福島市の西部、吾妻連峰と安達太良連峰の山あいにある土湯温泉は、東北三大こけし発祥の地のひとつに数えられる、こけしの里として知られる温泉地です。荒川の渓谷沿いに旅館や公衆浴場が並び、公衆浴場や足湯を巡る湯めぐりに加えて、電動アシスト自転車を使ったポタリングの拠点としても利用が広がっています。福島駅からバスで約45分というアクセスの良さもあり、日帰りでも1泊2日でも、こけしの絵付け体験と湯めぐり、ポタリングを組み合わせた旅程を組みやすいのが特徴です。この記事では、土湯温泉の歴史やこけし文化、公衆浴場や宿の湯めぐり情報、ポタリングで巡れる周辺スポット、アクセス方法までをまとめました。

土湯温泉は東北三大こけし発祥の地で開湯1400年を超える歴史を持つ
土湯温泉は、福島県福島市の西部、吾妻連峰と安達太良連峰の山あいに位置し、荒川の渓谷沿いに旅館や公衆浴場、飲食店が軒を連ねる温泉地です。福島駅からバスで内陸へ向かうにつれて、山の空気が濃くなっていくのを肌で感じられる立地にあります。隣接する高湯温泉と合わせて「土湯・高湯温泉郷」と呼ばれ、日本温泉協会にも名を連ねる歴史ある湯治場です。
開湯にまつわる伝説はいくつか伝わっています。大己貴命が荒川のほとりで鉾を地面に突き立てたところ温泉が湧き出し、「突き湯」がのちに「土湯」に転じたという言い伝えがそのひとつです。用明天皇2年、西暦587年には、聖徳太子の使者だった秦河勝が東国への旅の途中で病に倒れ、夢枕に立った聖徳太子から岩代国の突き湯に霊泉ありと告げられて湯治をしたところ全快したという言い伝えも残っています。どちらの伝説を採るにしても、1400年以上の歴史を持つ東北屈指の古湯であることに変わりはありません。
東日本大震災後はバイナリー発電所が年間830世帯分の電力を生む温泉町に
土湯温泉は東日本大震災で大きな打撃を受けました。震源からは距離があったものの、およそ70キロ離れた福島第一原子力発電所の事故によって、観光客の足が遠のいてしまったのです。震災後、地元有志が設立した「元気アップつちゆ」という会社が中心となり、温泉街の再生事業として地熱発電と小水力発電の導入を進めました。2015年11月には「土湯温泉16号源泉バイナリー発電所」が運転を開始し、出力400キロワット、年間およそ830世帯分の電力をまかなえる規模の発電を実現しています。
発電に使った後の排熱はエビの養殖にも活用されており、温泉の恵みを循環させる仕組みが評価されて、国連広報センターのブログでSDGsの好事例として紹介されたこともあります。発電施設の周辺には見学しやすい学習施設も整備され、震災の翌年以降、県内外から多くの視察者が訪れました。そのうちの多くが実際に温泉街の宿に宿泊しており、視察や研修、教育旅行の受け入れが地域経済の下支えにもつながっています。土湯温泉観光協会はNPO法人として、「足下を掘れ、そこに泉あり」という開湯伝説にちなんだ言葉を掲げながら、持続可能な地域づくりを継続的に発信しています。街を歩きながら、震災を乗り越えて生まれ変わった温泉町の歩みに触れてみるのも、この土地を訪れる楽しみのひとつでしょう。
土湯こけしは蛇の目とカセの模様が特徴で9人の工人が今も手作業で挽く
土湯温泉は、宮城県の鳴子・遠刈田と並んで東北三大こけし発祥の地のひとつに数えられています。現在も9人のこけし工人が伝統の技を受け継いでおり、木地師によって一本一本手作業で挽かれる土湯こけしには、他産地にはない独特の意匠があります。
土湯こけしの大きな特徴は、頭部にある「蛇の目」と呼ばれる黒い輪の模様と、前髪の両側にある赤い髪飾り「カセ」、そして胴体に描かれる赤・黄・緑の横縞模様です。頭部の軸を胴体の穴に差し込む「はめ込み式」という製法で作られており、頭を回すと「キリキリ」という音が鳴るのも土湯こけしならではの楽しみです。温泉街には「薬師こけし堂」をはじめ、こけし工人の工房を見学できるスポットが点在し、ろくろを回す様子を間近で見学したり、絵付け体験に挑戦したりすることができます。
近年は「こけ女」と呼ばれる、こけしを愛でる女性ファンが増えています。伝統工芸品としての堅いイメージだけでなく、丸みを帯びたフォルムや素朴な表情、手のひらに収まるサイズ感が若い世代にも受け入れられるようになり、土湯温泉でもこけし文化をめぐる街歩き企画や、写真映えするスポットづくりが進められてきました。工人が一本一本ろくろで挽き上げる様子を見学したあとに絵付けをしてみると、模様ひとつにも繊細な技術が必要だとよく分かります。
2026年の土湯こけしまつりは記念すべき第50回を迎えた
土湯温泉では毎年6月に「土湯こけしまつり」が開催されており、2026年は記念すべき第50回を迎えました。開催日は2026年6月6日と7日の2日間で、土湯温泉町の出張所広場と土湯温泉観光交流館「湯愛歩台」を会場に、午前9時30分から午後5時まで、入場無料・予約不要で行われました。長きにわたって受け継がれてきたこけし文化の集大成ともいえる祭りなので、来年以降にこの時期へ旅程を合わせて訪れるのもおすすめです。
絵付け体験は970円、こけしパスで湯めぐりの特典も受けられる
絵付け体験は温泉街の複数の施設で気軽に楽しめます。土湯温泉観光交流館「湯愛歩台」内にある「土湯こけし伝承館」では、少人数であれば予約不要で体験でき、料金は1回970円です。10名以上の団体は事前予約が必要で、営業時間は午前9時から午後6時まで、年中無休で受け付けています。同じく町なかの「まつや物産店」でも970円で絵付け体験ができ、スタッフが丁寧に描き方を教えてくれるので、初めてでも1時間ほどでオリジナルのこけしを完成させられます。
温泉街ではさらに「こけしパス」というユニークな周遊企画も用意されています。自分だけの模様を描く絵付け体験を行い、完成させたこけしを片手に温泉街を歩き、そのこけしを見せることで日帰り入浴施設1軒と飲食店3軒で特典が受けられるという仕組みです。単なる湯めぐりではなく、自分の手で作ったこけしと一緒に温泉街を巡る体験は、旅の記念にもぴったりです。
土湯温泉は10種類以上の泉質が楽しめアルカリ性単純温泉は美肌の湯と呼ばれる
土湯温泉のもうひとつの特徴は、ひとつの温泉地でありながら10種類以上の泉質が楽しめるという懐の深さです。肌にやさしい無色透明のアルカリ性単純温泉、保温・保湿の面で評価される炭酸水素塩泉、白濁した湯と硫黄の匂いで秘湯感を味わえる硫黄泉まで、宿ごとに湧き出す源泉の個性が異なります。とりわけアルカリ性単純温泉は刺激が少なく、肌の余分な角質を落とす作用があるとされ「美肌の湯」とも呼ばれており、敏感肌の方でも入りやすい湯として親しまれています。
古くからの言い伝えとしては、神経痛、筋肉痛、五十肩、冷え性、打ち身、切り傷、やけど、皮膚病、アトピー性皮膚炎、婦人病、リウマチなどのほか、筋肉や関節の慢性的な痛みやこわばり、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽度の高血圧、耐糖能異常、軽い高コレステロール血症、軽い喘息、痔の痛み、ストレスによる諸症状、疲労回復や健康増進への効能があるとされてきました。日帰りでさらりと立ち寄るのもよし、宿に泊まって朝晩何度も湯に浸かるのもよし、泉質の違いを入り比べしてみるのも土湯温泉ならではの醍醐味です。
山水荘は8つの湯を持ち川上温泉は開湯400年の秘湯宿
日帰り入浴だけでなく、宿に泊まってこそ味わえる湯もあります。荒川のほとりに佇む「水織音の宿 山水荘」は、福島磐梯朝日国立公園に抱かれた立地を活かし、荒川が育んだ水にこだわった宿として知られています。源泉から湯温60度の湯を毎分約260リットルという豊富な量で引き込み、そこに自然の湧水を加えて入浴しやすい温度に調整しており、泉質はアルカリ性単純温泉です。館内には大浴場から貸切風呂まで趣の異なる8つの湯があり、二段の滝を望む露天風呂や庭園を眺める湯、プライベートに使える貸切風呂まで、湯めぐり気分を館内だけでも味わえます。1階の大浴場には露天風呂とサウナも新設されており、日帰り入浴のプランも用意されているので、宿泊しない旅行者でも立ち寄れます。
温泉街から少し奥に入った「奥土湯 秘湯 川上温泉」は、開湯からおよそ400年という歴史を持つ隠れ湯です。屋内の「立湯・万人風呂」と、半分が洞窟のような造りになっている屋外の「穴湯・半天嵒窟風呂」が男女日替わりで入れ替わる仕組みで、メインの湯船はおよそ長さ10メートル、幅4メートル、最大水深1.2メートル、湯量にしておよそ30トンという大きさです。6本の源泉から57.2度から60.2度の湯が湧き、単純温泉として親しまれています。日帰り入浴も可能なので、日本秘湯を守る会に名を連ねるこの一軒宿を目当てに、少し足を延ばしてみるのもおすすめです。
| 宿名 | 泉質 | 特徴 | 日帰り入浴 |
|---|---|---|---|
| 水織音の宿 山水荘 | アルカリ性単純温泉 | 8つの湯、二段の滝を望む露天風呂 | 可能 |
| 奥土湯 秘湯 川上温泉 | 単純温泉 | 開湯400年、洞窟造りの穴湯が男女日替わり | 可能 |
公衆浴場「中之湯」と3つの足湯で気軽に湯めぐりができる
土湯温泉の湯めぐりの中心となるのが、温泉街のシンボル的な存在である公衆浴場「中之湯」です。2018年にリニューアルされたこの施設は2種類の泉質を楽しめる浴場で、大人500円、小人250円というリーズナブルな料金で日帰り入浴ができます。貸切風呂も1500円で利用でき、家族やカップルでゆったり過ごしたい場合にも重宝します。
中之湯のすぐ脇には、無料で入れる足湯「きぼっこの湯」があります。「きぼっこ」とはこけしの昔ながらの呼び名で、土湯温泉のマスコットキャラクター「きぼっこちゃん」もこの言葉に由来しています。営業時間は午前9時から午後9時まで、定休日は火曜日で、散策の合間に気軽に立ち寄れるのが魅力です。
温泉街には、源泉100パーセントを掛け流しで通年利用できる足湯が全部で3か所あります。きぼっこの湯のほかに、月乃湯橋を渡った先にある上段・下段で温度の違いを楽しめる屋根付きの足湯「月のゆぶじぇ」、そして木製の階段を上った先にある石造りの足湯「土ゆっこ」です。土ゆっこは近くを流れる滝の水音と緑豊かな景観に包まれる、隠れた癒やしスポットとして知られています。この3つをハシゴするだけでも、ちょっとした足湯めぐりの旅程が組めます。
湯めぐりの計画を立てる際は、施設ごとの営業時間や定休日に注意しておくとスムーズです。中之湯やきぼっこの湯は火曜日が定休日となっているため、火曜日に訪れる場合は他の施設を先に組み込んでおくと安心でしょう。温泉街はさほど広くないので徒歩でも十分に湯めぐりができますが、坂道や石段が多い区間もあるため、歩きやすい靴を選んでおくと快適です。荒川の渓流沿いには宿の灯りと湯けむりが重なり合う独特の風情があり、日中の散策とはまた違う表情を夜に見せてくれます。
レンタルEバイクのポタリングは花見山や飯坂温泉まで足を延ばせる
土湯温泉は吾妻・安達太良の山あいという立地から、サイクリングやポタリングの拠点としての利用が増えています。周辺ではレンタルEバイクのサービスがあり、700ccクラスのクロスバイクタイプと、取り回しのしやすい20インチの折りたたみ自転車タイプの2種類から選べます。電動アシストが付いているため、坂道の多い温泉街周辺でも体力に自信のない方や、電動スポーツサイクルが初めての方でも安心して利用できるのが大きな魅力です。
このレンタルEバイクを使えば、土湯温泉を起点に花見山や飯坂温泉、浄土平、磐梯吾妻スカイライン、フルーツラインといった福島市近郊の名所を巡るロングライドも可能です。もちろん、土湯温泉街だけをゆっくり回る短時間のポタリングにもぴったりで、荒川渓谷沿いの道を風を感じながら走り抜けたり、足湯めぐりの合間に自転車で移動したりと、徒歩とはひと味違う旅の楽しみ方ができます。福島市内には「フーバーサイクル」というシェアサイクルサービスもあり、市内であればどこへでも自転車を届けてもらい、どこでも返却できます。土湯温泉から福島市街地へ抜けるロングライドの拠点として活用するのも一案です。
ポタリングの計画を立てる際は、山あいの温泉地という土地柄、朝夕は市街地より気温が低くなりやすい点や、道に上り下りが多い点を踏まえて服装や装備を準備しておくと安心です。電動アシスト付きの車両を選べば、その負担もかなり軽くなります。レンタサイクルの利用時間や返却場所は事業者によって異なるため、事前に公式サイトで営業時間や貸出条件を確認しておくと当日慌てずに済みます。Eバイクは充電の関係でバッテリー残量に限りがあるため、長距離のロングライドを予定している場合は、途中で立ち寄れる休憩スポットや充電が可能な施設もあわせて調べておくと安心でしょう。温泉街の細い路地はすれ違いに気を配る必要がある区間もあるので、観光客や地元の方が行き交う時間帯はスピードを控えめにしてゆったり走るのがポタリングらしい楽しみ方といえます。
仁田沼の水芭蕉と女沼のSUP・カヤック体験も楽しめる
温泉街を少し離れれば、仁田沼に一面10万株余りが咲き誇る水芭蕉の群生地や、幕滝に通じる探勝遊歩道、高湯温泉方面の名勝「不動滝」に続く遊歩道など、自然散策のスポットも豊富です。自転車で移動しながら途中で自転車を降りて遊歩道を歩く、というハイブリッドな楽しみ方も土湯温泉ならではでしょう。
夏場には、温泉街近くの女沼でSUPやカヤックの体験も行われています。ゴールデンウィークから11月末ごろまでの期間限定で、インストラクターが同行する2時間コースは大人が7000円、小学生が5000円、幼児が3000円、犬を連れて参加する場合は1000円が別途必要です。手軽に楽しみたい場合は、ガイドなしで70分間ボードやカヤックを借りられるレンタルプランもあり、SUPが1台3500円、カヤックが一人乗りで2800円、二人乗りで3800円というリーズナブルな設定になっています。体験中に撮影してもらった写真データがプレゼントされるサービスもあるので、ポタリングで体を動かしたあとに水上のアクティビティで違う角度から自然を楽しむのもおすすめです。
秋は男沼・女沼の紅葉、ポタリングの服装は朝晩の気温差に注意
秋には土湯峠周辺や男沼・女沼のハイキングコースが紅葉の名所としても知られ、山肌が赤や黄色に染まる時期には多くのハイカーが訪れます。例年の見頃は10月中旬から下旬にかけてですが、標高が高いぶん平地よりも色づきが早い年もあるため、訪問前に最新の紅葉情報を確認しておくと安心です。ポタリングで温泉街を巡ったあと、時間が許せば紅葉の遊歩道まで足を延ばしてみるのもよいでしょう。
土湯温泉は山あいに位置するため、平地の福島市街地に比べて朝晩の気温が下がりやすい土地柄です。特に春先や秋口にポタリングや足湯めぐりを予定している場合は、日中は汗ばむ陽気でも朝や夕方は羽織るものが一枚あると安心です。温泉街は坂道や石段が多いため、歩きやすいスニーカーなど脱ぎ履きのしやすい靴を選んでおくと、足湯めぐりの際にもスムーズです。レンタサイクルでポタリングを楽しむ予定なら、動きやすいパンツスタイルと、荷物を最小限にまとめられるリュックタイプのバッグがあると快適でしょう。日帰り入浴を何軒か回る計画であれば、タオルを多めに持参するか、各施設でタオルのレンタルや購入ができるかを事前に確認しておくと迷いません。冬場に訪れる場合は、路面の凍結や積雪にも配慮し、滑りにくい靴底の靴を選ぶことをおすすめします。カメラやスマートフォンで足湯や渓谷沿いの景色を撮影する方も多いので、モバイルバッテリーを携帯しておくと一日中歩き回っても安心です。
道の駅つちゆの串こんにゃくとなかや菓子店の饅頭が人気の土産
散策やポタリングで体を動かしたあとは、土湯温泉ならではのグルメも楽しみたいところです。名物のひとつが道の駅つちゆで販売されている手作りの串こんにゃくで、素朴な味わいが疲れた体に染み渡ります。道の駅つちゆ「つちゆロードパーク」は地元の農産物や特産品も揃っており、ポタリングの休憩スポットとしても活用できます。
温泉街の老舗「なかや菓子店」では、保存料を使わない手作りの薄皮饅頭をはじめ、かぼちゃ饅頭、ずんだ饅頭、くるみ饅頭、そして温泉饅頭など、種類豊富な和菓子が並びます。旅の合間のひと休みや、帰りのお土産探しにもぴったりです。土湯温泉は吾妻・安達太良連峰の中腹から峠付近に位置しているため、山菜やきのこなど山の恵みを生かした料理を提供する飲食店も多く、季節ごとに異なる味わいを楽しめます。
温泉街を歩けば、こけしをモチーフにした雑貨や置物を扱う土産物店も多く、絵付け体験で仕上げたオリジナルのこけしと並べて既製品のこけしを買い足していくのも旅の楽しみです。宿によっては地元の川魚や、吾妻連峰の麓で育まれた野菜をふんだんに使った会席料理でもてなしてくれるところもあり、山あいの温泉地ならではの滋味深い食事も土湯温泉の楽しみのひとつになっています。
福島駅からバスで約45分、フリー乗車券は1100円
東京方面から向かう場合は、まず東京駅からJR東北新幹線「やまびこ」で福島駅を目指します。乗車列車によって所要時間は多少前後しますが、東京駅から福島駅までは概ね1時間30分前後で到着でき、日帰りでも十分に土湯温泉を楽しめる距離感です。
福島駅に到着したら、そこから先は路線バスでの移動になります。土湯温泉へはJR福島駅東口が起点で、東口を出るとバスプールがあり、7番乗り場から福島交通バスの土湯温泉行きに乗車し、終点の土湯温泉で下車すれば約45分で到着します。バスは1日を通じて複数便運行されているので、事前に時刻を確認しておくと計画が立てやすくなります。
お得なチケットとしては、福島交通が販売する「福島駅東口から土湯温泉間フリー乗車券」があり、1100円で区間内が乗り降り自由になります。受け取りはJR福島駅東口にある福島交通バス案内所で行えます。滞在中に温泉街と福島駅を複数回往復したい場合や、周辺の観光地にも足を延ばしたい場合はこのフリー乗車券が便利です。宿泊する旅館によっては福島駅西口バスプールからの無料送迎サービスを用意しているところもあるため、予約時に確認しておくとよいでしょう。
車で向かう場合は東北自動車道の福島西インターチェンジが最寄りとなり、山あいの県道を進んでいく道のりになります。冬場は積雪や路面凍結に注意が必要な区間もあるため、スタッドレスタイヤの装着など季節に応じた備えをしておくと安心です。自転車を持ち込んで本格的なサイクリングを楽しみたい場合も、この福島西インターチェンジから山道を上っていくアクセスが基本となります。公共交通機関で訪れてレンタルEバイクを利用する場合は、バスの本数がそれほど多くない点を踏まえ、あらかじめ帰りの便の時刻を確認したうえでポタリングの時間配分を決めておくと当日の行程に余裕が生まれます。
1泊2日ならこけし体験とポタリングを組み合わせるプランがおすすめ
日帰りでも十分に楽しめるのが土湯温泉の魅力ですが、こけし文化とポタリング、湯めぐりを一通り味わうなら1泊2日のゆったりプランがおすすめです。
初日は福島駅からバスで土湯温泉に到着後、まず公衆浴場「中之湯」で旅の汗を流し、隣接する足湯「きぼっこの湯」でひと息つきます。そのあと、こけし工人の工房を見学したり絵付け体験に挑戦したりして、土湯こけしの文化に触れます。夕方以降は宿にチェックインし、源泉かけ流しの湯にゆっくり浸かって一日の疲れを癒やします。
2日目は朝からレンタルEバイクを借りて、荒川渓谷沿いの道をポタリング。足湯「月のゆぶじぇ」や「土ゆっこ」に立ち寄りながら温泉街を一周し、余力があれば仁田沼や幕滝方面まで足を延ばして自然散策を楽しみます。昼前後には道の駅つちゆで串こんにゃくを味わい、なかや菓子店で饅頭をお土産に購入してから、バスで福島駅へ戻るという流れです。
絵付け体験や湯めぐり、ポタリングをどの順番で組み込むかは、当日の天候や体力に合わせて変えても構いません。雨の日はこけしの絵付け体験や公衆浴場での湯めぐりを中心に、晴れた日はポタリングや女沼でのアクティビティを優先するといったように、天候に応じて計画を組み替えやすいのも土湯温泉らしいところです。こけしまつりが開催される6月であれば、祭りの日程に合わせて宿泊日を調整するのもおすすめです。夏場は仁田沼の水芭蕉や女沼でのSUP・カヤック体験、秋は紅葉の中でのポタリング、冬は雪見の露天風呂と、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
春であれば、福島市を代表する花見山や、レンタルEバイクで巡れる飯坂温泉、フルーツラインの果樹園地帯とセットにして、土湯温泉を起点にした周遊型のロングライドを組むこともできます。電動アシスト付きのスポーツサイクルであれば起伏のある地形でも体力的な負担が少なく、坂の多い温泉地から市街地までを一日で走り抜けるプランも現実的です。東京方面から訪れる場合は、東北新幹線で福島駅まで約1時間30分、そこからバスで土湯温泉まで約45分という行程になるため、朝早く出発すれば日帰りでも1泊2日プランと同じような内容を体験できます。ただし、こけしの絵付け体験やSUP・カヤック体験、複数の足湯めぐりまで欲張って詰め込みたい場合は、やはり1泊した方が余裕を持って周遊できるでしょう。
土湯温泉は、こけし発祥の地としての伝統文化、公衆浴場や足湯で気軽に楽しめる湯めぐり、そして電動アシスト自転車を使ったポタリングという、異なる楽しみ方を一度に満たせる懐の深い温泉地です。震災からの復興を地熱発電という形で歩んできた歴史も含め、訪れるほどに奥行きを感じられる温泉町だと思います。福島駅からバスで1時間かからずに到着できる手軽さもあるので、こけしの絵付けと足湯めぐり、荷物を軽くしてのポタリングだけでも、半日あれば十分に土湯温泉らしさを味わえます。









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