読谷村のやちむんの里でポタリング、器めぐりは午前中の2時間が目安

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「やちむん」は沖縄の言葉で焼き物のことです。読谷村のやちむんの里は、陶芸工房が集まり「やちむんの聖地」とも呼ばれる地域で、里の中は歩いて工房を回り、村内に散らばるほかの見どころへは自転車で移るのが合っています。読谷村の名所どうしは歩くには離れていて、しかも坂が多いため、電動アシスト自転車が向いているという声があります。

読谷村には大小あわせて70以上の工房があるとされ、その真ん中に位置するのがこの里です。共同売店では窯ごとの器を手に取れます。器を選んだあとにペダルをこげば、世界遺産の座喜味城跡や、東シナ海へ突き出した残波岬、紅いもタルトの工場を見学できる御菓子御殿 読谷本店まで足をのばせます。

村には焼き物のほかにも、約90年ぶりに復活した織物の読谷山花織が伝わっています。

目次

やちむんの里の器めぐりは午前中に始め、2時間を目安にする

器めぐりは午前中から動き始めるのが向いていて、里の中をゆっくり見て回る目安は2時間ほどです。

午前を勧める理由は、工房の営業時間にあります。里の工房はどこも独立して商いをしていて、開く時間も休む日も工房ごとにばらばらです。9時に店を開ける工房がある一方、日曜は10時からというところもあります。昼休みをとる工房もあり、閉店は18時前後と早めのところが多くあります。

もう一つの理由は人の少なさで、午前中は比較的すいています。

自転車は読谷物産館で借りられ、電動アシストは3時間2,000円

レンタサイクルの拠点は、体験王国むら咲むらの園内にある読谷物産館です。電動アシスト自転車を借りると、最初の3時間が2,000円で、そこから1時間ごとに1,000円が加わり、6時間以上は5,000円になります。

読谷物産館のほかにも、自転車を借りる手段があります。

貸出元車種・サービス開始日
ホテル日航アリビラe-bike、電動アシスト自転車2023年7月1日
GREEN RIDE OKINAWAスマートeレンタサイクルサービス2025年5月1日

那覇空港からは車で約70分、里の中は駐車場から歩く

那覇空港から車で向かうと、かかる時間は約70分です。高速道路を使えばもう少し縮められます。一般道で行くなら、国道58号を北へ進み、浦添市と、アメリカンビレッジのある北谷町を抜けて、残波岬の方角へ向かう道順があります。バスと徒歩を組み合わせる場合は、約2時間を見込んでください。

里の中までは車で入れません。駐車場は、国道12号を折れてやちむんの里線へ進んだ先にあります。入口のそばの共同駐車場か、細い道沿いの無料駐車場に車を置き、そこから歩いて工房を回ります。

北窯は年5回の共同窯焚き、器は作者名のない共同売店で選ぶ

北窯では年に5回、陶工たちが共同で窯を焚いています。使う土は沖縄本島の北部で掘り出したもので、数年寝かせてから使います。器の種類に合わせて6種類ほどの土を使い分け、ときには混ぜ合わせることもあります。

里の工房は14から19ほどで、読谷山焼窯と北窯のどちらにも共同売店が付いています。棚には各工房の作品が個性を競うように並んでいますが、作者の名前は書かれていません。

読谷山焼陶器市は毎年12月の第3金曜から日曜まで

毎年12月の第3金曜、土曜、日曜には、里で「読谷山焼陶器市」が開かれます。主催は読谷山焼窯と読谷山焼北窯の共同で、会場は里の中にある読谷山北窯広場です。入場料はかかりません。多くの工房が出店し、作家本人が器を手渡しで売ることもあります。

やちむんの里は1972年、金城次郎さんが読谷村に窯を開いて始まった

里の歴史は、1972年(昭和47年)に名工の金城次郎さんが那覇市壺屋から読谷村へ移ってきたところから始まります。金城次郎さんは沖縄で初めて人間国宝になった陶工で、移住先に登り窯の「金城次郎窯」を開きました。

金城次郎さんが移った理由は煙です。壺屋の周辺では住宅が増えて市街地になり、煙をたくさん出す登り窯を焚くのが難しくなっていました。工房が集まった土地は、嘉手納弾薬庫が返還された跡地です。金城次郎さんの窯は、いまは複数の工房が共同で使っています。

1980年に9連房の読谷山焼窯、1992年に13連房の北窯ができた

共同の登り窯ができた1980年(昭和55年)が、「やちむんの里」の誕生とされています。この年、大嶺實清さん、山田真萬さん、玉元輝政さん、金城明光さんの4人の陶工が、9つの焼成室をもつ共同の登り窯「読谷山焼窯」を築きました。その窯で修行した若い陶工4人が、1992年(平成4年)に13連房の「読谷山焼北窯」をつくって独立しています。赤瓦屋根の大きな登り窯は、いまも里を象徴する風景です。

登り窯とは、斜面に沿って焼成室をいくつもつなげた薪の窯のことで、連房式登窯とも呼びます。斜面を階段のように整えて部屋を並べるので、下の部屋で生まれた熱が上の部屋へ順に伝わり、熱が逃げにくくなります。そのおかげで、一度にたくさんの作品を焼けます。

炎の具合は薪の状態や天気で変わるため、陶工は経験と勘を頼りに薪と空気の量を加減します。複数人で力を合わせる必要があり、泊まり込みになることが多いそうです。焚き上げるまでに数日かかり、温度が下がるのを待って、さらに数日後に窯から器を出します。

やちむんは沖縄の焼き物全体の呼び名で、壺屋焼はその一つ

沖縄では、焼き物ならどれでも「やちむん」と呼びます。決まった技法で作るものでも、特定の窯で焼くものでもありません。形や絵柄も作り手ごとにさまざまです。その中の一種類が壺屋焼で、窯元が並ぶのは那覇の壺屋やちむん通りです。

壺屋という窯場は、1682年に琉球王府が開きました。当時3か所に分かれていた窯の職人を、王府の方針で一つの場所へ集めたのが始まりです。1879年に琉球王国が日本に併合されてからは、本土へ送る泡盛が急に増え、壺屋も栄えました。第二次世界大戦のあとは、那覇市の復興が進むなかで薪窯の煙が問題になり、壺屋で薪窯を使うことが禁じられました。それを機に、陶工の多くが読谷村へ移っています。

荒焼は装飾のない貯蔵用、上焼は絵付けや線彫りのある日用の器

壺屋焼は大きく2種類に分かれ、荒焼(あらやち)、上焼(じょうやち)と呼び分けられています。

荒焼は、飾りをほとんど付けず、陶土そのものの風合いを生かした焼き物です。素焼きのままか、泥釉やマンガン釉をかけて仕上げます。水や泡盛、醤油、味噌をためておく大きな甕が、荒焼の代表です。

上焼は釉薬をかけた焼き物で、深鉢や急須のような毎日使う器が中心です。泡盛を注いだり飲んだりする、飾りの多い容器や杯もここに入ります。絵付けや線彫りで模様を付けるのが特徴で、いまは上焼のほうが主流です。

線彫りは壺屋で育った飾りの技法で、器の表面を彫って模様を描き、彫った溝に釉薬を差して色を付けます。彫った線で絵を描き、塗り絵のように釉薬で色をのせ、最後に透明な釉薬をかけて仕上げるやり方もあります。この塗り絵のような仕上げ方は制作例の一つで、やちむんに伝わる掻き落としの技法がもとになっています。

金城次郎さんの魚文と、やちむんに描かれる伝統の柄

金城次郎さんといえば魚の模様です。国立工芸館には、金城次郎さんの線彫りの作品が収められています。「線彫魚文鉢」は轆轤で形をつくり線彫りを施した陶器で、1960年代から70年代にかけての制作です。1970年代の作とされる「魚文抱瓶」も、同じく線彫りで仕上げた陶器です。

やちむんに昔から描かれてきた柄には、魚のほか、牡丹やエビ、唐草があります。どの柄にも、豊かさや子孫繁栄への願いが込められています。

抱瓶やカラカラなど、泡盛の酒器も壺屋焼に多い

泡盛を飲む、しまう、運ぶための道具は、壺屋焼にたくさんあります。抱瓶(だちびん)は肩にかける紐が付いた瓶で、自分が飲む分の泡盛を少しだけ持ち歩くための酒器でした。いまは一輪挿しとして使う人もいます。カラカラは泡盛を注ぐ器です。底が平らで置いたときに安定し、猪口と組にして使います。嘉瓶(ゆしびん)はひょうたんの形をした大きな瓶で、贈り物や祝いの席へ泡盛を運ぶのに使われました。ちぶぐゎーは、最高級の古酒を少しずつ味わうための器で、世界でも最小級の猪口とされます。

泡盛は3年以上寝かせると古酒(クース)になる

泡盛は、やちむんの酒器とともに使われてきたお酒です。蒸留の技術がシャム(現在のタイ)から琉球王国へ伝わったのは15世紀前後とされ、そこから泡盛が生まれました(諸説あります)。ちぶぐゎーで味わう古酒(クース)とは、熟成が3年以上になった泡盛のことです。寝かせる年月が長いほど味と香りが深まり、舌の上でもまろやかに感じられます。

座喜味城跡は入場無料で、24時間いつでも入れる世界遺産

座喜味城跡は、自転車で立ち寄れる読谷村の史跡です。お金はかからず、休みもなく、24時間いつでも入れます。2000年に、首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界文化遺産に登録されました。「続日本100名城」にも選ばれています。

座喜味城を築いたのは護佐丸按司(ごさまるあじ)で、時期は15世紀の初めです。座喜味城はグスク(城)の一つで、城づくりの名手として知られた護佐丸の最高傑作ともいわれます。いまに残る城壁は高さ14m、長さ365mで、沖縄最古のアーチ型の石造門もこの城壁にあります。沖縄戦で一部が壊れましたが、琉球石灰岩の石垣は築いたころの姿をよくとどめています。城壁には、布積み、相方積み、野面積みといった積み方が使われています。

城壁の上にも登れますが、立ち入りが禁じられた場所もあります。外を歩く場所で坂や段差が多いので、足になじんだ靴で行ってください。第1駐車場の隣には読谷村立歴史民俗資料館があります。

グスクは琉球王国より前から沖縄各地に築かれた石垣の拠点

琉球王国(1429年から1879年)の時代が始まるより前から、沖縄の各地ではグスクという施設がつくられていました。石垣と石を積んだ門が目印で、もとは野面積みの石垣で囲んだ、自分たちの身を守るための農村の集落を指す言葉でした。やがて按司(あじ。地域の有力な豪族)が住む城になり、切り石を積んだ頑丈な石垣をもつ大きな城へと変わっていきました。

築かれた場所は沖縄本島に限らず、奄美諸島から八重山群島までの島々に及びます。御嶽(うたき)と呼ばれる拝所をともなうこともあり、本土の城とはつくりも存在の意味も異なるとされます。

残波岬灯台は灯火部分まで99段の階段とハシゴで上る参観灯台

残波岬は、東シナ海へぐっと突き出した、沖縄県でも指折りの景勝地です。先端は残波岬公園として整備されていて、「残波大獅子」と名付けられた高さ8.75mのシーサーが公園に据えられています。

岬に立つ灯台の高さは約31mあり、南西諸島の灯台のなかで随一です。海面から灯火のところまでは44mです。中に入って99段の階段とハシゴで灯火部分まで上がれる「参観灯台」で、上まで登れる灯台は日本に16基しかありません。上からは東シナ海と、粟国島や久米島などが見渡せます。

中学生以上は参観料が300円かかります。無料になるのは小学生以下と、障害者手帳の所持者およびその同行者1名です。参観できるのは9時30分から16時30分までで、荒れた天気の日は休みになります。参観を担っているのは公益社団法人燈光会で、天候や整備工事のために入れない日もあります。

御菓子御殿 読谷本店では、紅いもタルトを包む工程まで見学できる

御菓子御殿 読谷本店は、工場の製造ラインと店が一緒になった店舗で、お菓子がつくられる様子をガラス越しにのぞけます。焼き上がった紅いもタルトを包装していく工程も見られます。所在地は読谷村字宇座657-1、営業時間は9時から18時までで、休みはないと案内されています。

紅いもタルトが生まれたきっかけは、1986年に読谷村商工会から頼まれた、紅イモを使ったお菓子づくりでした。村おこしの一つとして始まった開発です。

体験王国むら咲むらでは、紅型のコースター作りが1,000円から

読谷村の体験施設である体験王国むら咲むらには、シーサーに色を塗る体験や紅型でコースターを作る体験などがあり、入場料とは別に体験料を払います。紅型コースターなら約1時間で、料金は1,000円からです。藍の絞り染めは1,800円と案内されています。開いているのはおおむね9時から17時30分ごろで、体験の最終受付は17時ごろです。施設は無休ですが、体験工房によっては休んでいる日があります。

紅型(びんがた)は琉球生まれの型染めで、色づかいの華やかさが目を引きます。古くは「カタティキ(形付)」という名で、着られるのは王族など身分の高い人に限られていました。型紙を使って染める型染と、型を使わず手で模様を描く筒描の2つの技法があり、芭蕉布や木綿、絹に染めます。藍の濃淡と墨だけで染めたものは藍型と呼ばれます。布に模様を描くときの防染糊は、もち米と米ぬかを蒸して溶かしたものです。柄を見ると、鳳凰や牡丹のように中国から影響を受けたものもあれば、桜や松のような日本らしいものもあります。

読谷山花織は1964年に約90年ぶりによみがえった村の織物

読谷村に伝わる手仕事は焼き物だけではありません。読谷山花織は幾何学模様を織り出す織物です。東南アジアから伝来したのは約600年前、大交易時代のことといわれます。

明治以降は衰える一方で、ついに織り手が途絶えました。そこから、聞き取りと、わずかに残された実物を手がかりに再現への取り組みが始まります。中心になったのは、のちに人間国宝となる与那嶺貞さんです。1964年、読谷山花織は約90年ぶりに復活しました。現在は国が伝統的工芸品に指定しており、村を代表する織物です。

普及と後継者づくりを担うのは、読谷山花織事業協同組合(1976年設立)です。組合員105人のうち、現役で織っているのは約70人です。多くの織り手は共同工房で作業していて、工房は波平と座喜味と楚辺の3か所にあります。

まとめ

読谷村のやちむんの里は、70以上の工房が点在する村の中心にある焼き物の里で、1972年の金城次郎窯、1980年の読谷山焼窯、1992年の北窯と窯が増えてきました。工房は18時前後に閉まるところが多いので、器めぐりは午前中に始めて2時間ほどが目安です。

坂の多い村内の移動には、読谷物産館で借りられる電動アシスト自転車(3時間2,000円)が向いているという声があります。里で器を選んだら、入場無料の座喜味城跡、99段を上る残波岬灯台、紅いもタルトの工程を見られる御菓子御殿 読谷本店へとペダルをこいでみてください。12月の第3金曜から日曜には読谷山焼陶器市も開かれます。

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