪商たちが競うように家を構えたことで今に残る町並みが形作られていきました。

八尾曳山展示館と桂樹舎、立ち寄りたい二つの施設

町並み散策と合わせて訪れたいのが八尾曳山展示館です。八尾町人の財力を物語る絢爛豪華な曳山三台が常設展示されており、彫刻、彫金、漆工、金箔など日本の伝統工芸の粋を集めた美術工芸品として富山県の文化財に指定されています。館内には、かつて八尾の主要産業だった養蚕に関する資料を展示するコーナーもあり、町の成り立ちを知る手がかりになります。毎月第2・4土曜日には「風の盆ステージ」が開催され、三味線や胡弓の生演奏とともにおわらの踊りを鑑賞できる機会もあるので、訪問の際は開催日を確認しておくとよいでしょう。

もう一つ立ち寄りたいのが、井田川沿いにある「桂樹舎」です。富山県の伝統工芸品である越中和紙のうち、八尾和紙を今なお製造している唯一の工房で、製紙部門と染色部門に分かれ、すべての工程が職人の手作業による分業で行われています。型染めの技法を用いた和紙はポストカードや文庫箱、ノートなど多彩な製品に姿を変えており、実際に工房を見学したり店頭で作品に触れたりすることで、八尾の産業と美意識の結びつきを肌で感じられます。

おわら風の盆と八尾曳山祭り、二つの祭礼

越中八尾の名を全国区にしたのが「おわら風の盆」です。毎年9月1日から3日にかけて開催されるこの行事は、およそ300年前から受け継がれてきた伝統行事で、期間中には全国から20万人を超える観光客が訪れます。編笠を深くかぶった踊り手たちが、三味線と胡弓が奏でる哀切な旋律に合わせてしなやかに踊りながら町を流し歩く光景は、一度見ると記憶に強く残ります。ぼんぼりの灯りが一つ、また一つと灯っていく様子は、昼間に自転車で巡った町並みが夜には全く違う表情を見せることを教えてくれます。

風の盆本番以外の時期にも雰囲気の一端に触れられる機会があります。例年10月上旬の二日間で開催される「月見のおわら」では、9月の本番よりも落ち着いた雰囲気の中で優美な踊りをじっくり鑑賞できます。祭りの熱気とは異なる、静かで奥行きのある魅力を味わいたい人にはこちらもおすすめです。

一方、春には「八尾曳山祭り」が町を彩ります。1740年代から受け継がれてきたこの祭礼行事は毎年5月3日に開催され、高さ約7.5メートル、重さ約4トンにもなる豪華な曳山が町を巡行します。彫刻や彫金、漆工、金箔といった美術工芸の粋を凝らした曳山は、生糸や蚕種、和紙、木炭の生産と取引で栄えた八尾商人たちの財力と美意識の結晶で、風の盆とはまた違った角度から町の歴史を体感できる機会です。曳山そのものは八尾曳山展示館で年間を通じて見学できるので、祭りの時期を逃してもその迫力を確かめられます。

八尾曳山の起源は寛保元年、西暦1741年にさかのぼるとされ、上新町が花山をつくり、その上に富山藩から拝領した在原業平の人形を飾って曳き回したのが始まりと伝わっています。その後、東町、西町、今町、諏訪町、下新町も次々と曳山を製作し、財力を競い合うように装飾を凝らしていった結果、六つの町がそれぞれに豪華な曳山を持つようになりました。毎年5月3日に行われる八幡社の春季祭礼では、神輿の巡行に随伴する形で六基の曳山が町を練り歩きます。当日は町の中心にある古刹・聞名寺でも獅子舞の奉納が行われ、朝9時30分頃から曳山の曳き出しが始まります。聞名寺は正応3年、西暦1290年の建立と伝わる浄土真宗本願寺派の寺院で、八尾の町の中でもひときわ大きな伽藍を構えており、遠くからでも存在を確認できるほどです。毎月16日の午後には本堂でおわらの奉納が行われるなど、年間を通して八尾の信仰と文化の中心であり続けています。

おわら風の盆の踊りは、大きく分けて豊年踊り、男踊り、女踊りの三種類から成り立っています。男踊りは力強さの中にしなやかさを備え、農作業の所作をもとに振り付けられたとされる勇壮な踊りです。対して女踊りは、俳人・小林放庵が八尾の四季を詠んだ「八尾四季」に合わせて振り付けられた艶やかで優雅な踊りで、両者の対比がおわらの舞台に奥行きを与えています。これらの踊りを彩るのが胡弓の音色です。哀調を帯びた胡弓の調べに三味線とおわら唄を重ねる工夫が重ねられ、今耳にする独特の哀愁を帯びた囃子が生まれました。おわら風の盆は徳島の阿波おどり、山形の花笠まつりと並んで「日本三大流し踊り」の一つに数えられています。

おわら三味線体験とボランティアガイドで町を深く知る

祭りの踊りや音色を見るだけでなく、実際に楽器に触れてみたい人には「おわら三味線体験」もおすすめです。越中八尾おわら保存会の講師がレクチャーを行うプログラムで、三味線に触れたことのない初心者から日頃からたしなんでいる経験者まで、それぞれのペースに合わせて手ほどきしてもらえます。体験ではおわら節の基礎となる「ころがし」という奏法を練習します。おわらの三味線は「探り弾き」と呼ばれる独特の演奏法を用い、弦を押しつけながらなでるように弾くことで重厚なリズムを生み出しているそうです。プログラムには大型スクリーンによる約10分の映像鑑賞も含まれており、おわらと共に暮らす八尾の人々の様子や踊りの映像を通して、町の文化的な背景への理解を深められます。

自転車で自由に町を巡るポタリングも魅力的ですが、八尾の歴史や文化的背景をより深く知りたい場合は、観光ボランティアガイド「越中八尾 風の案内びと」を利用するのも一つの方法です。おわら風の盆や八尾曳山祭りの舞台となる旧町エリアを、石畳の道と白壁、格子戸の町並みを眺めながらゆっくり案内してもらえます。訪れる人数や希望する時間に合わせてコースを調整してくれる「おもてなし企画」にも対応しているとのことなので、ポタリングの前後に徒歩ガイドを組み合わせ、自転車では気づきにくい路地の奥や小さな史跡まで教えてもらうという楽しみ方もできます。利用を希望する場合は、事前に富山市観光協会や越中八尾観光協会へ問い合わせておくと当日の案内がスムーズです。

坂道ポタリングの合間に休むカフェと温泉

ポタリングの合間の休憩には、越中八尾駅周辺や旧町エリアに点在するカフェや飲食店が便利です。町家をそのまま活用した趣のあるカフェも点在しており、坂道を上り下りした後に一息つくのにぴったりです。その代表格が、明治5年に建てられた商家を再利用した体験型施設「越中八尾ベース OYATSU」です。蔵、紡、織、結と名付けられた4棟の建物で構成され、旅人と地元の人々が交流する拠点として自家焙煎のコーヒーや季節ごとの自家製ドリンクを味わえるほか、シーシャを楽しめる空間も設けられています。蔵のスペースは音楽イベントや作品展示、記念撮影など多目的に使われており、宿泊機能も備えているため、ポタリングの拠点として一泊してじっくり八尾を味わうという過ごし方もできます。地元産の食材を生かした軽食やそば、川魚料理を提供する店もあり、井田川の清流に育まれた食文化に触れられます。訪問前には最新の営業日や営業時間を各店舗の公式情報で確認しておくと、当日の計画が立てやすくなります。

坂の多い八尾の町を自転車で巡ったあとには、日帰り入浴施設で汗を流すのもおすすめです。越中八尾駅からアクセスできる「八尾ゆめの森 ゆうゆう館」では、八尾ゆめの森温泉と角間温泉をミックスした湯が楽しめます。日帰り入浴は大人650円、小学生330円、未就学児は無料というリーズナブルな料金設定で、営業時間は10時から21時まで、最終受付は20時30分です。定休日は水曜日で、祝日にあたる場合は翌日が休みとなるほか、おわら風の盆期間中の9月1日から3日は営業していない点に注意が必要です。越中八尾駅からは市営バスの環状線で17分ほど、車であれば9分ほどの距離にあり、レンタサイクルで訪れる場合は坂道が続くルートになるため、電動アシスト付きの自転車が利用できるかどうかを事前に確認しておくと快適です。

高山本線で行くポタリングのモデルコースは半日で回れる

実際に高山本線を利用した日帰りポタリングのモデルコースを紹介します。まず富山駅からJR高山本線に乗り、越中八尾駅で下車します。駅から徒歩、または観光協会でレンタサイクルを借りて町の中心部へ向かいます。最初に井田川沿いの道を走り、対岸から石垣の坂道を見上げる形で全体の景観を眺めるのがおすすめです。そこから坂を上り、諏訪町本通りへ。石畳の感触を確かめながらゆっくりと自転車を押して歩き、格子戸の家並みとエンナカの水音を楽しみます。

続いて鏡町、上新町、天満町など周辺の通りを自転車で巡り、それぞれの町の異なる表情を比べながら散策します。上新町では老舗和菓子店に立ち寄り、小休止を兼ねて名物の和菓子を味わうとよさそうです。その後、八尾曳山展示館へ立ち寄り、絢爛豪華な曳山と養蚕関連の資料を見学。時間が合えば「風の盆ステージ」の生演奏も楽しめます。

さらに足を延ばして井田川沿いの桂樹舎へ向かい、八尾和紙の手仕事に触れます。工房見学や店頭での買い物を楽しんだ後は、来た道を戻って町の中心部で遅めの昼食や休憩を取り、再び越中八尾駅から高山本線に乗って富山駅へ戻る、というのが半日から一日で楽しめる標準的なコースです。健脚な人であれば周辺の里山方面へさらに走りを伸ばすこともできますが、坂道が多い地形のため、電動アシスト付きの自転車を利用できるかどうかも事前に観光協会へ確認しておくと快適さが変わってきます。

祭りの時期に八尾を訪れる際の注意点

おわら風の盆の期間中である9月1日から3日にかけては、全国から20万人を超える観客が八尾に集まるため、町全体が一年で最も混雑する三日間になります。この時期に自転車でのポタリングを計画する場合は、通行規制や交通整理が敷かれるエリアがあることを念頭に置き、観光協会や公式サイトが発表する最新情報を確認しておく必要があります。年によっては本番前に「前夜祭」が開催され、静かに気分が高まっていく町流しや輪踊りを楽しめることもありますが、開催の有無は年によって異なるため事前確認が欠かせません。

初めて風の盆を訪れる場合、屋外での町流しは人出が多く見えづらいこともあるため、八尾曳山展示館のホールで開催される屋内の競演会ステージを利用するのも一つの方法です。本番の期間中は9月1日から3日の各日、17時、18時、19時、20時の回に分けて踊りの解説と舞台踊りの鑑賞ができる「おわらステージ」が1公演1,500円で開催されており、混雑を避けてじっくりと踊りの美しさを堪能できます。自転車で町を巡ったあとの一休みも兼ねて立ち寄る価値がありそうです。風の盆の本番とは別に、富山駅前のオーバード・ホールでは「越中八尾おわら風の盆 前夜祭 -劇場版-」という舞台公演が企画される年もあり、語りで紡ぐおわらの物語と実演で見せる越中おわら節の二部構成で、大人1,000円、子ども500円という料金で鑑賞できます。開催の有無や日程は年によって異なるため、訪問前に富山市や観光ナビの公式サイトで最新情報を確認しておいたほうがよいでしょう。宿泊を伴って訪れる場合は、八尾町近隣の宿泊施設が祭りの時期に合わせた特別プランを用意していることもあるので、早めに予約状況を確認しておくと安心です。

富山市街と組み合わせる一日プラン

越中八尾でのポタリングを富山市街の観光と組み合わせるのもおすすめです。富山駅から徒歩9分ほどの場所にある富岩運河環水公園は、歴史ある運河の船だまりを生かした美しい水辺空間で、公園のシンボルである天門橋からの眺めや噴水広場、富岩水上ラインによる運河クルーズが楽しめます。園内には世界一美しいといわれるスターバックスコーヒーの店舗もあり、旅の合間にひと息つくのにぴったりの場所です。

日帰りで越中八尾と富山市街の両方を楽しみたい場合は、午前中に富山駅周辺で環水公園を散策し、午後から高山本線に乗って越中八尾へ向かい、レンタサイクルで坂の町をゆっくり巡って、夕方の便で富山駅へ戻るという一日プランが組みやすくなります。逆に朝一番の便で越中八尾へ向かい、午前中に町並みと曳山展示館、桂樹舎を巡ってから、昼過ぎに富山駅へ戻って環水公園やその周辺の飲食店で食事を楽しむという順序も無理のない行程です。どちらの順序で回るにしても、高山本線の運行本数が都市部の路線ほど多くない点を踏まえ、事前に時刻表を確認したうえで余裕のあるスケジュールを組むことが、快適なポタリングにつながります。

四季で変わる坂の町の表情

越中八尾の魅力は祭りの時期に限りません。初夏には山々と町並みを彩る新緑が美しく、井田川の清流とともに爽やかな空気の中でのポタリングが楽しめます。秋には周辺の山々が色づき、石畳の坂道と紅葉の組み合わせが独特の風情を醸し出します。冬には雪化粧をした格子戸の家並みが静けさに包まれ、エンナカの水音がいっそう際立つ季節になります。豪雪地帯ゆえの生活の知恵が随所に残る町だからこそ、雪の季節に訪れると、この町がどのようにして坂の景観を維持してきたのかを実感できるはずです。四季それぞれに異なる魅力があるので、何度訪れても新しい発見がある町だと言えそうです。

木造の駅舎に降り立ってから、石垣の坂道を上って諏訪町本通りに至るまでのわずかな道のりの中に、水害と向き合ってきた人々の知恵と、養蚕や和紙づくりで栄えた商人文化の記憶が幾重にも重なっています。石垣の上に築かれた坂の町、日本の道100選に選ばれた諏訪町本通り、エンナカの水音、曳山展示館や桂樹舎に息づく職人の技。これらはすべて、地形と水害という制約の中で人々が積み重ねてきた工夫の結果です。富山駅から一時間もかからずに訪れられるこの町を、ポタリングという形でゆっくり味わってみてはどうでしょうか。徒歩よりも広い範囲を、車よりもゆっくりとしたスピードで巡れる自転車は、越中八尾という坂の町の魅力を見つけるのに向いた移動手段だと思います。

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