銚子をポタリングで巡る旅|犬吠埼と屏風ヶ浦と港町グルメ

当ページのリンクには広告が含まれています。

銚子を自転車でのんびり巡るなら、銚子駅で自転車を借り、西の屏風ヶ浦から東の犬吠埼へ海沿いに走り、漁港の地魚も味わう組み立てが合っています。屏風ヶ浦は約10キロ続く断崖で、犬吠埼には99段の階段でのぼれる白い灯台が立っています。脚が疲れたら、帰りだけ銚子電鉄に乗る手もあります。

銚子市は千葉県の北東の端、利根川が太平洋へ流れ込む河口にある町です。関東平野の水を運んできた大河と太平洋がここで交わり、町は魚を獲る仕事、船で荷を運ぶ仕事、醤油の醸造で豊かになりました。江戸の頃は、利根川を上り下りする船の拠点として、江戸の暮らしに必要な物資を中継していました。東京方面から車で向かうと、最寄りのインターチェンジを降りてからも1時間以上かかるといわれるほど都心から離れています。そのぶん観光地として整えられすぎておらず、素朴さが残っています。

見どころは、銚子駅のまわり、漁港と市場、犬吠埼、外川の漁師町、西の屏風ヶ浦と、海岸線に沿って点々と散らばっています。灯台や絶壁を目指しながら、路地にいる猫や漁港の景色、店先に並ぶ干物に足を止めていく。そんな寄り道の多い走り方が、この町にはよく似合います。

目次

銚子のポタリングは駅で自転車を借りて海岸線をつなぐ旅

銚子へ鉄道で入るなら、銚子駅を起点にして、駅で借りた自転車で町へ出るのが一般的です。見どころ同士の距離は自転車なら無理のない範囲に収まっています。

ポタリングは行き先を決めずに気ままに走るサイクリング

ポタリングとは、散歩をするように自転車でゆっくり走ることを指します。英語の「potter」が語源で、ぶらぶらする、ぶらつくといった意味を持つ言葉です。距離や速さに決まった基準はなく、頑張りすぎない程度が目安になります。

サイクリングという言葉はもっと範囲が広く、自転車で走ること全般を指します。坂を上り続けるヒルクライムも、遠くまで走り通すロングライドも、その仲間です。ポタリングはそのうち、目的地を決めずに気の向くまま走る、いちばんゆったりした楽しみ方です。

銚子電鉄と組み合わせれば片道だけ自転車にできる

**銚子電鉄とレンタサイクルを組み合わせると、体力と時間の配分がしやすくなります。**たとえば犬吠方面までは電車に乗り、戻りの道だけペダルをこぐ使い方です。銚子電鉄は銚子駅と終点の外川駅のあいだ、全長6.4キロを約20分で結んでいます。沿線では、犬吠駅のホーム前に広がるひまわり畑も見どころです。

日帰りのモデルコースとしては、屏風ヶ浦を出発して、地球の丸く見える丘展望館、外川の町並み、外川ミニ郷土資料館、ハーブガーデン、犬岩などを回る組み方が紹介されています。自転車で走るなら、西の屏風ヶ浦から東の犬吠埼方面へ進む流れが組みやすいでしょう。風向きや疲れ具合しだいで、帰りを電車に切り替えられます。

屏風ヶ浦は約10キロにわたって高さ40〜50メートルの崖が続く

屏風ヶ浦は、銚子市の犬岩を起点に、旭市刑部岬までおよそ10キロ延びる海食崖です。高さ約40〜50メートルの絶壁が途切れずに連なります。太平洋の波が下総台地を削り取って生まれた崖で、屏風を何枚も立て並べたような姿からこの名前がつきました。ヨーロッパの白い断崖になぞらえた「東洋のドーバー」という呼び名もあります。国は2016年3月、ここを名勝と天然記念物の両方に指定しました。

利根川の水運を使った遊覧旅行が人気を集めた時代には、この一帯が歌川広重の浮世絵にも描かれたそうです。映像作品の舞台としても知られ、草彅剛さん主演のドラマ『僕の生きる道』では、エンディングの映像にこの崖が使われました。

屏風ヶ浦の地層は関東ローム層から県内最古の愛宕山層群まで重なる

崖は、時代の異なる地層が何層にも重なってできています。最上部は陸上に降り積もった関東ローム層で、その下に約10万年前の地層、さらに深い部分には約300万年前から100万年前の古い層が重なります。名前で挙げると、名洗層、飯岡層、香取層、関東ローム層です。下のほうを占める飯岡層は、灰白色をしています。

崖の東端に位置する犬岩と千騎ヶ岩では、県内でいちばん古い愛宕山層群が地表に出ています。波の侵食で崖が少しずつ後ろへ下がり続けているため、これだけの地層を外から観察できるわけです。

崖の最上部の関東ローム層は、火山灰からできた褐色の土で、関東一円に広がっています。南関東には、主に箱根と富士の二つの火山から火山灰が降りました。古いものから多摩ローム層、下末吉ローム層、武蔵野ローム層、立川ローム層と呼び分けます。地表に近い部分は黒土で、その下が赤土になっており、関東ローム層が赤土と呼ばれるのはこのためです。過去10万年ほどの火山活動で積もった土で、古い地形面ほど厚くなっています。屏風ヶ浦の崖の上端に見えている土は、遠く離れた富士山や箱根が噴火した名残なのです。

海食崖とは、岩石でできた海岸に、主に波の侵食作用によって生まれる崖をいいます。崖の根元の海面近くには、波がえぐったノッチというくぼみができます。根元の柔らかい岩石が削り取られてできた洞穴は海食洞、砕けたあとの波が当たる海岸にできる平らな面は、波食棚または海食台と呼ばれます。

屏風ヶ浦を含む銚子市の全域は日本ジオパーク

銚子市は、大地の成り立ちを観察できる土地として、市の全域が日本ジオパークに認定されています。海沿いには1億年を超える昔に生まれた地層や奇妙な形の岩があり、君ヶ浜の砂浜、犬吠埼の岬、屏風ヶ浦の断崖と景色が移り変わります。審査の場では、地形に加えて、水産業とそれを支えてきた外川の町並み、江戸の頃から続く醤油の産業も、地域の財産として評価の対象になりました。海や崖、漁師町、食の背景までを、地球の成り立ちと人の暮らしが結びついた一続きの物語としてまとめているのが、銚子のジオパークです。

銚子の自然を現地で学ぶなら、銚子ジオパークミュージアムが拠点になります。ただし2025年10月には、展示施設を改修するリニューアル工事が行われていて、展示の一部は見られない状態でした。

屏風ヶ浦は名洗港や銚子マリーナ周辺の遊歩道から眺める

崖の上には危険な場所や私有地が含まれ、崖の下へ降りる道はすべて閉鎖されています。眺める場所として定番なのは、名洗港や銚子マリーナ周辺の遊歩道です。銚子マリーナ海水浴場まで行けば、崖と海を一枚の景色として見られます。自転車は安全に眺められる場所に止め、崖の縁には近づかないでください。

犬吠埼灯台は明治7年に完成し、99段の階段で展望スペースへ出られる

犬吠埼灯台は、イギリス人技師ブラントンが設計し、明治7年(1874年)に造られた高さ約32メートルの白い灯台です。2020年には国の重要文化財になりました。99段の階段をのぼりきった先の展望スペースからは、太平洋を一望できます。階段の先で屋外に出られるのがこの灯台の特徴で、吹きつける海風を肌で感じつつ水平線を眺められます。

参観寄付金は中学生以上300円で、時間は季節によって変わる

灯台にのぼるには参観寄付金が必要です。中学生以上は300円で、小学生以下は無料になっています。参観できる時間は、時期ごとに次のとおりです。

時期参観時間
3月から9月(下の期間を除く)8時30分から17時
うちゴールデンウィークと8月10日から19日8時30分から17時30分
10月から2月8時30分から16時

入場は、参観終了の30分前で締め切られます。休館日は基本的にありませんが、天候が荒れた日などは閉まることがあります。

夜の灯台にのぼれる特別イベントも毎年開かれています。2025年は、11月15日の16時から18時30分に行われました。

地球の丸く見える丘展望館へは上り坂が待っている

犬吠埼から少し内陸に入った高台に、地球の丸く見える丘展望館があります。標高約73.6メートルの展望台に立つと、太平洋が大きく広がり、水平線が弓なりに曲がって見えます。犬吠埼のまわりは平坦ではないので、ここへ自転車で向かうなら上り坂を覚悟しておきましょう。

屏風ヶ浦と犬吠埼灯台は文化財としての区分が違う

記念物の指定について、文化財保護法は重要なものを史跡、名勝、天然記念物の三つに区分しています。名勝に選ばれるのは、庭園、公園、渓流のように、眺めの美しさや芸術上・学術上の価値を備えたものです。天然記念物は、動物や植物、地質や鉱物など、自然そのものを残すために指定されるものが中心です。とくに価値が高いと判断されると、特別名勝や特別天然記念物になります。

屏風ヶ浦が受けた名勝と天然記念物の指定に対し、犬吠埼灯台の指定区分である重要文化財は、建物や絵画、彫刻といった形のある文化財のための別の区分です。名勝と天然記念物は景色や地形を、重要文化財は人の手でつくられたものを守る、と考えると違いがつかめます。自転車で巡る銚子には、この2種類の文化財がそろっています。

外川の漁師町と犬岩は銚子電鉄の終点から歩いて回れる

外川は、江戸時代から続く漁師町で、外川駅から歩いて行ける距離にあります。路地は碁盤の目のように整えられ、漁港へ向かって坂道が下っていき、石畳の坂も残っています。イワシ漁が最も盛んだった頃には「外川千軒大繁盛」とうたわれるほどのにぎわいでした。この町は、NHK連続テレビ小説『澪つくし』で物語の舞台に選ばれました。

坂を下りきると外川漁港に着きます。自転車なら下りは爽快ですが、戻るときはその坂を上ることになります。帰りの上りの負担まで、最初から計算に入れておくと安心です。

外川駅の駅舎は木造の平屋建てで、大正12年7月5日に銚子鉄道が開業した頃のイメージを受け継いでいます。懐かしさを感じる雰囲気が人気で、駅前には「笑顔の塔」が立っています。

外川の町並みは佐倉や成田と並ぶ日本遺産に含まれる

外川の町並みは、2016年(平成28年)度に日本遺産として認定された「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」に含まれています。このストーリーの舞台は佐倉市、成田市、香取市、銚子市の4都市で、それぞれが違う役割を担っています。城下町として描かれるのが佐倉、成田山の門前町が成田、利根水運の河岸であり香取神宮へ向かう参道の起点でもあるのが佐原(香取市)です。銚子には、漁港の町、港町としての役割が与えられています。

選ばれた代表的な文化財は、佐倉では武家屋敷、成田では成田山の参道、佐原では山車行事、銚子では外川の町並みです。学校向けのパンフレットでは、佐原の大祭、旧但馬家住宅、成田山新勝寺大本堂と並んで、屏風ヶ浦が表紙を飾りました。屏風ヶ浦もまた、この物語を象徴する風景として扱われているのです。

犬岩までは外川駅から歩いて往復1時間ほど

犬岩は、犬が耳をぴんと立てているように見える岩です。源義経が残していった愛犬が七日七晩鳴きやまず、八日目に岩に変わったと語り継がれています。岩のすぐそばまで行くことができ、夕日に照らされた姿を撮影する場所としても人気です。外川駅から海岸線を歩き、千騎ヶ岩を通って犬岩まで行って戻ると、およそ1時間の散策になります。

港町グルメは水揚げ量全国1位の銚子漁港が支えるイワシとサバが主役

銚子で新鮮な青魚の料理が食べられる理由は、銚子漁港の水揚げの多さにあります。令和3年の銚子漁港の属地陸揚量は約28万トンで、全国1位でした。この量の93パーセント、約26万トンをサバ類とイワシ類が占めています。サバ類とイワシ類のこの約26万トンは、全国の約3割にあたります。首位の座は、平成23年から令和3年まで11年連続で守られました。

銚子漁港のまわりで地魚を出す店

銚子の港町グルメとして名前の挙がる店と料理は、次のとおりです。営業日や料金は変わることがあります。

店名味わえる料理特徴
鈴女(中央町)銚子丼マグロのぶつ切りとなめろうをのせた看板メニュー
魚料理 みうらいわしづくし膳(2200円)、海鮮丼(2750円)新鮮なイワシ三昧のメニュー、地魚はいつも20〜30種類をそろえる
ぎょ魚蔵部(銚子漁港第一卸売市場前)刺身定食、干物銚子つりきんめを使用
浜めしキンメづけ丼手釣りで釣り上げ銚子港に水揚げされる銚子つりきんめを使用
海ぼうず地魚料理毎日港から届く地魚を扱う
魚河岸料理 常陸刺身、丼、煮魚、焼魚四季折々の地魚を多彩な料理で出す

店の料理とは別に、伊達巻き寿司も地域の名物として知られています。

銚子丼にのるなめろうは房総半島の漁師料理

なめろうは、アジやイワシ、サンマなどの青魚を、薬味の野菜や味噌と合わせて包丁で細かくたたいた、房総半島の漁師料理です。皿までなめたくなるほどおいしいことから、この名がついたといわれています。

なめろうを大葉で包んで焼くと「さんが焼き」になります。昔はアワビの殻のような器に詰めて焼くのが食べ方だったそうです。名前については、山仕事に出る漁師がアワビの殻になめろうを詰めて持ち歩き、山で焼いたため「山家焼き」になったとする説が知られています。イワシがたくさん揚がる銚子なら、なめろうの材料に困ることはありません。

銚子つりきんめは一尾ずつ釣り上げる銚子市のキンメダイ

銚子つりきんめとは、2006年6月に千葉県の「千葉ブランド水産物」の第1号に認定された、銚子市産のキンメダイを指します。獲っているのは外川地区の小型船で、漁法は立縄漁業と呼ばれる釣りの一種です。銚子沖は、キンメダイ漁の北限とされる海域です。寒流と暖流がぶつかる海で育つため、一年を通して脂の乗りがよいといわれます。

立縄で一尾ずつ釣り上げるので、魚体に傷がつきにくいのが強みです。釣った魚は氷水で締めてから市場へ運ばれ、自動選別機や電子入札を使って取り扱いの時間を縮める工夫もされています。地域団体商標に登録されていて、千葉県の水産物で登録を受けたのは銚子つりきんめだけです。出荷の際には商標タグが付けられます。「きんめだいまつり」は毎年11月の開催で、来場者は4万人を超えます。

ウオッセ21と銚子ポートタワーは漁港のすぐ近く

銚子漁港の近くにあるウオッセ21(銚子さかな市場)では、水産物を買ったり食事をしたりできます。入場は無料で、定休日はありません。営業時間は年間を通して9時から16時で、土日祝は17時まで延びるという案内が出ています。

ウオッセ21の隣に建つ銚子ポートタワーは、展望室の料金が420円です。4階の展望室に上がると、太平洋と鹿島灘、利根川河口が一度に見渡せます。営業は平日なら9時から17時30分で、最終入館は17時です。8月と、4月から9月の土日祝は営業が延びて9時から18時30分までとなり、最終入館は18時になります。木曜は休業日です。

醤油の工場見学と銚子電鉄のぬれ煎餅も寄り道先になる

銚子は醤油の産地でもあり、醤油会社の工場見学センターや、ぬれ煎餅で知られる銚子電鉄の駅が、自転車旅の寄り道先になります。

老舗のヤマサ醤油が銚子で醤油を造り始めたのは、1645年(正保2年)のことだといわれます。幕府は江戸時代の末期、この蔵の醤油の品質を高く評価し、「最上しょうゆ」の称号を授けました。創業者の濱口儀兵衛のふるさとは広川町で、醤油が生まれた土地とされる和歌山県湯浅のすぐ隣です。

工場見学センターはJR銚子駅から徒歩7分ほどのところにあります。見学に料金はかからず、休みは土日と祝日で、営業時間は変わることがあります。館内には会社の歴史を伝える品々や、昔の醤油づくりで使われた道具が展示されています。大きな桶をかたどった空間では、もろみが醤油になるまでの流れを、映像と音を使って体感できます。醤油の風味をつけたソフトクリームなども売店で買えます。ヒゲタ醤油の史料館も、銚子駅の周辺にあります。

銚子電鉄はぬれ煎餅のヒットで廃業の危機を免れた

銚子電鉄が廃業の危機を乗り越えられたのは、副業として始めたぬれ煎餅が大ヒットしたからです。ぬれ煎餅は1995年9月に発売され、2006年には売り上げが約4億2000万円に達し、乗り降りする客も5割近く増えました。有志による「銚子電鉄サポーターズ」も生まれています。いまでは売り上げの約8割が菓子卸業だと、社長自身が語っています。看板商品は「ぬれ煎餅」と「まずい棒」です。ぬれ煎餅の味は、濃い口、うす口、甘口の3種類から選べます。

駅そのものにも見どころがあります。仲ノ町駅の前には醤油工場があり、誰でも工場の中を見て回れます。ネーミングライツを導入した笠上黒生駅では、育毛関連製品を扱う会社の名前が駅名に入りました。

自転車で銚子を回るときの注意点はバッテリー残量と海風

電動アシスト付きの自転車を借りるなら、いちばん気をつけたいのはバッテリーの残りです。銚子駅前の観光案内所でレンタルした電動自転車で出かけた人が、残量の減り方が不安になり、犬吠埼にたどり着く前に引き返したという投稿もあります。上り坂が多い犬吠埼や外川のまわりでは、電池が早く減ることがあります。遠出をする日は、アシストを弱めにして走る、早めに引き返すと決めておくなど、電池の使い方まで含めて計画を立ててください。

海風の強い日は、岬や台地の上で自転車があおられます。速度を落とし、無理のない行程にしておくのが安全です。

食事どきの飲食店は混み合いやすいので、昼食の時間を少しずらすと入りやすくなります。

銚子は屏風ヶ浦から犬吠埼まで自転車一台で回れる港町

銚子は、屏風ヶ浦の断崖や犬吠埼の灯台、外川の漁師町、漁港が支えるイワシやサバの料理を、自転車と銚子電鉄を組み合わせて巡れる港町です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次