栃木県高根沢町のたかポタで秋の田園風景をポタリングする方法

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栃木県高根沢町では、稲刈りの進む秋の田園風景の中を自転車でゆっくり走る「たかポタ」というポタリングイベントが開催されています。ゆるポタ、丘ポタ、坂ポタという3つのコースが用意されており、自転車に乗り慣れていない人からロードバイク経験者まで、体力や好みに合わせて参加コースを選べる仕組みです。この記事では、直近のたかポタvol.7の開催内容から、コース周辺の見どころ、秋ならではの果物狩り、高根沢町へのアクセス方法まで、まとめて紹介します。

目次

たかポタは稲刈り期の田園風景を走る高根沢町のポタリングイベント

たかポタとは、正式名称を「高根沢ポタリング」といい、高根沢町が企画運営する自転車イベントです。ポタリングは速さや距離を競う競技ではなく、景色や食べ物を楽しみながらのんびり走ることを指す言葉で、たかポタもその名の通り、田んぼの間を抜ける道をマイペースで走れるように設計されています。

ポタリングという言葉自体は、のんびりする、ぶらぶらするという意味を持つ英語のputterに由来するそうです。走る距離や速度に明確な基準はなく、頑張りすぎない程度がひとつの目安とされており、自転車趣味の中でもとりわけ気軽さや快適さを重視した楽しみ方として位置づけられています。

高根沢町は宇都宮市の東隣に位置し、鬼怒川と五行川に挟まれた平坦な地形を持つ農業のまちです。稲刈りが進む秋は、黄金色に色づいた田んぼを眺めながら走れる時期にあたり、たかポタの中でも人気の高い開催シーズンになっています。信号や交通量の多い市街地が少なく、田んぼの中の道を長く走れる地形だからこそ、初心者でも安心してマイペースに走れるコースを組みやすいのだと思います。

イベントはvol.1から始まり、回を重ねるごとに規模を広げてきました。vol.3ではJR宝積寺駅東口のちょっ蔵広場を集合場所に、烏山線沿線の魅力を伝える「カラセンめぐりポタリング」というテーマで開催され、vol.4では高根沢町全域に加えて那須烏山市全域を里山コースとして組み込むなど、複数の自治体をまたぐ広域イベントへと発展しました。vol.5はJR烏山線開業100周年記念事業として位置づけられ、非電化区間を蓄電池の電力で走る車両「ACCUM」が走る路線の節目に合わせて開催されています。ACCUMはJRグループ初の蓄電池動車として2014年3月から運用が始まった車両で、電化区間ではパンタグラフを上げて架線から電力を受け取りながら蓄電池を充電し、非電化区間に入るとパンタグラフを下ろして蓄電池の電力だけで走行するという仕組みを持っています。愛称のACCUMは蓄電池を意味する英語「Accumulator」に由来するそうです。こうした積み重ねを経て、vol.6、vol.7と、コースの難易度分けや参加者向けの特典が整理された現在の形に近づいてきました。

たかポタvol.7は2025年10月12日にゆるポタ・丘ポタ・坂ポタの3コースで開催された

たかポタvol.7は、2025年10月12日(日曜日)の8時20分から15時00分まで、道の駅たかねざわ元気あっぷむらを発着点として開催されました。参加者はレベル別に用意された3つのコースから選んで走ります。

ゆるポタは距離約25キロメートルで、起伏の少ない平地中心のコースです。自転車に乗り慣れていない人や、小さな子どもを連れたファミリーでも参加しやすく、定員はおよそ30名に設定されていました。丘ポタは約55キロメートルとゆるポタの倍以上の距離があり、平地と坂道をバランスよく組み合わせた中級者向けのコースです。坂ポタは坂道の多い上級者向けのコースで、しっかり体を動かしたいロードバイク愛好者に向けた設計になっています。

参加費はゆるポタの場合で大人4,000円、小学生3,000円という設定でした。参加申込みはスポーツ大会のエントリーサイト「スポーツエントリー」を通じて行う形式が定着しています。

コース名距離の目安対象レベル
ゆるポタ約25km初心者・ファミリー向け
丘ポタ約55km平地と坂道をバランスよく楽しむ中級者向け
坂ポタコース内に坂道多め上級者・ロードバイク愛好者向け

コース中の楽しみとして評判が高いのが、スタート前とコース中に用意される食のおもてなしです。出発前には高根沢町産の新米で握られたおむすびが振る舞われ、コース途中のエイドステーションでは鮎料理が提供される回もありました。ゴール後には抽選会も行われ、地元の特産品が当たる企画が用意されています。走ること自体だけでなく、走り終えた後まで楽しめる構成になっているところが、たかポタが回を重ねて支持を集めてきた理由のひとつと言えそうです。

なお、次回にあたるvol.8の開催も案内されており、たかポタは高根沢町の秋の恒例イベントとして今後も続いていく見通しです。回を重ねるごとにコースの案内や特典の内容がより具体的になってきている印象で、初めて参加する人でも情報を集めやすくなってきています。

集合地点の道の駅たかねざわ元気あっぷむらは温泉と直売所を備えた拠点

たかポタの集合・発着地点である道の駅たかねざわ元気あっぷむらは、天然温泉、宿泊施設、レストラン、農産物直売所がひとつにまとまった複合施設です。飲食施設だけでもレストランが3か所、軽食施設が2か所、直売所が1か所あります。

直売所「ここにしかないいちば」では、地元農家から届く新鮮な野菜や果物、米に加えて、特産物やこだわりの加工品が数多く並びます。地場の食材を使ったBBQハウスや和食レストランのほか、無添加ジェラートや、高根沢町のブランド豚「白楊豚」を使ったホットドッグといったテイクアウトメニューも人気です。地元特産物をコンセプトにしたレストランでは「高根沢ちゃんぽん」というご当地メニューも提供されています。

白楊豚は、栃木県立宇都宮白楊高校の生徒たちが高根沢農場で育てている豚で、高根沢町の元気あっぷ公社によって「高根沢の食肉」として初めてブランド化された経緯があるそうです。地元の高校生が育てた豚肉が、道の駅のレストランやテイクアウトメニューで実際に味わえるというのも、農業のまちである高根沢町らしいエピソードだと思います。

宿泊棟も併設されているため、日帰りだけでなく一泊してじっくり高根沢町を満喫することもできます。遠方から参加する場合は前泊してたかポタの朝の集合時間に余裕を持って備え、天然温泉でコースの疲れを癒やしてから翌朝を迎えるという過ごし方も選べます。宿泊、温泉、直売所、飲食店が一体になった施設だからこそ、たかポタの発着点としてだけでなく、高根沢町全体の観光拠点になっているのだと感じます。

コース周辺の見どころはちょっ蔵広場と鬼怒グリーンパークの2か所

たかポタのコースやこれまでの集合場所として使われてきたちょっ蔵広場は、JR宝積寺駅東口に広がる駅前広場です。建築家の隈研吾氏が「光と風が通り抜けるイメージ」で設計し、2006年に駅前広場、2008年に駅舎が竣工しました。地元産の大谷石を使ったモダンな建築が特徴で、路面には籾殻を使った独自の舗装が施されています。

施設内には収容人数150人ほどの「ちょっ蔵ホール」、高根沢町の農産物や地元情報を発信する「ちょっ蔵情報発信館」、商工会館などがあります。ちょっ蔵ホールは1時間あたり1,250円程度から練習利用ができる料金設定で、地域住民の音楽活動やサークル活動の拠点としても日常的に使われています。駅前という立地にありながら、土地の素材を活かした建築であることから、ポタリングで町を訪れた人にとっても印象に残る景観のひとつになっています。

隈研吾氏は木材や大谷石といった自然素材を積極的に使う建築家として知られており、コンクリート中心だった20世紀の建築を、もっと温かみのあるものに変えたいという考えを持っているそうです。地域の風景や自然光を活かしながら、都市の喧騒から切り離された静かな空間をつくることを目指しているとされ、ちょっ蔵広場の大谷石や籾殻舗装も、こうした土地の素材を活かす姿勢が反映された結果だと考えられます。

鬼怒川の河川敷に広がる鬼怒グリーンパークは、「水とのふれあい」をテーマに整備された32.3ヘクタールの公園です。サイクリングコースは宝積寺エリアの池まわりと白沢エリアの多目的広場を周回するように設定されており、周回用の変形自転車や普通の貸自転車も用意されているため、家族連れやカップルでも気軽に走れます。水上アスレチックや貸しボート、野球場、テニスコートといったスポーツ施設もそろっています。

花の見頃は季節ごとに移り変わり、春は桜と菜の花、夏はキバナコスモス、秋はコスモスが園内を彩ります。秋のコスモスは規模が大きく、約2ヘクタールの花畑に120万本が植えられ、例年9月中旬から10月中旬にかけて見頃を迎えます。たかポタの開催時期である10月中旬は、ちょうどこのコスモスの見頃の終盤と重なることが多く、稲刈りの進む黄金色の田園風景に加えて、コスモス畑の彩りも同時に楽しめます。

秋のたかポタはぶどう狩り・りんご狩りと同時に楽しめる

高根沢町は栃木県内でも有数の果樹栽培のまちです。町内の上高根沢地区、御料牧場の南側一帯にはぶどう農家が点在する通称「ぶどう団地」があり、アーリー種やキャンベル種のぶどう狩りが例年8月中旬から9月下旬にかけて楽しめます。

りんごについても高根沢町は栃木県内トップクラスの栽培面積を誇り、町内には約20軒の観光りんご園があります。りんご狩りのシーズンは10月上旬から11月下旬までと比較的長く、たかポタの開催時期である10月中旬は、ちょうどりんご狩りの最盛期と重なるタイミングです。ポタリングで田園風景の中を走りながら、道中で観光農園に立ち寄り、もぎたての果物を味わうという楽しみ方もできます。町の産業課商工観光係では観光農園に関する問い合わせにも対応しているので、事前に開園状況を確認してから計画を立てるとよさそうです。

こうした観光農園の多さは、高根沢町が農業を基幹産業とするまちであることの表れです。稲作を中心にしながら、水はけのよい土地や日照条件を活かして果樹栽培にも力を入れてきた結果、稲刈り後の田んぼと、実った果樹園が同じ町内に共存する、変化に富んだ田園風景ができあがっています。平坦路が続くコースでも、こうした景観の移り変わりがあることで、走るたびに新しい発見がある構成になっています。

高根沢町の特産品は米から発酵食品、ご当地グルメまで幅広い

高根沢町は米についても、ブランド米「とちぎの星」や、日本酒の原料にも使われる酒米「翠のひと刻」を生産しています。とちぎの星は栃木県が開発したオリジナル品種で、大粒で炊飯後も粒がしっかりしており、冷めても美味しいことから丼物やカレーとの相性がよいとされ、日本穀物検定協会の食味ランキングで最高評価の特Aを続けて取得したこともある品種だそうです。果物ではいちごの品種「とちあいか」のほか、なし、ぶどうも作られており、これらを使ったジュースやジャム、コンポートといった加工品も特産品として販売されています。

加工品としては、りんごジュースやりんごジャム、たんたんジャム、まるごとトマトのコンポート、スカイベリードレッシングなどが並びます。豆腐「元気とうふ」や、まいたけ、御料みそといった発酵・加工食品も高根沢町ならではの特産品で、道の駅たかねざわ元気あっぷむらの直売所などで購入できます。

スイーツでは「高根沢ジェラート」や「高根沢お米スイーツ」、和菓子の「きんとんまんじゅう」が人気です。グルメの分野では、高根沢町の高校生のアイデアから生まれたという経緯を持つ「高根沢焼ちゃんぽん」がご当地グルメとして町内の飲食店で提供されており、たかポタのコース中に立ち寄る店でも味わえる可能性があります。江戸時代から続く製薬会社の本社が高根沢町に置かれていることから、伝統的な家庭薬「宇津救命丸」も、町を代表する土産物のひとつとして紹介されています。

こうした特産品の多くは道の駅の直売所や町内の飲食店で扱われているので、たかポタのコースを走りながら、あるいはゴール後に立ち寄って選ぶこともできます。走り終えたあとにジェラートを味わったり、直売所で野菜や加工品をお土産に買って帰ったりと、サイクリングと買い物、食事をセットで楽しめる点も、たかポタが単なる自転車イベント以上の体験として支持されている理由になっています。

宝積寺駅からのアクセスはサイクルトレインとレンタサイクルLUUPの2通り

高根沢町へのアクセスは、JR宇都宮線と烏山線が接続する宝積寺駅が最寄りです。駅前にはちょっ蔵広場が広がっており、たかポタの集合場所としてもたびたび利用されてきました。都心方面からは東北新幹線や東北本線を乗り継いで宇都宮方面から向かうルートが選びやすく、自転車を持参する場合と持参しない場合とで、アクセス方法を選べます。

自転車を持参する場合に便利なのが、烏山線の「サイクルトレイン」です。自転車を分解したり専用カバーで覆ったりせずそのまま車内に持ち込めるサービスで、2025年10月18日から烏山駅から宝積寺駅までの区間で通年運行が始まりました。途中の鴻野山駅と下野花岡駅は対象外となっている点には注意が必要です。利用は完全予約制で、JRE MALLの烏山線サイクルトレインショップから利用日前日までに申し込みを済ませておく必要があります。運賃は通常の乗車運賃のみで、追加料金は不要です。対象となる自転車は、ロードバイクやクロスバイクといったスポーツタイプから、電動アシスト自転車を含む家庭用自転車まで幅広く利用できます。烏山線沿線には那須烏山市の里山風景も広がっているため、サイクルトレインを組み合わせれば、高根沢町と那須烏山市を合わせた広域のポタリング旅を計画することもできそうです。

自転車を持参しない場合は、宝積寺駅に導入されたシェアサイクルサービス「LUUP」を使う方法があります。駅に到着してからその場でレンタサイクルを借りてポタリングを楽しめるため、マイカーや自転車の有無にかかわらず、鉄道でのアクセスと組み合わせて高根沢町を走る環境が整いつつあります。マイカーで訪れる場合も、道の駅たかねざわ元気あっぷむらや鬼怒グリーンパークには駐車場が整備されているため、車に自転車を積んで訪れ、現地からポタリングを始めるスタイルも選べます。

栃木県は自転車活用推進計画でサイクルツーリズムを県全体の目標に掲げている

たかポタが高根沢町単体のイベントとして成長してきた背景には、栃木県全体でサイクルツーリズムを後押しする流れもあるようです。栃木県は自転車活用推進計画の中で「サイクルツーリズムで成長するとちぎ」を目標のひとつに掲げており、県内各地域でサイクルツーリズム推進協議会がモデルルートの設定や活用方法の検討を進めています。

栃木県内には北部から西部にかけての那須連山や日光連山、東部の八溝山地など、変化に富んだサイクリングルートが各地にあり、県南地域では渡良瀬川や思川のサイクリングロード、足利学校といった見どころを巡る延長約194キロメートルのモデルルートも設定されています。栃木市のように、ロードバイクなどで訪れる人が休憩や補給をできる「自転車の駅」を整備する自治体も出てきており、たかポタもこうした県全体の自転車観光の流れの中に位置づけられるイベントのひとつと言えそうです。

高根沢町の秋を自転車で味わうたかポタ

栃木県高根沢町のたかポタは、稲刈りの進む田園風景を自転車でゆったり走れる、農業のまちならではのイベントです。ゆるポタ、丘ポタ、坂ポタと体力や経験に応じてコースを選べる仕組みが整っており、道の駅たかねざわ元気あっぷむらでの食事や直売所での買い物、ちょっ蔵広場の建築、鬼怒グリーンパークのコスモス畑、ぶどう狩りやりんご狩りといった要素が組み合わさっていて、走るだけでは終わらない内容になっています。

アクセス面でも、宝積寺駅を起点にしたサイクルトレインやレンタサイクルLUUPが整い、自転車を持たない人でも参加しやすくなってきました。回を重ねるごとに参加者や協賛が広がってきたたかポタは、今後も高根沢町の秋を代表するイベントとして続いていくはずです。初めて参加するなら、まずは起伏の少ないゆるポタから挑戦して、道中のグルメや景色を自分のペースで味わってみるとよさそうです。慣れてきたら丘ポタや坂ポタで走りごたえを試してみるのもいいと思います。開催情報や参加申し込みの詳細は、高根沢町公式サイトの観光・イベント情報ページやスポーツエントリーのサイトで随時案内されているので、参加を検討する際は最新情報を確認することをおすすめします。

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