福島県郡山市の磐梯熱海温泉では、レンタサイクルを使ったポタリングで温泉街を巡りながら、秋には近郊のコスモス畑まで足を延ばせます。磐梯熱海温泉観光協会が案内する「磐梯熱海あったか満喫ゆるポタルート」は全長約15キロメートルで、神社や足湯、カフェを自転車で巡る周遊コースです。東京から新幹線と磐越西線を乗り継いで2時間ほどで到着でき、日帰りでも一泊二日でも楽しめる距離にあります。この記事では、温泉街のポタリングコースと、あわせて訪れたい布引風の高原のコスモス畑、温泉街のグルメや宿の情報をまとめて紹介します。

磐梯熱海温泉は郡山市北西部にある800年の歴史を持つ美肌の湯
磐梯熱海温泉は、福島県郡山市の北西部、桃見川沿いに広がる温泉地です。JR磐越西線の磐梯熱海駅を中心に旅館が立ち並び、磐梯高原観光の拠点としても利用されています。開湯は約800年前と伝えられており、南北朝時代に病を患った萩姫が不動明王のお告げによってこの湯に入ったところ病が快方に向かったという言い伝えが残っています。この逸話にちなんで「美人をつくる湯」と呼ばれるようになり、月岡温泉、いわき湯本温泉と並ぶ「磐越三美人湯」の一つに数えられ、名湯百選にも選ばれています。
温泉街は磐梯熱海駅のすぐそばに広がるエリアと、五百川に沿って旅館が建ち並ぶエリアの二つに分かれています。五百川の渓谷沿いにある温泉街は比較的歴史が古く、20数軒の旅館が現在も営業を続けています。渓流の音を聞きながら宿へ向かう道のりには、時代を超えて受け継がれてきた温泉地らしい風情が漂います。
温泉街には歴史を感じさせる名所も点在しています。不動の滝や湯泉神社、源泉ロマンコースにある深沢の名水処は、散策やポタリングの途中に立ち寄りたい場所です。大山祇神社は複数回の遷宮を経ており、大正11年の遷宮では東京の羽田から穴守稲荷神社を分神し、従来の大山祇神社と合祀しました。温泉街の一角にある源泉神社は、温泉と森林、そして豊かな実りに感謝を捧げる場として地元の人たちに大切にされています。
東京から新幹線と磐越西線でアクセスできる立地の良さ
東京方面から磐梯熱海温泉へ向かう場合、JR東北新幹線で郡山駅まで移動し、そこから磐越西線に乗り換えて快速で約13分です。郡山駅からは磐越西線で約15分、駅から温泉街の中心部までは徒歩3分ほどで到着します。車を利用する場合は、東北自動車道の郡山ジャンクションから磐越自動車道を経由して約12分と、こちらもアクセスは良好です。首都圏から日帰りで訪れる人も多く、新幹線を使えば移動の負担が少ないまま温泉街をゆっくり楽しめます。
泉質はアルカリ性単純温泉で美肌の湯として親しまれている
磐梯熱海温泉の泉質はアルカリ性単純温泉です。この泉質には皮膚の角質を柔らかくする働きがあるとされ、古くから美肌の湯として親しまれてきました。神経痛や関節痛、うちみ、くじき、冷え症、疲労回復、切り傷など、幅広い効能が挙げられており、やけどや外傷、皮膚病にも良いとされる名湯として知られています。日帰り入浴を受け付けている旅館も多いため、宿泊しなくても温泉街を歩きながら気軽に立ち寄り湯を楽しめます。
単純温泉は日本にある温泉の中でもっとも数が多い泉質で、含有成分の量が一定の基準に届いていないぶん刺激が少なく、高齢者や子ども、肌の敏感な人にも向いているとされています。筋肉疲労や冷え性、不眠といった症状に適した泉質として知られており、湯あたりも少ないため温泉に慣れていない人にも向いています。含有成分が微量なぶん、じっくりと時間をかけて浸かるのが向いた温泉です。pH8.5以上のアルカリ性単純温泉は、肌の角質を柔らかくして滑らかな肌触りに導くとされる「美肌の湯」として親しまれており、磐梯熱海温泉もこの分類にあたります。
郡山市は福島県中部に位置する東北地方の主要都市で、猪苗代湖や磐梯高原へ向かう観光の入口として機能しています。磐梯熱海温泉は郡山の奥座敷と呼ばれる立ち位置にあり、高級感のある和風旅館や近代的な大型旅館が立ち並ぶ温泉地として、猪苗代湖や磐梯高原へ向かう旅の拠点になっています。
温泉街でのポタリングは「あったか満喫ゆるポタルート」で15キロを周遊する
磐梯熱海での楽しみ方の一つが、自転車でのんびりと街を巡るポタリングです。ポタリングとは、本格的なサイクリングとは違い、目的地を決めずにゆっくりと自転車で散策することを指す言葉で、温泉地の風情を味わいながら移動できる手段として人気が高まっています。歩くよりも行動範囲が広がり、車よりも小回りが利くので、温泉街の細い路地や川沿いの遊歩道など、車では入りにくい場所にも気軽に立ち寄れます。
磐梯熱海温泉観光協会は「磐梯熱海あったか満喫ゆるポタルート」という約15キロメートルのコースを案内しています。このコースは、温泉の町・磐梯熱海周辺に点在する神社やおしゃれな雑貨店、カフェ、地域のグルメを味わいながら巡れるルートで、心も体もゆったりとポカポカになれると紹介されています。初心者でも迷わず楽しめるようイラストマップも用意されているので、土地勘のない旅行者でも安心して自転車散策に挑戦できます。
秋の澄んだ空気の中、温泉街の坂道や川沿いの道を風を感じながら走る時間は、旅の思い出をより豊かなものにしてくれます。温泉街を流れる五百川の渓流沿いを歩けば、四季折々の自然の移ろいとほのかに香る硫黄の匂いが、温泉地ならではの情緒を醸し出します。秋には川沿いの木々が色づき始め、ポタリングの道中にも季節の変化を感じられます。
ポタリングという言葉は1950年代にはすでに使われており、「ぶらつく」という意味の英単語「Potter」が語源とされています。距離や時間に決まった制限や競技的な要素がない点が、スポーツ要素の強いサイクリングとの大きな違いです。1人でも、サイクリングに慣れていない人や運動が苦手な人と一緒でも、心地よい速度で気の向くままに探索を楽しめるので、服装に決まりがないことも含めて気軽に始めやすい点が人気の理由になっています。温泉街のような歴史ある町並みを巡るのに、この気負わない移動手段はよく合います。
レンタサイクルは60分300円、電動アシストは1時間500円で借りられる
レンタサイクルの料金は、通常の自転車が60分300円で、延長は1時間につき100円です。坂道が多い温泉街でも楽に走行できる電動アシスト自転車は、1時間500円、延長は1時間につき100円で用意されています。貸し出しは「郡山ユラックス熱海」と「ゆとりろ磐梯熱海」の2施設で行われており、ロードバイクの貸し出しにも対応しています。体力に自信のない人や小さな子ども連れの場合は、電動アシスト自転車を選ぶと無理なく楽しめます。
利用料金の目安をまとめると、以下のとおりです。
| 種類 | 料金 | 延長料金 |
|---|---|---|
| 通常のレンタサイクル | 60分300円 | 1時間につき100円 |
| 電動アシスト自転車 | 1時間500円 | 1時間につき100円 |
磐梯熱海観光物産館が入る熱海多目的交流施設「ほっとあたみ」周辺を起点にすれば、観光案内やお土産探しと合わせてポタリングの計画を立てやすくなります。物産館では福島県や郡山の銘菓、地元野菜、加工品、地酒など幅広い商品を扱っており、走り出す前や走り終えた後に立ち寄るのにも適しています。
布引風の高原のコスモスは8月下旬から10月中旬が見頃
磐梯熱海周辺で秋の花といえば、郡山市南部に広がる布引風の高原のコスモス畑です。猪苗代湖の南、標高およそ1000メートルに位置するこの高原では、磐梯山と猪苗代湖を望む雄大な景観と、日本最大級の風力発電施設が並ぶ独特の風景が広がります。33基もの巨大な風車が立ち並ぶ姿は迫力があり、見る場所や角度によって風車の背景が猪苗代湖に変わったり、青空に変わったりと表情を変えるのも魅力です。
花の見頃は季節ごとに移り変わり、春には菜の花、夏にはひまわり、そして秋にはコスモスが一面に咲き乱れます。コスモスの見頃は例年8月下旬から10月中旬ごろとされ、ピンクや白、赤紫のコスモスが高原を彩ります。コスモスの淡い色合いと、白く大きな風車、その奥に広がる猪苗代湖や磐梯山という組み合わせは、他の花畑ではなかなか味わえない景観をつくり出しています。花と風車を同時に眺めながら歩けるウォーキングコースも整備されており、多くの観光客でにぎわいます。
アクセスは磐梯熱海駅から車で約50分、冬季は閉鎖される
布引風の高原へは、JR東北新幹線郡山駅から車で約80分、JR磐越西線磐梯熱海駅からは車で約50分です。東北自動車道の郡山中央スマートICからは車で約60分、磐越自動車道の磐梯熱海インターチェンジからは車で約50分というアクセスになります。磐梯熱海温泉に宿泊し、翌日に足を延ばして高原を訪れるプランを組めば、無理なく両方のスポットを楽しめます。積雪のため12月から4月下旬までは閉鎖されるので、秋のコスモスシーズンに訪れる際は、事前に開園状況を観光協会や施設のウェブサイトで確認しておくと安心です。標高が高いエリアのため平地よりも気温が低くなる点にも注意し、羽織るものを一枚多く持参することをおすすめします。
猪苗代湖一周60キロの「イナイチ」は本格サイクリング派の定番
温泉街でのポタリングだけでなく、もう少し本格的に自転車を楽しみたい人には、猪苗代湖を一周する「イナイチ」というサイクリングルートも選択肢になります。磐梯朝日国立公園内に位置する猪苗代湖を一周するこのコースは、迫力ある磐梯山の姿や、水面に手が届きそうなほど近い湖岸など、変化に富んだ景色を楽しめるのが魅力です。
コースの全長は約60キロメートルで、適度なアップダウンがあるため初心者から上級者まで、それぞれのレベルに応じて楽しめます。一周に挑戦するのはもちろん、湖岸の一部だけを軽く走るという楽しみ方もでき、サイクリストだけでなく一般の観光客にも親しまれています。反時計回りに走ると、湖面を望みながら磐梯山を仰ぐ形になり、風光明媚な景色の中で気分も自然と高まっていくという声もあります。
コース上には、旧千円札の肖像でも知られる猪苗代町出身の世界的医学者、野口英世にゆかりのある記念館もあり、サイクリングの休憩がてら立ち寄れます。イナイチを走ったあとは、少し足を延ばして磐梯熱海温泉に宿泊し、こわばった脚を美肌の湯でゆっくりとほぐすという組み合わせも人気です。温泉街の手軽なポタリングと、本格的な湖一周サイクリングという二つの選択肢を旅程に応じて使い分けられるのも、このエリアの魅力です。
足湯とケヤキの森は温泉街散策で立ち寄りたい定番スポット
磐梯熱海温泉の魅力は、宿での入浴だけにとどまりません。温泉街には足湯が3か所あり、気軽に温泉気分を味わえます。その一つは磐梯熱海駅前にあり、駅から徒歩1分もかからない好立地です。電車の待ち時間などにふらりと立ち寄れる便利さから、観光客にも地元の人にも親しまれています。
もう一つの見どころが「ケヤキの森足湯」です。平成16年10月にオープンしたこの足湯は源泉場の入口に位置し、磐梯熱海温泉の豊富な湯量をかけ流しで提供しています。地元住民が毎朝清掃を行っているとのことで、地域に大切にされている施設であることが伝わってきます。
温泉街の裏山にあたる蓬山には散策路が整備されており、樹齢300年、直径2メートルを超えるケヤキの群生地を見られます。湯上がりにぶらりと歩くのにふさわしいコースとして紹介されており、自然の中で爽やかな風を感じながらゆったりとした時間を過ごせます。
温泉街のグルメとカフェ巡りはポタリングの合間の楽しみ
ポタリングや散策の合間に立ち寄りたいのが、温泉街に点在するグルメスポットやカフェです。磐梯熱海駅周辺には、味噌ラーメンや居酒屋など、地元で愛される飲食店が軒を連ねています。街道沿いには名物のけんちんうどん、とんかつ、手打ちの生そばなど、素朴で温かみのある食事を提供する店も多く、旅の途中の腹ごしらえにぴったりです。
カフェ巡りも温泉街散策の楽しみの一つです。住宅街には香ばしいマフィンが評判のカフェや、スペシャリティコーヒーの飲み比べができる店があります。アンティーク家具に囲まれた落ち着いた空間で、磐梯山の龍ヶ沢の湧き水を使うなど、素材にこだわりを持つカフェも存在します。駅前には「湯koriカフェ&バー」があり、ランチ利用にも便利です。
雑貨店では、地元の職人による工芸品や、温泉地ならではのお土産を扱う店が点在しています。ポタリングルートに組み込まれた雑貨屋を巡りながら、旅の記念になる品を探すのも楽しみ方の一つです。観光物産館「ほっとあたみ」では、福島県や郡山の銘菓、地元野菜、加工品、地酒など幅広い商品が並んでおり、お土産選びの拠点としても重宝します。
源泉かけ流しの露天風呂付き宿は熱海荘や四季彩一力が人気
温泉街に点在する旅館には、それぞれ個性豊かな魅力があります。「熱海荘」は自然に囲まれた静けさの中に佇む宿で、露天風呂と大浴場を備え、風情のある和室でくつろげます。客室露天風呂付きの宿もあり、柔らかな肌ざわりの源泉かけ流しの湯を部屋にいながら独り占めできるうえ、懐石料理の評判も高いです。
五百川のほとりに佇む「四季彩一力」も人気の宿の一つで、露天風呂付き客室では源泉かけ流しの温泉を部屋で味わえます。渓流のせせらぎを聞きながら湯に浸かる時間は、旅の疲れをゆるめてくれます。
日帰り入浴に対応する施設も充実しており、中には13種類の露天風呂と6種類の内風呂を備えた大規模な施設もあります。サウナや貸切展望風呂を用意する宿もあり、宿泊しなくても磐梯熱海の柔らかな泉質を気軽に体験できます。ポタリングで汗をかいたあとに立ち寄り湯で汗を流すという楽しみ方も、この温泉地ならではの過ごし方です。
秋の一日モデルプランはポタリングとコスモス畑を組み合わせる
磐梯熱海温泉を拠点に、コスモスとポタリングを組み合わせた秋の一日を組み立ててみます。
午前中は、レンタサイクルを借りて「磐梯熱海あったか満喫ゆるポタルート」を走り、温泉街に点在する神社や足湯、雑貨店を巡ります。駅前の足湯で一息ついたあと、ケヤキの森足湯にも立ち寄り、地元住民に大切にされている湯にゆっくりと足を浸します。
昼食は、街道沿いの食堂でけんちんうどんや手打ちそばを味わうか、住宅街の隠れ家的なカフェでランチを楽しむのも良い過ごし方です。腹ごしらえを終えたら、車で布引風の高原まで足を延ばし、一面に広がるコスモス畑と磐梯山、猪苗代湖の景色を楽しみます。標高1000メートルの高原に吹く秋風は、平地とは違う清々しさを感じさせてくれます。
夕方には温泉街に戻り、宿の温泉でその日の疲れを癒します。美肌の湯として知られるアルカリ性単純温泉に浸かれば、ポタリングと散策で歩き回った体もじんわりとほぐれていきます。夜は蓬山の散策路を軽く歩き、ケヤキの群生地の静けさを味わうのも良い締めくくりになります。
レンタサイクルの予約は郡山ユラックス熱海とゆとりろ磐梯熱海の2施設で受け付ける
磐梯熱海温泉への旅を計画する際は、まず宿泊先の日帰り入浴対応やレンタサイクルの取り扱い状況を事前に確認しておくと安心です。レンタサイクルは「郡山ユラックス熱海」と「ゆとりろ磐梯熱海」の2施設で扱っているため、事前に営業時間や在庫状況を問い合わせておくと当日スムーズに動けます。
コスモスの見頃は年によって多少前後するため、布引風の高原への訪問を計画する場合は、直前に最新の開花状況を観光協会や施設のウェブサイトで確認しておくことをおすすめします。温泉街のポタリングは平坦な道だけでなく坂道も含まれるため、体力に自信のない人や小さな子ども連れの場合は、電動アシスト自転車の利用を検討すると良いでしょう。1時間500円というリーズナブルな価格で借りられるため、無理なく楽しむための選択肢として有効です。
秋は紅葉や花の景色と温泉をあわせて楽しむ旅行の需要が高まる時期です。景色を歩いたり自転車で巡ったりして体を動かしたあとに湯へ浸かるという組み合わせは、季節の変化を肌で感じられる過ごし方として人気があります。磐梯熱海温泉も、ポタリングで温泉街を巡り、布引風の高原まで足を延ばしてコスモスを眺め、最後に宿の湯で一日を締めくくるという流れが、この季節ならではの楽しみ方といえます。
秋の磐梯熱海温泉は、美肌の湯にゆったりと浸かりながら、自転車での温泉街散策と、少し足を延ばした先に広がるコスモスの景色を組み合わせて楽しめる旅先です。首都圏からのアクセスの良さもあり、日帰りでも一泊二日でも、それぞれのペースで秋の風情を味わえるスポットとしておすすめできます。








