明石のポタリングは、JR明石駅を起点にすると、明石城、魚の棚商店街、明石市立天文科学館、大蔵海岸が自転車で気軽に巡れる距離にまとまっています。兵庫県明石市は見どころの間隔が短く、徒歩でも自転車でも効率よく観光できる街です。ポタリングは、目的地を決めてゆるく自転車で巡る走り方で、見どころが近い明石に向いています。
この記事では、約400年の歴史がある魚の棚商店街と、1619年に築かれた明石城を軸にして、明石を自転車で巡るための情報をまとめました。商店街の営業時間の例、明石公園の桜の見頃、天文科学館の開館時間と入館料、レンタサイクルの料金、海沿いのサイクリングコースまで順に書いています。走る順番や食べ歩きの時間配分に迷っている方が、出発前に読んで予定を組める内容です。

明石城と魚の棚商店街はJR明石駅から徒歩約5分
結論から書くと、明石城と魚の棚商店街はどちらもJR明石駅から徒歩約5分の距離にあり、自転車を使えば移動はほとんど負担になりません。明石公園には山陽電鉄本線の山陽明石駅からも徒歩約5分で着きます。
明石には、明石城、魚の棚商店街、明石市立天文科学館、明石海峡大橋と、名前を聞けば場所が浮かぶ観光地がそろっています。それぞれが離れすぎていないので、歴史、食べ歩き、景色を1回の外出に詰め込めます。自転車で走る利点は、駅前から商店街の通りに入る、公園の高台に上がる、海沿いの道に出るという切り替えを、乗り換えなしでできることです。
一方で、自転車を押して歩く場面は必ず出ます。商店街は全長約350メートルの人の多い通りですし、明石城は石垣の残る高台にあります。走る場所と降りて歩く場所を最初に分けておくと、当日の迷いが減ります。
魚の棚商店街は全長約350メートル、約110店舗が並ぶ
魚の棚商店街(うおのたなしょうてんがい)は、兵庫県明石市本町一丁目にある商店街で、約400年の歴史を持つ人気の観光スポットです。地元では「うおんたな」の愛称で呼ばれることもあります。新鮮な魚介類や明石焼きを楽しめる場所として、観光客にも地元の人にも親しまれています。
通りの全長は約350メートルで、約110店舗が並んでいます。年間を通して多くの人でにぎわっているので、空いている時間を狙うというより、人の流れの中で食べ歩く場所だと割り切ったほうが楽しめます。複数の店を気軽に回れるのがこの商店街の強みです。
江戸時代初期に宮本武蔵の町割りから生まれた商店街
魚の棚商店街のルーツは、江戸時代初期にさかのぼります。明石城の築城にともない、宮本武蔵の町割りによって誕生した漁業町の東魚町と西魚町が起源です。町割りとは、城下町の区画を決める都市計画のことです。
宮本武蔵といえば剣豪の印象が強い人物ですが、姫路藩主の本多忠刻に厚遇され、姫路や明石の城や寺院で造園に関わりました。明石藩の町割りを行ったのも武蔵です。初代明石藩主の小笠原忠政が城下町の工事に着手したのは1619年(元和5年)で、武蔵が町割りに関わった時期もこの年の前後です。商店街の歴史は、明石城の歴史と同じところから始まっています。
「魚の棚」という名前は、魚商人が魚の鮮度を保つために、板の上に魚を並べて水を流していたことに由来します。棚の上に魚を並べる売り方がそのまま通りの名前になりました。今も店頭に魚がずらりと並ぶ姿を見ると、名前の由来が頭に浮かびます。
明石鯛と明石だこが中心で、練り製品や乾物も並ぶ
魚の棚商店街で売られている主な品は、明石鯛や明石だこなどの鮮魚、明石焼き、練り製品、乾物です。新鮮な魚介類を並べる活気のある魚屋が多く、なかでも明石鯛と明石だこが人気を集めています。
ポタリングで商店街を通る場合、鮮魚を買って持ち帰るのは現実的ではありません。自転車のかごに生の魚を入れて数時間走るのは避けたいところです。その点、練り製品や乾物は持ち運びやすく、走り終えたあとの土産に向いています。生ものは食べ歩きで、持ち帰るものは乾物や練り製品でと、買い方を分けておくと失敗しません。
明石焼きは15個入りが定番で、出汁と抹茶塩で味を変える
明石焼きは、地元では玉子焼きと呼ばれる名物で、ふわふわの生地は口当たりがとても軽く、出汁との相性が抜群です。生地の中には新鮮な明石だこが入っています。商店街には明石焼きの専門店が複数あり、15個入りが定番の量です。
食べ方は、熱々の出汁にくぐらせるのが基本です。そこから抹茶塩やソースで味を変える楽しみ方もあります。15個を一度に食べ切るのは自転車の前では重いと感じる方もいるでしょう。その場合は、同行者と分けて、別の店の食べ歩きに余白を残す組み方が合います。
営業時間の例はたこ磯が10時から19時、よこ井が10時から17時
店ごとの営業時間は違います。確認できた例を表にまとめます。
| 店名 | 営業時間 | 定休日 |
|---|---|---|
| たこ磯 | 10:00から19:00(日によっては21:00まで) | 記載なし |
| よこ井 | 10:00から17:00 | 木曜日(祝日の場合は営業、年始休) |
よこ井は17時に閉まるため、夕方に回すと閉まっています。たこ磯は日によって21:00まで営業する日があります。営業時間や定休日は変わることがあるので、訪問前に各店の最新の情報を確認してください。私なら、閉店時刻の早い店を先に押さえるために、商店街は午後の早い時間までに入ります。
旬は春がイカナゴと鯛、夏が明石ダコとハモ
魚の棚商店街には、明石鯛、穴子、しらすといった旬の魚介がずらりと並び、その場で味わえる店もあります。季節で並ぶ魚が変わるので、いつ訪れるかで食べ歩きの中身が変わります。
春(3月から5月)の旬は、イカナゴ、鯛、ハリイカなどです。いかなごのくぎ煮は明石の春の風物詩で、この時期の商店街の空気をつくっています。夏(6月から8月)の旬は、明石ダコ、ハモ、穴子などです。焼き穴子は炭火の香ばしさと繊細な味付けが魅力で、食べ歩きにも向いています。
明石ダコの旬にあたる6月から8月は、商店街を訪れるベストシーズンという案内があります。タコが目当てなら夏、いかなごのくぎ煮が目当てなら春と、目的の食材から月を選ぶのが筋の通った決め方です。
明石城は1619年築城で、現存三重櫓は全国12基のうち2基
明石城は、1619年(元和5年)に初代明石藩主の小笠原忠政によって築かれた城で、現在は兵庫県立明石公園として整備されています。2019年(平成31年)に築城400年を迎えました。西国大名の監視を目的とした堅固な造りが特徴です。
築城を命じたのは徳川秀忠で、築いたのは譜代大名の小笠原忠政(のちの忠真)です。商店街を回る前か後に、この城の高台まで自転車を押して上がる価値があります。
魚の棚商店街と明石城は、別々の観光地に見えて、同じ1619年前後の城下町づくりでつながっています。城が築かれ、武蔵の町割りで東魚町と西魚町ができ、その流れの先に今の商店街があります。城で石垣を見たあとに商店街で魚を見ると、同じ時代に生まれた二つの場所を続けて見ていることになります。順番を意識して回ると、ただの観光が少し立体的になります。
巽櫓と坤櫓は国の重要文化財に指定された三重櫓
現存する櫓は、巽櫓(たつみやぐら)と坤櫓(ひつじさるやぐら)の2基です。巽櫓は本丸の東南端に築かれた三重櫓で、坤櫓とともに国の重要文化財に指定されています。約400年前の築城当時から残る建物です。
日本全国で現存する三重櫓は12基しかありません。そのうちの2基が同じ城に並んで残っているのが、明石城の大きな特徴です。ただし、巽櫓と坤櫓の内部公開は不定期です。内部を見たい方は、訪問前に兵庫県の公式情報を確認してください。外観を堀越しに眺めるだけなら、内部公開の有無に左右されません。
銀子一千貫を幕府が与えて築かれた平山城
築城にあたって、徳川秀忠は石垣などの土木工事を幕府が引き受けました。さらに銀子一千貫を与えています。現在の貨幣に換算すると約31億円です。幕府が工事を引き受け、費用も出した事業だったことを頭に置いて石垣を見ると、見え方が変わります。
築城当時の明石城は、六甲山系の西端に位置する人丸山(人麿山)に築かれた平山城でした。本丸には四隅に三重櫓があり、中央には本丸御殿がありました。今は2基の櫓だけが残っていますが、四隅に櫓が建つ姿を頭に置いて本丸跡を歩くと、広い敷地の意味が伝わってきます。
城の中心部には、広大な本丸跡と石垣が残っています。高台からは明石市街と明石海峡大橋を見渡せます。堀に映る櫓と木々の姿は、季節ごとに表情が変わります。
太鼓門や櫓、家老屋敷、土塀の木造復元計画
2025年の時点で、明石市には太鼓門、櫓、家老屋敷、土塀などの木造復元計画があります。復元が進めば、城の見え方は今とは変わります。整備の進み具合は、訪問前に最新の情報で確認してください。
明石公園は入園無料で、桜は約1400本が例年3月下旬から4月上旬に咲く
明石公園は、明石城址を中心に広がる県立都市公園で、入城料も入園料も無料です。剛の池を囲む桜並木と、白壁の巽櫓と坤櫓が水面に映る景色が、この公園の代表的な風景です。
桜の見頃は例年3月下旬から4月上旬で、園内には約1400本の桜が咲きます。ポタリングの計画を桜の時期に合わせるなら、この数週間が狙い目です。人出も増えるので、自転車は公園の入口付近に置いて歩く前提で予定を組むと安心です。
剛の池は桜並木に囲まれた撮影スポット
剛の池は、桜並木に囲まれた撮影スポットです。ボートに乗りながら桜を眺めることもできます。水面に櫓が映る構図を狙うなら、池の周りを歩いて角度を探すことになります。
武蔵の庭園は4月下旬から6月に新緑が濃くなる
園内には武蔵の庭園があります。4月下旬から6月は新緑が濃く、落ち着いた緑を楽しめます。桜の時期が終わったあとも、公園を訪れる理由が残っているということです。春の桜、初夏の新緑と、公園の見どころが時期ごとに入れ替わります。
明石市立天文科学館は東経135度の子午線の上に建つ
明石市立天文科学館は、日本標準時子午線の上に建つ時と宇宙の博物館で、1960年に開館しました。明石が時のまちとして知られているのは、この子午線が通っているからです。
日本の標準時は、東西に長い日本のほぼ中央を通る東経135度の子午線を基準にしています。そのため、日本の正午には、この天文科学館の真南に太陽(平均太陽)が見えます。ポタリングの途中で、日本の時刻の基準になっている場所に立てるわけです。
利用の情報を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開館時間 | 9:30から17:00(入館は16:30まで) |
| 入館料 | 大人700円、年間パスポート2000円 |
| 休館日 | 月曜日、第2火曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月27日から1月4日) |
入館料については、高校生以下は無料という案内もあります。開館時間や料金は変更される場合があるので、公式情報で確認することをおすすめします。入館が16:30までなので、ここを最後に回すと入れない時間帯があります。月曜日が休館日になっている点も、予定を立てるうえで見落とせません。
レンタサイクルはJR明石駅の駅リンくんと、スマホで借りるスマート駅リンくん
自転車を持っていない場合は、駅のレンタサイクルを使うのが手軽です。JR明石駅には、レンタサイクルの駅リンくんの営業所があります(兵庫県明石市大明石町1-2-5)。
JR西明石駅の営業所(明石市小久保2-3-1)の案内では、営業時間が6:30から23:00、1日利用(翌日10:00まで)が400円です。JR明石駅の営業所の料金は、確認できた範囲では記載がなかったため、借りる前に窓口で確かめてください。
もう一つの方法が、スマホアプリで予約と決済ができるスマート駅リンくんです。西明石駅の近くにサイクルポートがあり、24時間利用できます。料金は、昼(8:00から20:00)と夜(20:00から8:00)の時間帯に分かれていて、どちらも1時間ごとに100円、最大500円です。料金や条件は変わることがあるので、利用前に最新の情報を見てください。
明石駅を起点にするなら、駅リンくんの営業所で借りる形になります。西明石駅から入る場合は、スマート駅リンくんが選択肢になります。どちらから入るかで、出発地点と返却地点の考え方が変わるため、先に決めておくと当日が楽です。
海沿いを走るなら、播磨サイクリングロードと約8キロの散歩道
海沿いには、車が通らない道があります。明石川の西岸から江井島海岸までの約8キロの散歩道は、明石海峡と淡路島を望みながら、漁港や観光スポットを巡れます。車が通らないため、ジョギングやサイクリングに向いています。
また、播磨サイクリングロード(浜の散歩道)は、明石海峡大橋と海を望む全長44キロのシーサイドサイクリングコースです。44キロは、ポタリングとしては長い距離です。全線を走るのではなく、明石の街中の見どころと組み合わせて、必要な区間だけを使うのが現実的です。
大蔵海岸で明石海峡大橋を眺めて休憩する
大蔵海岸は、青い海と明石海峡大橋が目の前に広がるシーサイドの公園です。夏は海水浴でにぎわい、夜は季節ごとにパターンが変わる大橋のライトアップを楽しめます。
昼は海と橋と淡路島を眺める場所で、夜は橋のライトアップを見る場所です。同じ公園でも時間帯で見どころが変わります。ライトアップのパターンは季節ごとに変わるので、夏に見た橋の姿と、別の季節に見る姿は同じではありません。日が落ちるまで海沿いで過ごす予定を入れるなら、帰りの自転車の返却時間を先に確認しておくと安心です。
組みやすいコースとして、播磨サイクリングロードから魚の棚、大蔵海岸、舞子公園へと巡る流れがあります。魚の棚で名物の明石焼きを食べたあと、大蔵海岸公園で明石海峡大橋と淡路島を眺めながら休憩する、という組み方です。食後に海沿いへ出て休むのは、走る体力の面でも気持ちの面でも自然な流れです。
公園、商店街、科学館、海の順で回るモデルルート
私が組むなら、JR明石駅で自転車を借りたあと、まず明石公園に向かいます。駅から徒歩約5分で近く、入園料もかからないので、朝一番に気軽に入れます。公園は午前のうちに切り上げて、17時に閉まる店がある商店街へ、午後の早い時間に移る段取りです。
次に、魚の棚商店街で明石焼きや鮮魚を楽しみます。商店街も駅から徒歩約5分の距離にあります。たこ磯やよこ井の営業時間を考えると、午後の早い時間までに入りたいところです。
そのあと、天文科学館で東経135度の子午線に触れます。開館時間は17:00まで、入館は16:30までなので、時間の余裕を見て移動します。月曜日は休館日です。最後に、大蔵海岸などの海沿いの道へ向かい、明石海峡大橋を眺めて締めます。
この順番は、位置関係と各施設の営業時間を踏まえた一例です。桜の時期なら公園に長く時間を取る、夏のタコの時期なら商店街に時間を回すというように、季節で配分を変えてください。
出発前によくある疑問
明石城に入るのにお金はかかるのか、という疑問があります。入城料も入園料も無料です。ただし、巽櫓と坤櫓の内部公開は不定期なので、内部を見たいときは兵庫県の公式情報を先に見てください。
いつ行くのがよいか、という疑問には、目的で答えます。桜なら3月下旬から4月上旬が例年の見頃です。新緑なら武蔵の庭園が濃くなる4月下旬から6月です。明石ダコを食べたいなら、旬にあたる6月から8月がベストシーズンという案内があります。
自転車を持っていなくても回れるか、という疑問もよくあります。JR明石駅にレンタサイクルの営業所がありますし、西明石駅の近くにはスマホで借りられるサイクルポートがあるので、手ぶらで始められます。
生の魚介を買ってもよいか、という疑問には、走り終える前なら控えたほうがよいと答えます。自転車で長く走る日は、持ち帰り品を乾物や練り製品にして、鮮魚は食べ歩きで楽しむのが無理のない買い方です。
出発前に確認したいのは営業時間と休館日
最後に、確認事項をまとめます。営業時間や料金は変わるため、出発の前日までに公式の情報を見てください。特に、よこ井の17時閉店と木曜定休、天文科学館の入館16:30までと月曜休館は、予定の組み方に直接響きます。
窓口としては、明石市観光協会と、明石市の公園・海岸課があります。観光全般の質問は観光協会、公園や海岸の利用については公園・海岸課に問い合わせる形になります。レンタサイクルの条件や巽櫓と坤櫓の内部公開のように、時期で変わる情報は、出発前に確かめておくと当日の迷いが減ります。
明石は、見どころが近くて、食べ歩きの店が多く、海沿いの道もある街です。駅から徒歩約5分の距離に明石城と魚の棚商店街が並んでいるので、自転車で回る日の計画は立てやすいはずです。起点をJR明石駅に決めて、公園、商店街、科学館、海の順に走ってみてください。








